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電子書籍
かずよし
2022/01/10 11:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:akihiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
高橋源一郎さんが著書で本作を話題にしていたので読んでみました。確かに直喩使ってますね。他の作品も読んでみようかな。
そんなことよりも、登場人物のかずよしが小学生なのに有能すぎて笑えます。現実だったらやべーことやってますが(笑)その辺のアウトローな思考はツッコミどころ満載なのですが、小説として楽しめました。
紙の本
時代を先取りした小説
2016/01/31 22:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんたん - この投稿者のレビュー一覧を見る
女子高校生と男子小学生が,押し入れの中で,パソコンで見知らぬ男たちとチャットを行い,大金を稼ぐという,ある意味でファンタジー小説だと思います。
小説の文面にも,パソコンのチャット画面が出てきます。
今年に入り,女性タレントと’ゲス某’というバンドの男性ボーカルの不倫騒動が繰り返し芸能ニュースを賑わせていますが,この騒動の特徴は,『ライン』による会話が暴露されたということです。
『通信の秘密』が全く守られていないことにショックを受けました。
ラインによる会話は,チャットを仲間内で行うようなものであり,如何に時代を先取りした小説であったか思い知らされました。
紙の本
「言葉の力」に偏愛告白
2009/09/13 08:01
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:analog純 - この投稿者のレビュー一覧を見る
もうこの小説の発表も、10年ほども前になるんですよねー。はやいもんですねー。その後この作者は、別の作品で芥川賞を受賞なさいましたもんねー。
さて、『インストール』です。
うーん、なんて言うか、どうってことないお話なんですよねー。
別に非難するような箇所といってありはしませんが、かといって、どこが良いのかもよく分からない。実際、どこがどう、良いんでしょうか。
ところで、この文庫の解説文を高橋源一郎が書いているんですね。
高橋源一郎氏といえば、新しい文学に極めて好意的な、なかなかの理論派の小説家です。
(僕もとても好きですが、その作品には少々当たりはずれがあるような気がします。)
その彼が、この作品を絶賛しているんですね。
まー解説文ですから、半分「仲人口」で読まねばならないとは思っております。
でも、私には、そんなに言うほど本当にこの本はすごいものなのかと、なんか、よくわかんなくなってくるんですね、文学の評価というものが。
ちょっと別の例を挙げてみますね。
例えば村上春樹は、『華麗なるギャツビー』をいろんな文章で、ほとんど絶賛していますね。実は、やはりあれについても、僕はよくわからないんですね。
主人公のギャツビーに、僕はほとんど魅力を感じないんですが、そんなのって「えーっ、このヒト、文学のこと何にも分かってないヒトー」って事なんでしょうかね。
そう言えば少し前に、ある新聞紙面で、川上弘美が吉行淳之介のある短編集について偏愛告白をしていたのを思い出しました。
吉行淳之介という作家は、それこそ「偏った」見方かなとは思いつつ、生き方が作品より高評価を得ている感じがして、私も何作か読みましたが、ダンディであることはともかく、「偏愛告白」をされるようなお方なのかなと、少し疑問に思いました。(きっとこれも私の不徳の致す所だとは自覚致しておりますがー。)
えーしかし、こうして三つ並べてみると、分からないと言いながら、実はちょっとは分かってくるんですね。
要するに「文章力」なんですね。
文章の美しさというか、素晴らしさというか、「言葉の力」ですよね。
これに小説家達は反応しているんですね。
これは、まー、考えれば当たり前といえば当たり前で、例えば音楽家は流れ来る「音の力」に感動し、画家はキャンバスの「色の力」にやはり感動しますよね。
かつて三島由紀夫は、死ぬ間際まで書いていた『小説とは何か』という随筆で、動物園の檻の中の昼寝をするアザラシの姿に、一つの小説の典型を見ていました。
小説はやはり「思想」ではないんですね。存在そのものが「思想」を表すことはあっても、少なくとも、そこに盛られた「思想」が小説なのではない。
僕が、その高評価についてよく分からないながらも、読んでいて、結局すとんと腑に落ちるのはこの辺なんですね。
と、思うと、この『インストール』ですが、なんというか、上品な明晰さを感じさせる文章ではありましたですね、確かに。はい。
紙の本
<リズム感のある文章で若者の等身大の気持ちを赤裸々に描写。思わず読者も綿矢ワールドにインストール!>
2006/01/28 19:08
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
綿矢りさ、遅ればせながら初挑戦。
ご存知の方も多いかもしれないが、本作は作者が高校生の時に書いた文藝賞受賞作品で彼女のデビュー作である。
彼女は本作の3年後に出る『蹴りたい背中』にて史上最年少の芥川賞作家となる。
予想より面白かったと言うのが正直な感想である。
少なくとも2001年にこの作品を書いていたということは驚愕物である。
島本理生の純愛路線と金原ひとみの大胆路線のちょうどあいだを取ったようなところかな。
一般的に受け入れられる割合がもっとも高いのはうなずける。
最大の特徴はやはり小気味よくリズム感のある文章を用いて今どきの若者の気持ちを代弁しているところだろうか。
その結果、彼女(金原ひとみも含めていいかな)の出現が業界に新しいスタイルをもたらせた。
業界の“救世主”となったと言っても過言ではないであろう。
内容的には平凡な生活に嫌気をさした女子高校生が近くに住む小学生の男の子とネットのチャット風俗に嵌るいう現実に起こりそうでなくて起こりうる世界を描いたもの。
綿矢さんが描くと、客観的に見てもっとも平凡=普通(イマドキという意味合いも多少入ってます)に見える女の子が描いた世界に写るのである。
ネットを趣味としている人間のひとりとして言わせていただければ、ネット世界=イマジネーションを膨らませる世界であると思う。
読み手の性別によっても違ってくるのかもしれないが、少なくとも本作もご多分に漏れず、男性読者は主人公の朝子=作者に投影されて読まれた方が多いのだろう。
忘れてはならないことは小学生(青木君)の家庭環境の設定の巧さである。
彼と朝子との奇妙な友情(連帯感)に心が和んだ方も多いはずだ。
朝子がチャット風俗に嵌ったのははたして単なるストレス解消であったのだろうか?
この作家の凄さは暗く描くのでなく当たり前の如く描写出来る点である。
やはり“若さって大きな武器”である。
読者にとって高校生作家が高校生を描くとフィクションがまるでノンフィクションのように感じられるのである。
たとえば作中で年齢をごまかせてチャットに耽って相手に見破られるシーンがあるのだが、私は仮に年配の作家が同じような内容を書いた場合、見破ることが出来るような気がするのである。
ただ、惜しむらくは併録されている書き下ろし短編の方のインパクトが薄かったのである。
こちらは男子大学生の話。
作者(現在21才)も人生において最も多感な時期。
4〜5年のあいだに変化したのか物語の発想点はいいのであるが、読んでいて表題作のように“綿矢りさをイメージできない”点が最大の難点かつ今後の課題であろう。
たとえば作者より上の世代の方が読まれて、島本理生の小説を読んで味わえる自分の若い時のことを思い起こさせてくれる要素はない。
あいた口がふさがらないようなこともないが、時代が変わったなあと痛感された方も多いのだろう。
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本作を読まれて時代は暗澹かつ索漠としていると強く感じた方も多いことであろう。
ただ、感動したとか心に残る作品というわけじゃないけど、2001年という時代を見事に切り取ったエポックメイキング的作品であることに異論はないつもりである。
“私なりに共感した”というこで締めくくりたい。
少なくとも柔軟性のある読書が出来たと自負している次第である。
活字中毒日記