紙の本
胃袋からみた江戸
2006/05/16 21:40
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おにぎり - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ある下級武士の日記を元に、幕末江戸の食生活をのぞいたものです。
日記の主は、紀州藩士の勤番侍・酒井伴四郎という人物。
彼は、家族を和歌山に残し、江戸での単身赴任中に、この日記を書き記しています。
そこには、日々の食事や、江戸での生活、仕事や人々との付き合いなど、彼の日常生活がこと細かく、生き生きと綴られていています。
一藩士の暮らしぶりから江戸の民俗史も学べるので、なんだか得した気分になります。
江戸時代の鳥屋では、ペットの鳥と食肉用の鳥を一緒に売っていた、と書かれてあってびっくり!今とはずいぶん感覚が違うんですね。
この伴四郎ですが、よほど食べることが好きらしく、日記はさながらグルメ帳。
本書を読んで、『元禄御畳奉行の日記 尾張藩士の見た浮世』を思い出しました。こちらは尾張藩士の日記で、食に執着する点ではこの二人、とてもよく似ています。
現代でこそ、コンビニ弁当やインスタント食品が充実していますが、時代は万延元(1860)年—。
たまの外食を除き、伴四郎はせっせと自炊に励みます。「男子厨房に入らず」どころか、安い食材をうまく使って節約しつつ料理している様子が、なんとも楽しそうなのです。まるで某テレビ番組の、「1ヶ月節約生活」を見ているようです。
そして、夏にどじょう汁を食べ、中秋の名月に月見団子を手作りするなど、伴四郎の食事には四季を感じます。
ひょっとすると、季節に関係なくスーパーで一年中食材を買える私たちよりも、豊かな食生活を送っていたといえるのかもしれません。
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引用されている原文は読みにくいかもしれないが、当時の普通の人の生活が垣間見れるというのはなかなかないんじゃないかな。
NHK出版だし、NHKでドラマ化すると面白いだろうなあ・・。
もとの日記はまだ半分くらい残っているらしいので、後編が紹介されたらまた読んでみたい。
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幕末単身赴任下級武士の日記の主に食に関する部分を上品な食いしん坊であろうと思われる著者が抜粋し、現代語に訳し、軽い感想と関連マメ知識等を述べている本。幕末単身赴任下級武士のちょっとした人間関係なんかも垣間見える為、この日記の全文を読みたくなりました。
なにしろ手がかりが少ない中、日々の記録にいちいちコメントを付けるのも大変だったようで「・・・なのか気になるところです」というような文の結びが目立つ部分があったり、変な予想をしてみたりと著者のおっとり感満載で意外とゆるいです。
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時は幕末、万延元(1860)年。紀州和歌山藩の勤番侍・酒井伴四郎が、江戸での単身赴任中に書き記した詳細な日記帳を元に、江戸のグルメを紙上再現!安価ないわしや豆腐で節約しつつも、宴会ではかつお相手に腕をふるい、中秋の名月には月見団子を手作りする。時に王子権現の料亭に贅沢し、浅草で寿司、麹町で牡丹餅に舌鼓。
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私にとって珍しい日本史関係の本。
タイトルの通り、幕末の下級武士の食生活を描いた本だが、江戸という都会に参勤交代の関係で出張(?)しているということもあり、下級武士の割には意外と裕福です。彼等の倹約の努力もかなりありますが。
献立の魚の多さ、半端じゃない飲酒量にびっくり。その量はまるで欧州中世のようです。
読んでるとお腹が空いてくるので、ご飯前に読むことをおすすめします。
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これはよい!
江戸の諸文化に触れるのは大好きですが…
書き手の方が楽しそうなのが一番良い!
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5月14日読了。幕末に江戸へ単身赴任した下級武士・伴四郎の日記から、当時の食生活・文化・風俗を読み解く。自炊して倹約に努めたり、友人の調理の腕や調子のいい叔父のつまみ食いに愚痴をもらしたり、風邪ひき体調が悪くても日本酒で飲んだくれ、江戸と上方の菓子の違いに驚いたり・・・と、几帳面に日記をつける伴四郎の人柄が見えてきて面白い!海・河が近く寿司や新鮮な魚が安く手に入り、ファーストフードとしてうまい蕎麦をスパッと食べることができ、浅草や吉原では常に祭り騒ぎで歩き回るだけでも楽しい都市、江戸。楽しい時代・場所だったんだろうな~。
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江戸時代も、薬喰いと称して肉を食べていたという事実に驚きました。「生の豚肉を店から買ってくる」なんて、想像もしませんでした。
叔父さんへの愚痴も面白い。
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当時の人々の生活は自然をありのままに享受していたであろう。食べ物はその素材の味が濃厚に感じられたであろうと想います。今はあまりにも人工的すぎて、素材本来の味がきっと忘れられてしまっているでしょう。
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[ 内容 ]
時は幕末、万延元(1860)年。
紀州和歌山藩の勤番侍・酒井伴四郎が、江戸での単身赴任中に書き記した詳細な日記帳を元に、江戸のグルメを紙上再現!
