紙の本
裏のある人間ばかり登場したり、連城得意の叙情味が薄いなど、不満をいいだせばキリがありません。でも、読者を引きつり込む力は流石です
2006/03/13 22:26
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「埼玉県堺に近い住宅地に発生した誘拐事件。被害者の家の出来事は、犯人の手によって仕掛けられた盗聴器により、全てが筒抜け。しかも、被害者も捜査に協力する隣人達も、何かを隠している」推理小説。
最近は、どちらかと言うと技巧が影を潜め、人間の心を描くような小説に移行したかに思っていた連城ですが、今回の作品は、連城本領発揮といった複雑な仕掛けが施された推理小説でした。
埼玉県西北部のはずれ、県境の笠井市で起きた誘拐事件。通報してきたのは坂上礼子という、近所のことに監視の目を光らせるおしゃべりな老女でした。誘拐されたのは、自宅の三歳のなる犬だというのです。しかし、そのとき、隣家の梅原芳江の家では本当の誘拐事件が起きていました。
坂上家に駆けつけた捜査員が、礼子から手渡されたのは芳江が書いた手紙。そこには三歳になる娘が昼間、何者かの手で誘拐されたこと、家には盗聴器が仕掛けれら、自分は監視されていること、警察に連絡することも家から出ることも出来ないこと、そして一億円の身代金が要求されていることが書かれていました。
43歳の芳江は昨年離婚、娘のユキと二人暮し。別れた夫 家野輝一郎は、前閣僚である家野大造の三男で、大造は現在、汚職事件の渦中にあります。その贈収賄の額は一億円。果たして、犯人が要求する身代金とその額の間に関連はあるのでしょうか。雪に埋もれた町に頻発する事件との関連は。
不必要に饒舌な坂上礼子は、行動に不審な点が多い。それは被害者である梅原芳江も、もう一軒の隣人の家も変わりません。頑なに口を閉ざし、目をそらす老女が隠そうとするものは何か。東京から届けられる一億円。筒抜けの情報。想像を絶する結末。
久しぶりに、連城三紀彦を楽しんだ気がします。無論、不満がないわけではありません。連城特有の叙情性が、この作品からは殆ど伝わってこないのです。登場する人間にも裏があり過ぎます、組織内部の対立の構図だって効いていません、などなど言い出せばまだあるでしょう。
でも、これだけの仕掛けを、連城の年代の作家の何人が設けることが出来るでしょうか。無論、彼以降の世代の作家には、もっと技巧的な人もいるでしょう。でも、それに叙情性が加味されるとなると・・・。今回、その面では今ひとつでしたが、あっという間に読ませる作品ではあります。傑作、とまでは言いませんが、読む価値ありの一冊です。
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絶妙ですね。
もしかしたらそうかな…あぁ、やっぱりそうかも…えっ!そうなん?…うぉぉう!!そうなんかぁ〜〜!!!
って感じ(謎)。犯人の心情にすっきりしない部分が残りましたけども。
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記録的大雪のさなか、政界の大物の孫娘が誘拐された。
被害者の家にはたくさんの盗聴器が。
この誘拐劇の真相とは。
まさに「意外な真相」です。面白かった。
結局盗聴器は盗聴法案とは関係なかったのかな…??
