投稿元:
レビューを見る
「恋の鞍替え、結婚のゆくえ」
『戦争と平和』の伯爵令嬢ナターシャは浮気性なのか?それとも、人間というものはふと魔が差したようになるものだというトルストイのメッセージなのか?
ダンスを踊って夢中になり、あまりにも唐突にアンドレイ公爵と恋に落ち、婚約期間が一年間ということになると、その間に遊び人のアナートリー・クラーギンに鞍替えしてしまい、しかも破綻して恥じて毒を飲むなんて、信じがたい。幸い命はとりとめたけれども、病気になってしまう哀れさ。
でも、登場する男性たちは適当に遊んでいる風だ。女性だって目移りするのは当然だとでもいうのか。
この小説に登場する若い夫婦たちは、結婚してすぐと不和になったり、うまくいかなかったりするように描かれている。トルストイの経験だろうか、好みだろうか?
小説だからおもしろいのだけれど、結婚はうまくいかないのが普通に思えてくるから困ったもんだ。えっ、困らない!?
わたしの周りにもうまくいってない夫婦がたくさんいる。別れはしないがなんとなく当らず触らず暮らしている。別室主義、家庭内別居。うまくいってないというほどでもないが、遊びに行くにも別々の方が気楽だ、そのほうが楽しいという別行動パターンの夫婦も意外と多い。
もしくは奥さんの他に彼女がいるのが公然の秘密になっている。しかも男たちはそれを許容しているふしがある。もしかしてお互い助け合っているのかもしれない。果てはうらやましがっているかもしれない。もしわたしが若かったら知らなかったかもしれないが、もういまや筒抜けなんだから皆様(苦笑)
いやいや、奥さんのほうにも彼氏がいるのかもしれない。わたしは聞いたことないけれども(笑)
これが熟年離婚しないけれども、なんとなく暮らしてる60代~70代の夫婦の姿だと思う。ちがう?
わたし?
わたしは同室主義、旅行も一緒、ご飯も向き合って食べてるよ~~。(ごそまつさま)
さて、ナターシャも病気が治りかけたよう、続きにかかるとしよう。ピエール・ベズウーホフ伯爵は結婚生活に幻滅を感じている。ナターシャの精神的相談相手だ。とすると、どうなることか?
投稿元:
レビューを見る
第1巻よりはだいぶ読みやすいと感じられた。そして、一層面白いと感じた。
登場人物の個性がかなり際立っていると感じられた。
とは言え、同じ人物でも、ある時には人生に絶望していたかと思えば、ある時には人生にまばゆいばかりの光を見出したり。この第2巻では、メインキャストのナターシャもアンドレイもピエールも、その両方を経験している(…と記憶している、ロストフもだったか?)。
それがとても「人間臭さ」を感じさせるし、自分にとって身近に感じてしまう。ずっと昔のロシアと21世紀の自分が、近くに感じられる。
あと、描写も相変わらず素晴らしい。特に、ロストフが狩りに出かけた時の描写がいいと思った。
投稿元:
レビューを見る
楽しさ。
この2巻を1/5くらい残してだいぶ前に読んでたから誰が誰だっけとか思いつつ、何となくのこってる印象を頼って読んだ。結構それでいけた。人物の印象って残るものだ。
オードリーがナターシャを演じた映画を、読み終わるまで観ないと決めていたけど、ここまでの話のハイライトは知ってたな。しかし、、、ニコラスを演じてるのがジェレミー・ブレッドだったとは。。。気が付かなかったよ。読み終えたら観ようー。
投稿元:
レビューを見る
5つのロシア貴族の家、ストーリーの展開が次第に明確になり、方向付けられてくる。ロストフ家の狩猟のシーンは美しいロシアの自然にトルストイの愛情が向けられているようで好きだ。また終盤でのナターシャの愛の躓きとそれに関わるピエールの心の動きは面白い。今後の展開を期待する。
投稿元:
レビューを見る
ナターシャ、お前はまったく…。なぜトルストイの描く美しい女たちはどう考えても進んではいけない方向へ爆進してしまうのか。
投稿元:
レビューを見る
1巻は序章だったのか?と思えるくらい2巻で一気に物語が動き出す
ぼんやりしていた各人物像と関係性がクリアになっていき、ようやく読みやすくなる
こんな長編モノは恐らく二度と読めないので備忘録のため、あらすじを残しますのでネタバレご注意ください
あまりに膨大なので主要人物にそってまとめることに
■ベズーホフ家
