投稿元:
レビューを見る
梨木香歩さんは、私の好きな作家さんの一人です。児童文学という印象が強いかと思いますが、こちらは思春期〜大人向けといった印象を受けました。
主人公の家に代々伝わる因縁のぬかどこに、ある日突然卵が現れるところから物語は始まります。
ぬかどこから生まれた命、ぬかどこに生息する菌や酵母。こういったことを題材にして、「全と個」というテーマがあるように私には感じられました。
この物語は、「個々の生命の繋がっている部分」をメッセージとして伝えていて、ユングの普遍的無意識を髣髴とさせるような印象を受けました。そしてこの本の面白いところが、そういった「境界のあいまいさ」というところをテーマにしているせいか、梨木さんの文章も境界があいまいなところがちょこちょこある点です(笑)。たまに、「ん?このセリフ誰が言ってるセリフなんだ?」というところがあったり、物語の進行も、いつもカチッカチッと緻密に人物関係の網やストーリーを張り巡らせる梨木さんにしては、かなり自由に書いておられるような感じがしました。ご本人が意識してそうしたのではないとおもいますが、そこらへんも見所です。
全に混じって薄まっている人には個の大切さが、個に執着しすぎている人には全の感覚が感じられる作品だと思います。
投稿元:
レビューを見る
2011.09.07. 久しぶりに読んだら、記憶の中よりおもしろくて驚いた。こんな、生々しい話だったのか…。「からくりからくさ」もそうだけど、「沼地~」もだったとは。やっぱり、10代の時とは感じ方が違うのですね。生きている人間の怖さとか、業とか。パンフルートの澄んだ音、私も好きです。
2006.05. 去年も読んだけれど、やっぱり不思議な本だ。ぬか床というものに馴染みがないので、余計に想像力が膨らむのだが。自分のルーツを探る…というところでは「からくりからくさ」に似ているかもしれないけれど、こっちの方が原始的で壮大な感じがする。そして、挿入されている不思議な物語も気になる。きっと、また読み返してしまうんだろう。
★4つ
2005.10.05. おもしろかった◎なんか、ルーツを探る旅になっていって、裏庭に通じるような。主人公は40歳くらい?なんやろうけど、すんなり読めた。途中入る話が少し謎。そっかー。ぬか床なんてうちにはないしなぁ。
★5つ
投稿元:
レビューを見る
まさか「ぬか床」がこんな重要なモノに描かれるなんて…と結構衝撃でした(笑)相変わらず不思議な世界観。表現も相変わらず美しい。でも、ちょっとのめり込み辛いかな。
投稿元:
レビューを見る
ぬかどこが沼地につながっていて沼地が生命の泉につながっているという梨木さんの描く世界観にはいつも驚かされます。命の誕生についてとても幻想的あるいは神秘的に描かれている作品だと思いました。
投稿元:
レビューを見る
読み終わったあとに、同著者のエッセイ『ぐるりのこと』の最後の言葉を思い出した。
「物語を語りたい。そこに人が存在する、その大地の由来を。」
多分、これはそのひとつの形ではないだろうか。
『ぐるりのこと』と合わせて、『春になったら苺を摘みに』を読むと彼女の考えた方とかが分かり、主人公がもうひとりの著者自身に思え、一層面白い。
ただ彼女が書きたい物語と思われる多くのものは構成上、説明的な文章が多いので、『家守綺譚』では花などを知っていないとすんなりと想像しがたいように、そのこと、今回なら酵母のことなどを知っている又は興味がある人でないと少々掴みづらい箇所がある気がする。
投稿元:
レビューを見る
梨木ワールド、細胞レベルに至る。家宝がぬか床!ち思って読み始めた。正直イマイチ波に乗り切れず。一気に読んだ方がいい。
投稿元:
レビューを見る
私はまだ梨木ワールドに馴染みが短いから、この作品はちょっと難解だった・・・
ぬか床に卵ができて、その卵から小学校の頃に死んだクラスメートが生まれたり、嫌味や憎まれ口ばかり叩くおばあさんが生まれたり・・って本筋はまだしも、挿話がもう一つよくわからなかった・・
この挿話はぬか床の中の世界?それとも全く関係ないの??この挿話は本筋に必要なお話だったの??