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作者の陶酔を読者に押し付けないで欲しいよね〜
まわりくどすぎ。
くさすぎ。
倒置法多すぎ。
読みづらいったらありゃしない。
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10月15日読了。「このミステリーがすごい!」2003年度第7位の作品。「イニシエーション・ラブ」でこの作家が引き合いに出されていたので1冊読んでみました。2003年の「このミステリーがすごい」第7位だそうな。筆者の得意技は恋愛ミステリらしいけどこれは誘拐ミステリ。深い雪に閉ざされた町、犯人に盗聴されている現場という舞台設定が緊迫感をもたらしている。犯行が発生してから犯人との押収が発生するから誘拐というテーマはミステリにおいて非常に魅力的な素材なんだろうけど、色んな切り口があるものだな。ちょっと、煮え切らない「・・・。」で終わるセンテンスが多く、冗長な印象があるのがマイナスか。
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タイトルに惹かれて読んでみましたが。
ちょっと名前負けしているような気がします。
核となる部分の逆転の発想はとても良いんですけど。
話が二転三転して振り回されすぎて意味が分からなくなります。
技巧派というのは分かるんですけど、少し脈絡がないかな。
不要に感じる部分が多くてかなり冗長に感じました。
結末も何か腑に落ちないというか、すっきりしない。
動機もまた理解も納得もしづらかったですね。
21世紀には書かれたと思えないほど昭和の匂いがします。
携帯とか出てくるんで、技術的な部分ではないんですが。
いい意味でレトロといった感じでしょうか。
動機も現代的ではないように感じたからかもしれません。
ドラマ化されているそうですが、映像も厳しいかな。
文章を読み続けるには結構しんどい作品でした。
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どんでん返しあり、ひねりありの内容でおもしろい。
2002年の作品らしくちゃんと携帯なども出てきているのだが、なんとなく・・内容が古くさい感じ。
スピード感とか緊張感がないというのか・・
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誘拐を取り扱う作品によくみられるような、
緊張感溢れるスピーディーな展開は、この作品ではあまりない。
そのかわり、登場人物それぞれのの心情が細かく綴られる。
そのため物語は遅々として進まないようにみえる。
その事に若干苛立ちながら読み進めると意外な展開が
待ち受けていて驚かされる。そこは面白かった。
ただやっぱり心情の記述中心で物語が進行するのが
影響しているのか、事実関係がわかりにくかったのと、
誰の心情が書かれているものなのか読み返さないと
わからなくなる部分があった。
犯人の言う動機には釈然としない思いが残った。
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記録的な大雪にあらゆる都市機能が麻痺するなか、汚職疑惑の渦中にある大物政治家の孫娘が誘拐された。被害者宅の至る所に仕掛けられた盗聴器に、一歩も身動きのとれない警察。追いつめられていく母親。そして前日から流される動物たちの血・・・。二転、三転の誘拐劇の果てにあるものとは!?連城マジック炸裂の驚愕ミステリー。「このミステリーがすごい!」2003年版・第7位。待望の文庫化!!。
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2011、2月読了
この作家さんで少し前に誘拐を扱った『造花の蜜』を読んでいます。
今作は造花の~のさらに前の創作で同じ誘拐を扱ってます、サスペンスとして徐々に緊張感が満ちてくる描写は迫力があり一気に読ませてくれます。
ただミステリとしての基本的な構図は造花~に似てたかも?やはり創作順に読んだほうが楽しめた気がする。
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文章が肌に合わないというか。。。多分面白いのだと思うけど、疲れて深く本の世界に入り込めない。途中から斜め読み。
ラストは納得感が無かったな。
タイトルに惹かれて買ったが、内容にあまりマッチしていないのでは。
批判的な意見が多くなったけど、人によっては楽しめる。と思う。
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んー。あれよあれよと展開するけど、いまいち最後は釈然としなかったかなー…。
ピースを先に読んでしまったからかもしれない。テイストは似てる。
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ミステリーだと思うと尻すぼみ感があるのだけど、スリルを味わうサスペンスだと思って読むと良い。
デヴィッド・フィンチャーの映画みたいな雰囲気。
あと「これバットマンなんじゃ・・・?」と突っ込んではいけません(笑)
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文章があわないのか、読みにくかった。
それでも、中盤の緊張感は高く、かなりドキドキした。
ただ凝った話のわりに結末が微妙だったと思う。
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2003年版このミス第7位。
うーん、仕掛けは面白かったのだけど、犯人の動機が弱すぎる。
せっかく、ここまで緻密に作り上げられた話でも
そこで全部、台無しになりました。
タイトルも良いのにね。
(こういう名前の本がずいぶん昔に出てるらしい。)
あと、文章が少し読みづらく感じました。
なーんか残念。