紙の本
うつくしいのはら...人間って悲しいね
2005/12/10 13:36
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつもながらのサイバラワールドオンパレード!爆発に次ぐ爆発って、あるとき突然、眼前にみどりの野原が広がると、それが「うつくしいのはら」の始まりです。舞台はカンボジアでしょうか。スラムに住む貧乏ながらもけなげな前向きな家族のものがたりのはじまりです。優しいおかあさんと素直な男の子と女の子。「字が読めるようになれば、世界のことが分かる、お金が儲けられる、人に使われないで済むようになる」と一生懸命勉強に励む子どもたちですが、やがて地平線の向こうから戦争がやってきて、子供たちはいつの間にか戦争に巻き込まれます。あんなに優しかったお母さんは戦争で殺され、ボクもいつの間にか勉強を途中でやめて兵士になっています。そして、ある日、あるとき、うつくしいのはらを歩いているとき、頭を銃弾で打ち抜かれゴミになってしまいます。殺されたボクは、やがて生まれ変わり、やっぱり貧乏な家の子供に生まれ、一生懸命お母さんのお手伝いをし、勉強をし、字をおぼえようとして、やっぱりヘイタイになって、また死んでいく...これが永遠に輪廻転生のごとく繰り返されていく。これが今もアジアで、アフリカで、中東で起きていることなんですなあ。平素、「馬鹿は死ね」「アホはまとめて強制収容所にたたきこめ」と暴言を繰り返す私ですが、この「うつくしいのはら」は涙ナシには読むことが出来ませんでした。はちゃめちゃなギャグのうらにこうした優しい視線があるからこそサイバラさんの漫画は人の心を捉えて話さないのですね。
紙の本
人だから
2008/01/21 23:56
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんでこの本流通してないの?!
2005年発売なのになあ・・・。
よくわかりませんが、
この本はやっぱりはずしてないです。
営業話の中で、
サイバラのまんがは、
東京の読者には時々、
貧乏すぎてリアルじゃない、
前の日本ていう感じがする、といわれるが、
大阪と歌舞伎町の人には共感される、という話がでてくる。
貧乏だとか仕事がないだとか暴力だとかの、
負のスパイラルが続いている地域って、
未だにゼロじゃないって私は思う。
それが存在する場所が、たまたま偏っているというだけで。
表向きには地域って感じが薄れていたとしても、
個人単位ではまだまだあるだろうし、
知らない人は
知るべきだと思うな。
サイバラのまんがを通してでも。
それが、海外では
戦争をまじえてスパイラルが続いていて、
その話を描いたのが「うつくしいのはら」
「私はあなたにいろんなものの名前を教えるよ
あなたは人だから。
私は、人だから。」
思わぬところで、
生きるうえでの真ん中へんにあるもののことを
考えてしまう本。
電子書籍
笑いあり、涙あり。
2014/02/25 22:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴろりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
人に言えないような事も、西原先生の本には書かれている。
でも、その部分で教えられる事が多い。
なぜかジンときて、考えさせられる。
たぶん、皆、他人事のように思い。目を背けてきた事かもしれない。
笑いあり、涙ありで、教えてくれる西原先生の本は大好きです。
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「うつくしいのはら」をぜひよんでください。日本人には遠い事かもしれないけれど、悲しいかな、多くの地域において貧困と戦争は深く結びついています。悲劇的ではなしにそれが描かれています。静かに、とても解りやすく(そういう風にとらえて良いかどうかは解りませんが)。どうか読んでください。
自分のまんがをいかに売るかの営業ものがたりなのですけど、確かにそれに繋がって「うつくしいのはら」は描かれるのだけど、全然色の違うものを同列にこうやって置いておけるのって西原さんくらいかなーと思うのね。笑わせるのも泣かせるのも同じ、と前にお話されていたのを思い出しました。(20051101購入)
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毒々しさ満載!
