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西洋が排斥したいが故に、背徳の欲望の眼差しを投げ掛ける対象であった所の東洋を論じ尽くす事、これが本書の魅力であり思い描かれる像である。異端を作り、差別を与え、力の構造で支配しようとする、歴史の始まりから人類に付帯された業得。世界の中心が西洋であった事を知らぬ東洋の民にとって、己がそんな悪魔によって呪われているなどと想像もしなかっただろう。宗教においても経済においても、西洋で有り得なかった東洋の孤高な在り方を、独自性と謳い、禍々しき崇高さと呼んでも良いではないか。境界を設け、外部を疎外対象にした上で、壁を設けるのが、共同社会の習わしだったとは言え、外部を抽象的な徹底的悪と定義してしまう多数派の論理に、東洋は苦しみの歩みを残してきた。そんな、東洋の影をロマンスとして描き、伝説と云う想像の解放居留地と見なして、エキゾチシズムの極限の姿を浮き彫りにしようとした偽・歴史物語。随所に鏤められる歴史的事績の数々が圧倒的に真実性を証立てする中で、更に疑いの目を凌駕する逸話に責め立てられる読者の為の悦楽。味わう者よ、震えながら搾り取れ。
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序 旅への誘い
1 最古の民・最果ての怪異
2 遍歴する賢者たち
3 秘教の解釈学
4 隠喩としての歴史
5 世の終りと帝国の興り
6 東の黎明・西の夕映え
7 終末のエルサレム
8 楽園の地理・インドの地理
9 秘境のキリスト教インド帝国
10 ―そして大海へ…
渋沢=クローデル賞
著者:彌永信美(1948-、東京都、仏教学)
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「ツァラトゥストラ=ゾロアスター」!!!!
古代ギリシアのひとたちが、「地の果て」インドに実在するとかんがえていたという異形の民族…。
鶴とのたえまない闘いに明け暮れる「小人族(ピュグマイオイ)」
一本足で恐ろしく速く走り、その足を傘のようにかざして
強い日光から体を守る「影足族」
犬の頭をして互いに犬のように吠えて話す「犬頭族」
無頭で両肩のあいだに顔のある「無頭族」
足が前後逆についた人間
鼻孔をもたず、上唇が下唇より極端に大きく突き出している民族
犬の耳をもち、額に一眼だけしかない民族
…等々。
表紙の図像をみているだけで痺れる。
そのうちどれかONE PIECEに登場するな。