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大学図書館、特に国立大学図書館も充分使える存在である。税金で成り立つ国立大学だから当然といえば当然だが、二〇〇四年度からすべての国立大学は、何らかの形で図館を一般に開放している。すべてではないが私立大学にも地域住民に公開がある。さすがに貸し出しをしているところは多くはないが、二〇〇三年座四書館全体の資料購入費は二二四億円で、公共図書館の購入費三三四億上である。蔵書数も膨大だ。なにも流行小説を大量に買っているわけではない。予算が多いのは学術論文が掲載された、いわゆるジャーナルを大量に購入しているからである。門的な文献や学問に関する専門書籍を必要とするならば、まず国立大学に直置されている学部の専門に関わる本ならば当然、豊富な所蔵を期待できる圏であれば経済・経営ならば一橋大学、芸術関係ならば東京芸術大学、語学ならば東京外国語大学など、大学の専門性での使い分けをするのが使うコツである。
図書館の本を書くことは勇気のいることである。図書館学を専門にする学者が「図書館とはなにか」を教える大学がたくさんあり、図書館で働いているプロが何万人もいる。図書館を使う側からのみ観察しているので、図書館の裏側や本質など知りうる立場にすらない。私には想像も付かない知恵がまだまだ眠っているはずである。ただし、誰かが厚かましくも、使い手として批評をしない限り、図書館は新たな展開の手がかりを得られないのではないか。ネット社会の時代になって情報の流通経路や質が大きく変わり、図書館の役割が見直されている今ならなおさらだろう。そう考えたからこそ、多少は勇気が必要な作業も進められたと考えている。