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日本の動物はいつどこからきたのか 動物地理学の挑戦 みんなのレビュー
- 京都大学総合博物館 (編)
- 税込価格:1,320円(12pt)
- 出版社:岩波書店
- 発売日:2005/08/04
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紙の本
博物館はこんなこともやっている。各論は面白いが、まとまりはいまひとつ
2007/04/12 17:35
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本に分布する動物がどのような進化、移動をしてきたのかを具体的に説明する「動物地理学」。
爬虫類に昆虫、哺乳類と、多数の事例が載っている。地質学的にも明らかになってきた「伊豆半島は北上してきた島々が本州に接触してできた」ということを裏付けるような、伊豆半島に特有な動物種の話など、個々の事例はそれぞれに興味深い。割り当てられたページ数が数頁づつしかないので詳しいことがあまりわからず、「日本の動物はいつどこからきたのか」という表題につながる大きなイメージはあまり見えてこないのが少し残念である。
本書の「大前提」についても、もう少し説明が欲しかった。例えば表紙には「世界でもユニークな日本の動物たち」とある。第一章の書き出しにも「日本だけにしかいない日本固有種といわれるものの占める割合が高い」とある。そのユニークな固有種のできかたの研究をまとめた、ということなのだろう。しかし、どのようなところがユニークなのか?固有種の割合が高いとなぜいえるのか?研究者たちのあいだでは当然の共通理解なのかもしれないが、一般読者にはそこのスタート地点をもう少し説明した方がよかったと思う。世界での固有種の比率(ガラパゴスではいくらとか、同じ島国のイギリスでは、とか)などが示されれば納得しやすい。
固有種は世界中に存在するはずである。「日本の特殊性」を強調して書く必要があったかどうか。そのあたりが伝わってこない。世界中の動物の多様性が広がっていった過程と同じように、日本でもこのように種が広がっていたことの研究。そういうまとめかたでも良かったのではないだろうか。少々ひねくれた(うがった)感想ではあるが「こういうまとめ方でないと予算がとれない」のかという事情までかんぐってしまった。
編者が「京都大学総合博物館」である。博物館ではこういう研究をしている、ということがわかるという点では興味深い一冊であった。こういう仕事は地道に、広く長く続けなくては成果が見えにくい分野だとおもう。安易なまとめ方に走らず、大きな視野での知見を一般に広めて欲しい。
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