安価ないわしや豆腐で節約しつつも、宴会ではかつお相手に腕をふるい、中秋の名月には月見団子を手作りする。
時に王子権現の料亭に贅沢し、浅草で寿司、麹町で牡丹餅に舌鼓。
[ 目次 ]
第1章 江戸への旅立ち
第2章 江戸の日々
第3章 男子厨房に入る―江戸の食材と料理
第4章 叔父様と伴四郎
第5章 江戸の楽しみ
第6章 江戸の季節
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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なにげなく見た新聞の書評欄にあった本なのですが、なにかピン!とくるものがあったので買ってみました。
紀州から江戸への単身赴任を言い渡された妻子持ちの武士・酒井伴四郎(28)の江戸での単身赴任生活(おじさんと同居だけど;)がつづられた日記から江戸での下級武士の生活を覗いてみようという本。
著者が引用しながら解説してます。
中には雑学程度に知られた解説もありますが、実際生活していた人の日記なので、今で言うブログ並のおもしろさ。
お出かけ日記や、食事について、近所づきあいなどなど結構マメに書かれてるんですよね。
作り置きしておいたおかずをおじさんに食べられちゃってめちゃくちゃ文句たれてたりとか、出先で何か食べちゃ酒飲んでたりとか、いつの世の中も単身赴任のお父さんってこんなもんなんですか?(笑)
地味な本ですがかなりオススメします。
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読む度に美味しそうだな〜と。単身赴任している主人公は本当楽しそうに江戸の生活を謳歌していました。いいなあ。
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江戸時代、幕末のころに江戸に単身赴任した武士のグルメ日記
昔のことや外国のことについて書かれた本を読みながらどんな生活をしていたかを想像する。
こういう日記が残っているから一部であれ、昔の人に共感できるのかな。
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20111108読みたい
20140524読了
幕末、和歌山から江戸に単身赴任していた下級武士・伴四郎の生活を食中心に綴ったもの。●昔は肉食が禁忌とされ肉を食べる習慣はなかったと言われるが、滋養や健康のために猪や鹿、豚を煮て食べることはあった(薬食い)。肉を売る店は「ももんじ屋」といい「山鯨」の看板を出した。また、からだを温めるためなのか、風邪のときよく酒を飲んでいる!伴四郎も風邪を理由に豚肉と酒を食している。●炊飯事情。江戸・上方ともに昼食のおかずに重きがおかれた。上方:昼に一度炊き、おかずや汁物と食べる。夜や翌朝は冷や飯を粥や茶漬けで。江戸:朝に一度炊き、味噌汁と食べる。昼は冷や飯と野菜や魚などのおかず。夜は茶漬けに香の物。ただし、大店など家によっては日に二回、三回と炊飯することもあった。●大阪の名店「虎屋伊織」は明治以降閉店し、鶴屋八幡が衣鉢を継いでいる。※京都の「虎屋」とは別の店。●そばもうどんも菓子屋が作り始め、のちに専業の店が登場する。うどんは江戸時代以前。その頃、そば粉を使ったものはそばがきが一般的で、細長いそば切が生まれたのは江戸時代初期。●上菓子は17世紀後半に京都で誕生。当時、江戸では京都に本店をもつ店は「下り京菓子屋」として別格だった。●出世魚「ぼら」。はく→おぼこ→すばしり→いな→ぼら→とど。これ以上大きくならない「とどのつまり」。●京都・大阪は蒸し芋屋が多く「ほっこりほっこり」と巡り売る。江戸は焼き芋。●陰暦(旧暦)に興味あり。いまの暦は旧暦とほぼ1ヶ月のずれがあり、季節感や節句に大きく影響を与えている。
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あちこち食い歩きしたり、同居のおじに作りおきの食べ物を取られて嘆いたり、長屋の同輩と塩などを融通したり。
江戸時代に単身赴任した下級武士伴四郎の食生活を中心に、江戸の食も紹介されています。
堅苦しくなく、面白く読める本。載っているのは日記の前半までらしいので、後半も読んでみたいところ。