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紙の本
限りなく★★★に近い★★★★ってとこでしょうか。あさのでなければかけなかった話しかといえば、答えは否。それにカバーのおおた慶文、使い方をカ違ってますよ角川さん
2005/11/04 20:06
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
あさのあつこが書きたかったのは、この話だ、みたいな謳い文句があった気がしますが、そのわりに著者あとがきも無いですし、ホントかな、なんて思ってしまいます。しかも、です。カバーが、あのおおた慶文なんですねえ。これって、読んで見た人はわかると思うんですが完全にミスマッチです。
老舗の出版社の中で最もブックデザインがヘタな角川書店らしい勘違いですね。勿論、そういうミスをするのは角川書店ACデザインルーム。断言しますけど、おおたを選んだ装幀者は絶対にこの小説を読んでません。だって、慶文が描くような少女はこのおはなしのどこを探しても出てこないんです。
無論、実際はおおた慶文がよく描く美しく健康で、どこか憂いを帯びた乙女、なんていうのはMOEの世界以外のどこにもいやしません。悪口ではないんですよ。私も好きな画家ではあるんです。でも、このお話の主人公の持つ秘密には絶対に「似合わねー」です。私なら宇野亜喜良を選びます。それは常識的なセンスかもしれませんが、この小説には絶対にそうです。うーん、思わずリキ入ってしまったな、閑話休題。
このお話、装幀は完全に児童書ですが、内容的には講談社の『透明な旅路と』同様、大人の小説といっていいでしょう。少なくとも、高校生以上が対象。外見は『透明な旅路と』より下の年齢をターゲットにしているようですが、例えば活字の大きさも今回のほうが小さいですし、ルビも少ないです。つまり外見は子供でも、じっさいは大人なんですね。
ただ、ルビと漢字の総体的な少なさは、案外共通していますから、これが、あさのの作風なんでしょう。もしかして、この人はワープロを使っていないのではないか、そんな推理までしてしまいます。ま、この本でのルビは、只中(ただなか)、凄(すさ)まじい、時雨(しぐれ)、木魂(こだま)、晒(さら)す、斑(むら)、類(たぐい)ですから、『透明な旅路と』の日本海(にほんかい)よりは進んでますけど。
うーん、また脱線ですなあ。再び閑話休題。目次を書きましょう。プロローグ 駅、に続いて、一 跡地、二 図書館、三 アサヒ・コーポ、四 最後の一日、五 炎上する、六 覚醒、七 美しく空虚な、八 君を愛して、九 真実のある場所、十 天空の月、以上です。ま、ここもルビこそありませんが漢字の低くて、いかにも、です。
主人公というか主な登場人物は、昔、東新新聞にいた秋庭大吾がいます。死の病にとりつかれていますが、まだまだ元気です。で、彼が取材にきたのが人口4万足らずの街で、—県—市とだけ書かれています。そこにあるアサヒ・コーポが悲劇の現場です。
『緑水園』という、宮さまが泊るほどの和風旅館の裏手にある鉄筋二階建て八世帯のアパートでの出火は、死傷者十人以上にもなるという意外なものでした。その死者のなかに北畠藍子もいました。事件現場に立って彼女の名前を呟いた秋庭に絡んできたのが永見明帆であり、柏木陽の2人です。
彼女の幼馴染みである陽、そして恋人である明帆ですが、ともに同じ高校の一年生です。有名進学校ではない、というところがミソですね。実は、明帆は県でも有名な進学校に合格していたのですが、母親の死を契機に近くの高校に進学を決めたわけです。
で、話自体は藍子の死の真相を巡るミステリなんですが、あまりインパクトはありません。淡々と読み終えてしまって、今改めて思うんです。タイトルの『福音の少年』てなんだろうかって。多分、頭のいい読者は理解できるんでしょうが、娘がミッション系の学校に行っているということだけでしかキリスト教と繋がっていない我が家では、この『福音』の重さが伝わりません。
この話の何をそこまで書きたかったのか、天童荒太みたいな骨太な作家の作品と、どうやって伍していくのか、正直、このレベルの作品では無理だろう、私はそう思います。
紙の本
さぁ、連れていってあげよう。
2005/09/07 14:12
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:伊佐治祝 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アパートが全焼し住民9人が焼死した。死亡者の中には、当日外泊していたはずの藍子も含まれていた。偶然難を逃れた幼なじみ・柏木と藍子の元彼氏である永見は確信する。ガス漏れが原因ではない。藍子は何者かに殺されたのだ、と。
わずかな手掛かりを元に、真相を追い求めるふたり。遺された藍子の携帯電話が鳴り響く。犯人は待っているのだ。自分の前にふたりがやって来る時を…。
柏木と永見の共通点は、自分の心の中に巣食う闇を意識していること。亡き藍子の存在を挟んだ、友情というひとことではいい表せないふたりの絆を感じて欲しい。