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紙の本
元機長という、なまじ現場を知っている著者なので、あまり極端な事件を発生させられなかったのだろう
2005/09/02 23:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安之助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「キャラ(クター)が立つ」とエンターテイメントとしては、一応、成功である。多少、ストーリーが甘くとも、主人公の魅力で読ませる。一方、キャラは二の次で、主題となるストーリー自体で引っ張っていく方法もある。キャラが立っていないだけ、事件の面白さが重要である。
著者は本書で後者の方法を採った。登場人物は査察機長である氏原、査察の対象となる機長の村井、同乗のベテラン機長大隈、舞台となるのは、成田発−ニューヨーク010便のコックピット内、それが大部分を占めている。90%以上といってもいいかもしれない。
昔、読んだアーサー・ヘイリーの『大空港』という本を思い出した。ヘイリーはその他に『自動車』、『ホテル』、『エネルギー』など、どれも機構の仕組みそのものをテーマにして書いている。だから、そういう点で本書も、ヘイリーの作品といくらか似通った面もあるかも知れない。
だが、この作品での著者は、ヘイリー以上にそういったことを、スッパリ切り捨てている。作家によっては、登場人物の陰の部分を書き込みたがる人もいる。極端な場合、脇役ともいえない端役までも、書き込む作家すらいる。しかし、この作品には全くそれが感じられない。コックピットの中だけで、状況が推移しているのだから、余分なことが起きなくて、当たり前といったら当たり前だとしても、潔よさに舌を巻くくらいだ。エンターテイメントなのだから大事件が起きたほうがよいか、それとも必要はないかは意見の分かれるところだが、著者は「査察」それ自体がテーマだから、一癖も二癖もある人物も、突発事件も必要ないとしたのだろう。事故発生の確率はきわめて低い(と、私も思っていたら、現実には先ごろのJALの事故あるいは事件多発がある)からだ。
どちらかというと、キャラが立っていない分だけ、もう少し盛り上げてもよかったのではないか。私はそう感じたのだが−。
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