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四つの章に各三話ずつ掲載した、十二編からなる短編集。ウディ・アレンや小泉八雲のミステリ作家には属さない作者の作品や、クイーンが原案を提供したラジオドラマ『ニック・ザ・ナイフ』等、隠れた名作が勢揃い。国内作家もさることながら、“名手”と称される海外作家の巧さには脱帽した。“栞”として紹介してある編者お勧めの作品集や、各話の紹介文も興味深く読めた。海外ミステリが苦手な人も本作品を読めば克服できると思う。個人的には、“犯人当て”の秀作『誰がベイカーを殺したか』の、高度すぎる応用テクニックに目からウロコが落ちた。
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クイーンを愛する法月綸太郎のアンソロジー。本格ミステリと銘打ってますが、うん??と首をひねりたくなるようなちょっと、ひねくれた短編を集めてます。辻真先の「仮題・中学殺人事件」の章立てをもじっている……とかけば、なんとなーく想像できるかと思います。
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ボルヘスの傑作「死とコンパス」を収録しているあたりいかにも法月倫太郎らしいアンソロジー。「消失!」の中西智明の幻の作品も読めます
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収録されているどの短編も、切れ味鋭く楽しめた。
「ミスター・ビッグ」哲学系ミステリ?ハードボイルドの文体で書かれる頭の痛くなりそうな哲学論議に笑った。
「消えた美人スター」落ちるべきところに綺麗に落ちて、驚きとともに納得。
「密室 もうひとつのフェントン・ワース・ミステリー」スラデック特有のユーモアが面白い。
「白い殉教者」やはりこの時期の西村京太郎は良い。人形の使い方がいい。
「誰がベイカーを殺したか?」盲点を突く語り口で、だまされた。
「脱出経路」全体的な緊迫感、ラストの切れ味、どれも素晴らしい。
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未読の作品ばかりであったし、内容的にも満足。とくに、先日初めて出会って好印象を持ったエドマンド・クリスピンのチャーミングな短編が入っているのがうれしい。ただし、編者による作品紹介が、作品の前ではなく後にあればもっと良かったように思う。どうしても予断が入る。
ところで、本書中に‘驚愕の動機’が売りの短編がある。著者はありえないこととして書いたのではないか。が、現実社会では、その恐るべき動機にもはや耳慣れてしまった感があるのだ。奇なり。
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良作を書くミステリィ作家が選ぶミステリはやっぱり良作揃い^^
オーソドックスから挑戦的な意欲作まで選りすぐった短編集。EQのラジオドラマの脚本を収録してるのも嬉しいですが、全体的にはアンフェアチックなメタミスが殆どなので、こなれたミステリスキーには楽しめるかも
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出版当時に新刊で購入しておいて、長い間、積ん読だった本書をようやく読んだ。
中に挟み込まれていた広告に、ホームズ・スタイルの宮崎あおい(当然だが若くて可愛い)がでかでかと載ってて、それをしおり代わりにしていたのだけど、いやはや可愛いのう。
でっかい虫眼鏡もって、
「そういう
ことだったのか。」
と可愛い笑顔の横に書かれてるけど、そんなに簡単に理解と納得を得られるほど一筋縄ではいかない作品ばかりが集められてるアンソロジーが、本書です。
本格マニアが選ぶ、本格マニアのためのアンソロジーだから、実際問題、いやはや難しい。(僕は多少はミステリも読むけど、本格マニアとはとうてい呼べないし自称するのがはばかられるレヴェル)
そんな僕なので、ものによってはイマイチ受け付けないものもあるのだけど、いくつか、この中でもちゃんと楽しめた作品がありました。
・「ミスター・ビッグ」 ウディ・アレン
・「はかりごと」 小泉八雲
・「動機」 ロナルド・A・ノックス
・「ニック・ザ・ナイフ」 エラリー・クイーン
・「誰がベイカーを殺したか?」 エドマンド・クリスピン&ジェフリー・ブッシュ
・「ひとりじゃ死ねない」 中西智明
・「脱出経路」 レジナルド・ヒル
あっ。
読んでるとそうでもなかったのに、挙げてみると、半分以上をちゃんと楽しめているじゃないか。不思議だ。
見ていただくとわかりやすいけど、基本的には、海外ミステリの翻訳が多いです。で、海外の文章というのは、日本語に訳したときに、どうしたってクドくもなるわけで、イマイチ読みにくいのです。
海外ミステリも海外SFも、そのせいで読みにくいのはある程度仕方ないにしても、やっぱり現実としてハードルとして立ちはだかるわけで。(だからといって、「超訳」を好むことはありません。あれはただの暴走です)
更に、(ここではSFの話題は置いておいて)ミステリは、その性質上、どうしたって、海外物にせよ、日本のものにせよ、ある程度仕方ない特質が潜むのです。
「最後の謎解きにすべてのカタルシスを持ってくるために、解決編に至るまでの本編は、長い長い出題文、問題文、クドいまでの前振りに終始する傾向があり、ドラマとして楽しめないものが多い」
新本格の作家たちが世に出始めた頃、要するにこういうことが言われていたわけです。
人物が描けていないとか、文章・文体が稚拙だとか、そういった愚にも付かないと思われていた批判・非難は、基本的に根っこが同じ。
「ラストで謎解きをするから、それ以外は面白味がなくていいじゃないか」、と思ってる作家なんていないと思いますが、「解決編に至るまでの物語を面白くしよう」と心がけるよりも、「フェアに描写しよう」と苦心するがあまり、どうしてもクドくならざるを得ないというか。