う〜〜ん・・私にはもう一つ読みが足りないって言うか、もう一度読んだらその謎が解けるのか・・でも、残念なことに、もう一度読みたいって衝動は、残念ながらこれに関しては起きない・・・
人に対してだって、A∪Bだったり、A∩Bだったりするのだから、作家の作品全てが良しでなくてもいいんだけどね^_^;
私は結婚以来今日に至るまで、厳冬時季以外ぬか漬けを漬けているが、読んでる間、ぬか床に手を入れるのを一瞬躊躇した(笑)
私の潜在意識みたいなモノがぬか床から生まれるとしたら・・何がでてくる??
ぬか床から生まれるのは、美味しく漬かったぬか漬けだけでいいなぁ・・・
投稿元:
レビューを見る
梨木さんは微生物の世界に行ってしまった・・・〜私・久美は両親を事故で失い,今は叔母を失った。独身の叔母からはマンションとぬか床を相続した。ぬか床には不思議な卵が発生し,それが消えたと思ったら,薄い影の人が出現した。昔,我が家にぬか床があった時にも,2・3日だけ居てはいなくなる親戚のような人が出入りしていた。曾祖父母は,遠い島からぬか床だけを盛って上京したらしい。叔母の死を不審だという叔母の友人から,ぬか床について相談していた男性を知らされる。風野は男性であることをやめた人。酵母とか菌を研究している。祖先の地にぬか床は戻すべきだと出掛けるが,出掛けるが,そこで不思議な老人に遭う。それは失踪した私の祖父だった。ぬか床は一族を再生してきた島の沼地の泥で,それを満潮時に沼に帰す。祖父はこれを機に帰ってくる者達を迎えに行くという。〜う〜ん・・・評価の難しい本だ。人の生き死にを考えると・・・そう・・・地球に生まれた微生物の目的とは何だったのかまで遡ってしまうかもしれない。でも,ちょいと飛びすぎてないか?今までの彼女の作品とは少し違う毛色を持っていて,私はあまり好きではない。収拾がつかなくなった気がしますぜ。
投稿元:
レビューを見る
重く湿度の高い空気に引き込まれ、夢中になって読みました。文化をひとつの生き物のように捉えているところに共感します(2006.5)
投稿元:
レビューを見る
2006年後半は梨木ワールドにどっぷりと漬かってしまった感じ、コレが今年読んだ最後にというのは何かの因縁だろうか、「細胞の見る夢」のくだりはなんだかクロノやってたころを思い出した。全体として非常に濃い感じも好きですが、細かい描写とキャストの思考と行動に魅かれる。抜群に☆
投稿元:
レビューを見る
初梨木ワールド。うん、、、惚れた、、、。会話のテンポがよくって、ぬか床のあたりからゆるーい笑いを感じてたけど、細胞レベルのお話にまでいくなんて・・・。挿話は
投稿元:
レビューを見る
【始まりは「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床が、呻くのだ。変容し、増殖する命の連鎖。連綿と息づく想い。呪縛を解いて生き抜く力を探る書下ろし長篇】
不思議な話で最初はひきつけられましたが、後半はちょっと飽きてしまいました。
残念。
投稿元:
レビューを見る
他の著作よりも深くずばりと「命ってなんなの?」「命のつながりとは?」っていうのを描いた作品。ラストが、エエーそうなの…って感じでびっくりだけど、テーマがテーマなだけにそうだよなー、とも。
投稿元:
レビューを見る
糠どこが物語の鍵。
命ってどうやってつながって行くのだろう。こういう誕生の仕方もありなのかな、でも、人という生き物がこんな誕生の仕方をするのは、やっぱりちょっと変なのかな。
前半までは、描かれている出来事に気を取られ、不気味に思ってしばらく読み進むことができなかったのだけれど、やはり、結末が気になってもう一度手に取ったら後は一気に読めました。
投稿元:
レビューを見る
梨木 香歩らしい。なんとも不思議なぬか床から始まるファンタジー菌類の不思議やらなんやら。その語り方や菌類を中心に持ってくるところや、自然の描写がまさに梨木香歩らしい。いつもどおりの、なんとも不思議で、ゆったりとした自然に関わる不思議なファンタジーいつものものよりも、少し先を急いで読みたくなるような事件性というか、推理物的な勢いがあるけど、やはり落ち着きがあって、とても穏やかで不思議で神秘的。生命・生殖・進化・個…。生命、遺伝子、なんだかその心をも他なそうなもの達が、寂しさを湛えて、そのために増えていくと言う哀しさと、寂しさが愛おしくて、根源的に、寂しくて、温かさを求めるものなのかなぁ。命とは。と思った。