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紙の本
科学と宗教が共存する世界
2007/05/02 15:58
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イム十一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
生命科学者である著者が、自身の著書『生きて死ぬ智慧』を世に送り出すまでの半生を綴ったエッセイです。
科学者としての栄光の道を歩みながら、突如原因不明の病魔に冒され絶望の淵まで追いやられる、そこで出会った様々な宗教の言葉から、自分とはどういう存在であるのかを見出し、そして般若心経の「空」を「粒子」という科学的分野から捉えた『生きて死ぬ智慧』が作り出されていきます。
副題にもなっている神学者ボンヘッファーの言葉「神の前に、神とともに、神なしに生きる」は仏教の基本理念のひとつ「涅槃寂静」(おのれがないゆえに安らぎがうまれる)の世界と大変似ているように思いました。科学者としての栄光の日々、原因不明の病魔と闘い続けた絶望の日々、まさに人生の光と影を味わった著者だからこそ、その先にあるものを強く感じて、『生きて死ぬ智慧』を世に送り出すことができたのではないでしょうか。
近い将来、科学と宗教が共に手を取り合って素晴らしい世界を築いていける、そんな世界が来ることを信じていける一冊です。
紙の本
宗教を求める科学者の心がたどったひとつの道
2006/03/27 13:59
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が般若心経の「心訳」を載せた「生きて死ぬ智慧」を生み出した背景について、出版後読者の質問に応じる形で著された本です。病名不明のまま苦しみ続けた著者の闘病生活についてはすでに幾つかの著書がありますが、ここでは特に宗教へと向っていった経緯を中心にまとめられています。科学者としての生き方と、宗教を求める心がどのように融合していけるのか。この本は一人の日本人科学者の例を鮮やかに伝えてくれる本だと思います。
自分の神秘体験として、ある本を読んで「なにか大きなものにふわりと柔らかく抱きかかえられるのを感じた」ことが記されています。そういった神秘体験も脳の機構や、脳内快感物質で説明できるのでは、と考えていくところはまさに科学者、という感じです。
著者が読んだというエックハルトやカール・バルト、ボンヘッファーについては良く知らないので何も言えません。しかし、引用されているボンヘッファーの「神という作業仮説なしに・・・」と「作業仮説」という言葉を使って神を捉えていこうとする考え方は、科学者である著者を「虜にした」というのがわかる気にさせる部分です。副題の「神の前に、神とともに、神なしに生きる」はボンヘッファーの言葉だそうです。
「それは、限りあるいのちを生きるものにとって、最善の智恵なのかもしれない。絶対神に依存しないで、おのれのこころの中に、自分を救い、自分を許し、命の再生を果たしてくれる存在を見出し」ていく。キリスト教の信仰からボンヘッファーが考えたことを、著者は自分の生まれ育った文化ゆえでしょうか、仏教につなげて自分の考えとされています。既成の宗教の違いを超えて、人間が普遍的にたどりつく考えのようなものがそこにはあるのではないか、と考えさせられました。
自分でたどりつかなければ得られないものを語るのは難しいもの。読み手はそれぞれのたどり着いたところからみて、さまざまに読み取ることと思います。一個人が歩む道はその人にとってはいつも初めてのものです。勇気をもってさまざまな道の一つをみせてくれた著者の心を大事に受け止めたいと思います。
「生きて死ぬ智慧」の方を読まなくても充分読めますが、著者の佛教への考えの表出の形として、「生きて死ぬ智慧」の般若心経の「心訳」を読むと、その心がより理解できるのではないでしょうか。
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