そういった事情もありながら、じゃあ文章が読みにくいなら、ちょいちょい飛ばし読みする速読でもやればいいじゃないか、ということが、「どこに���ントが隠されているかわからないミステリ」であるが故に、できないのですね。
つまり、「どんなにクドくてもしっかり一言一句漏らさず読まなくてはならない」という性質を生まれながらにして抱えているのが、ミステリなのかもしれません。
そして、良質なミステリは、そんな苦悩を、読者から取り去ります。
ぐいぐい読ませるのです。
魅力的な謎、提示されるフェアなヒント、思考の果てにたどり着く答えと、それをあっさりと裏切って見せてくれる、予想外の、意外なる真相。
それこそが、まさに「面白いミステリ」が持つ、純然たる特質なのでしょう。
この本に収められているもの全てとは申しませんが、上記僕が挙げた作品は、僕にとっては、「してやられた!」と唸らされたり、「これはいいなあ!」と感嘆させられた作品たちです。
もしかすると、また他の人には他の人の楽しみ方があり、僕がわからなかった作品も、すこぶる楽しめるかもしれないし、その逆もあるかもしれませんが、けっこうマニアックな取捨選択がなされている本書。
興味があったらお手にとってみてくださいませ。
深まる謎。冴える推理。
発見。秋のミステリー。
http://www.kadokawa.co.jp/dis/
(挿入チラシに書かれていた、あおり文)
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再読。
非常にバランスのいいアンソロジーです。メタから本格まで収録されているのが嬉しい。パズラー傾向が強く、謎解き思考の方にもお勧めです。
しかし冒頭にウディ・アレン、最後にボルヘスをもってくるセンスには脱帽です。実にいい・・・・・・
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有名な作家が編んだミステリのアンソロジーって、(僕の思う)ミステリがあんまり収められてなくて、がっかりするものが多いんだよね。
編者が「自分は本格ミステリ一辺倒じゃないんだよ」とアピールしたいからなのかどうかわからないけれど。
でも本書に収められているものは、ほとんどが「本格」。小説じゃないものもあるけれど、充分に「本格」として楽しめる。
目玉はあの『消失!』の中西智明氏の短編があること。『消失!』と同じくらいの衝撃だった。さすが。
あとがきによれば、中西氏はカムバックに意欲をみせているとのこと。ぜひぜひ、期待したいなあ。
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ウディ・アレン「ミスター・ビッグ」
小泉八雲「はかりごと」
ロナルド・A・ノックス「動機」
C・デイリー・キング「消えた美人スター」
ジョン・スラデック「密室 もうひとつのフェントン・ワース・ミステリー」
西村京太郎「白い殉教者」
エラリー・クイーン「ニック・ザ・ナイフ」
エドマンド・クリスピン&ジェフリー・ブッシュ「誰がベイカーを殺したか?」
中西智明「ひとりじゃ死ねない」
レジナルド・ヒル「脱出経路」
大平健「偽患者の経歴」
ホルス・ルイス・ボルヘス「死とコンパス」
この収録作で読めて良かったのは、「ミスター・ビッグ」、「脱出経路」、「偽患者の経歴」。
「ミスター・ビッグ」は、ハードボイルドのパロディだけど、そのパロディの発想が凄い。笑いながら読める。
「脱出経路」。上手い。テキストを登場させるミステリは数多くあるパターンの一つ。その中でも本作は、伏線の上手さと騙しのテクニックが単に読者に対して有効に機能しているだけでなく、物語にも必然的かつ面白さを際立たせている。収録作の中で、ミステリとして一番好き。
「偽患者の経歴」
読み終わってから、紹介の部分を再度確認。本当に「実録エッセイ」らしい。
現実が本格ミステリになってしまった。
個人的に、収録作で一番いろんな人に読んでみてもらいたいと思った作品。
…………本当に小説じゃないんだよね?
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奇想天外なトリックに巧みな伏線。
作者からの挑戦を受けるのはキミだ!!
『ミスター・ビッグ/ウディ・アレン』
『はかりごと/小泉八雲』
『動機/ロナルド・A・ノックス』
『消えた美人スター/C・デイリー・キング』
『密室 もうひとつのフェントン・ワース・ミステリー/ジョン・スデラック』
『白い殉教者/西村京太郎』
『ニック・ザ・ナイフ/エラリー・クイーン』
『誰がベイカーを殺したか?/エドマンド・クリスピン&ジェフリー・ブッシュ』
『ひとりじゃ死ねない/中西智明』
『脱出経路/レジナルド・ヒル』
『偽患者の経歴/大平健』
『死とコンパス/ホルヘ・ルイス・ボルヘス』
以上の12作に3つの栞(コラム)を挟んだアンソロジー。
一番印象に残ったのは『ひとりじゃ死ねない/中西智明』。
犯人当て小説。
こういうタイプの叙述トリックはけっこう読んでるつもりなものの気づけなかった。
その渾名はどうなのよっていう、いちゃモンしか出てこなかった。
ミステリ :☆☆☆☆
ストーリー :☆☆☆
人物 :☆☆☆
文章 :☆☆☆
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法月綸太郎篇、本格ミステリアンソロジー。
エドマンド・クリスピン&ジェフリー・ブッシュ「誰がベイカーを殺したか?」中西智明「ひとりじゃ死ねない」が面白かった。大好物な叙述トリックもの。鮮やかに騙されました。これぞミステリの醍醐味。
中西智明は「消失!」が前々から気になっていたので、いずれ読みたい。この本が出版された2005年時点ではカムバックを目指しコツコツと第二作を書いているとのことでしたが…15年経った今どうなっているのだろうか。
大平健「偽患者の経歴」これはミステリ小説ではなく、精神科医である作者が担当した患者の症例を描いたの実録の物語だそうですが、まるで秀逸な叙述ミステリのような面白さだった。他の著書も読んでみたくなりました。
アンソロジーを読むと読みたい本が増えて困ってしまう。