売れるために書店員さんと座談会するとことか、プルートを私に描かせろとか相変わらず飛ばしてる。 借
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サイバラ魂全開で.今日も ばく進中。絵柄に騙されるなかれ。
食わず嫌いは損をする。
「うつくしいのはら」は必読。
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サイバラ生涯最高傑作「うつくしいのはら」
貧乏の輪廻から脱出するには学問しかないと、実地で体験した人こそが描ける漫画。うつくしいことばを覚えて、うつくしい一生を送ろうと再認識させてくれる名作です。サイバラさんの漫画の底流の「綺麗な物悲しさ」が好きです。
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西原版PLUTO収録。浦沢・長崎コンビに対する謎のライバル心が面白い。。。そして、浦沢・長崎コンビはじめ手塚プロダクションが西原版PLUTOにとりあえずOK出すとこがさらに面白い。。。西原は天才DEATH。そうに違いない。と思います。ねぇ、そうでしょ?(06/8/7)
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やはりうつくしいのはらで泣きましたね。
笑いと号泣が一緒に入っている本なんて、あんまないなーと思ったり。
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「うつくしいのはら」は、辛くて悲しくて
胸がきゅぅぅぅぅぅっとなります。
ねえおかあさん ぼくたちは
いつになったら
字をおぼえて 商売をして
人にものをもらわずに
生きていけるの
ぼくんち番外編の 朝日のあたる家
貧困。。。
辛くて悲しくて切ないけれど
命を生み出して生きていく。
サイバラさんの強さと暖かさを感じる物語でした。
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収録されている「うつくしいのはら」を読むためだけに
買いました。
涙。
サイバラのすごさは、こういう作品にある。
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本書所収の「うつくしいのはら」。浦沢直樹さんの漫画『PLUTO』に寄せられた、素晴らしい掌編です。平和に暮らすということを改めて考えさせてくれます。
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海の向こうで煙が上がり、血が流れ、ヒトが死ぬ。
そして、夢見ながらも、空はいつも青い。
『うつくしいのはら』、何度読んでも『忘れられない物語』、あるいは蘇ってくるたぐいの物語だ。詳細なんか飛ばしちゃっても。
兵士のビーズ玉みたいな目がいい。
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前二作のタッチは「いけちゃん」などと同じ、メルヘン調の淡々とした筆致ですがこの本はすっかり、「鳥頭紀行」や「できるかな」と同じです。おカネとは何か、おカネはどうやって稼ぐものか、この三部作で良くわかると思います。ということで☆5つ。
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傑作『うつくしいのはら』を収録し、さらには浦沢直樹さんとの対談の様子を収録した『浦沢さんとわたくし』さらには彼女特有のパンチの効いたギャグや自虐ネタなど本当に1冊の中にこれでもかと詰め込まれています。
本書は『ものがたり』3部作の最終巻になります。本人曰く『どさまわり』こと日本全国各地の書店への営業の場面に始まって、高須先生とともに行く海外ツアー。ハワイからロシア・モスクワの『赤の広場』とまさに『ジョンとヨーコのバラード』のような展開に始まり、さらに、初期の傑作である『ぼくんち』のキーパーソンであるこういちくんの幼少期の姿を描いた『朝日の当たる家』では傍から見ればむちゃくちゃな街で売春で生計を立てている母と娘であるこういちくんの姉。「ま」のつく3文字がここでは頻出しますが、こういちくんのお姉さんの中絶手術の場面などからその根底に流れるものを感じ取っていただければと思います。
人気漫画家・浦沢直樹氏とのグダグダな対談の様子を描いた「浦沢さんとわたくし」や、今はなき『九州の大親分』こと溝下秀男氏との2ショット写真も収録されている甲斐もあり、改めて彼女の交流の広さを思わされます。そして、やはり圧巻はサイバラ版「PLUTO」こと「うつくしいのはら」であり、彼女だからこそ描ける『負の連鎖』が彼女独自の絵とあいまった正面から直球のストライクで心に迫って来るものでございます。
1冊の中にこれだけ盛りだくさんのものを詰め込める西原理恵子だからこそのものであると思います。