ピエール
莫大な財産を手に入れたちょいダサ男(眼鏡&太っちょ)のピエール
妻エレンが他の男(ドーロホフ)と親密になり逆上して決闘をしちゃったり…
はたまたフリーメイソンに入会しちゃったり…
(秘密結社の宗教団体というよりここでは村の寄り合いの延長みたいな感じだけどね)
勘違いに突っ走り、私財を投じて聖堂を建設したりと、かなり寄付をしている模様(いいように巻き上げられております)
うーんかなり精神的に参っていらっしゃる
しっかり踏みしめようと努めるほど、ますます足下から沈んでいくのを感じるピエール
求めているものとのギャップに苦しみすさんで荒れた生活が続く…
まだまだ青いピエール君
環境を変えたって駄目なのよ、君自身が変わらないとね
純粋で良い子なんだけど、意志も弱く流されやすいし、何か変えたいと思っても頑張るも観点がズレてるし…
不器用で困ったちゃんである
本来は愛されキャラなんだけどなまじ財産と悪妻をもってしまったばっかりに運命にもてあそばれている真っ最中
■ロストフ家
ロストフ家のお坊ちゃマンこと長男ニコライ
もう呑気で平穏な良家のお坊ちゃまではいられなくなり試練が立て続く
試練その①
ピエールと決闘し負けたドーロホフ
今度はソーニャに惹かれ、厚かましくもプロポーズ
ニコライを愛しているソーニャはもちろんきっぱりお断り
腹いせにドーロホフはニコライを賭博の席に招き、こてんぱんにニコライを叩きのめし大損させる
財政難の父に頭を下げ借金をするハメに…(しかしドーロホフって恐いわぁ!サイコだ)
試練その②
連隊へ戻ったニコライ
ドイツのとある村で足止めを食らうことをきっかけに補給が途切れだし、連隊が飢餓状態に
仲間であるデニーソフが飢えた隊員のため味方の歩兵から食糧を略奪し暴力沙汰となり、傷を負ったデニーソフは病院へ
(ちなみにデニーソフはニコライ妹のナターシャにプロポーズ、が母親にしっかりに断られる)
入れられた病院はあふれんばかりのチフス患者ばかり
痩せて黄濁している者、多くの意識のない者、さらには漂う死臭(死体の片付けが追いつかないのだ)
デニーソフの大ピンチのためにプライドを捨て、野心家マザコンのボリスを頼る
ニコライはまっすぐな気持ちを持ちながらも、大人の駆け引きをしなくてはならない世の中に嫌気を感じつつも立ち向かう
試練その③
遅ばせながらようやく居候ソーニャの魅力と変わらない彼女の愛情に改めで気づくニコライ
が、二人の結婚に両親は猛反対
特に母親はこの財政状況を立て直し���もらえるような資産家との結婚を願うため狂ったように反対
大いに反発し、親子の縁が切れる直前までいってしまう
とうとう母親は病床に臥せる
…とまぁ、こんな試練が続く続く
兎にも角にもロストフ家の経済状況がかなり悪化している状態
母親から帰郷をせがまれ、父に代わり立ち向かおうとする
戦時下っぽい出来事にも立て続けに巻き込まれていく
果たして自分の力でどこまで這い上がれるのだろうか
でもね世間知らずだったニコライ君
なかなか頑張ってるのよ
少しずつだけど大人になりつつあるわよ~
一方、天真爛漫のおきゃんな娘ナターシャ
ナターシャは16歳に
もう4年も会っていない(一応彼氏だった)野心家ボリスとは母親の反対もありジ・エンド
さて次なる出会いは素敵な舞踏会
踊りの得意なナターシャをアンドレイが誘い二人は恋に落ちる
生命の抜け殻となっていたアンドレイに幸せが訪れる
しかしアンドレイの頑固な禿山引きこもりの老父(ボルコンスキー公爵)が大反対
二人に試練を与え、1年会えない遠距離恋愛となる
最初のうちは「ママあの人に会わせて!早く!」と駄々っ子レベルだったが、
時間の経過とともに鬱屈した気持ちが腐りだすアンドレイ不在の彼の実家ボルコンスキー公爵家を訪れることになるナターシャ
追い打ちをかけるように、老父から今まで受けたことのないほどの冷遇を受け、心がさらに折れまくる
そんなナターシャの目の前に現れたのが成金貴族クラーギンの息子アナトーリ(禿山老父の娘マリヤを狙っていたが失敗した最低男)
傷ついた心の隙をチャラ男アナトーリがすかさず狙い撃つ
弱り切って隙だらけのナターシャがまさかのご乱心
駆け落ち未遂にまでに発展し大問題に
心より頭が先に動いてしまうアンドレイは冷静にきっぱりナターシャと別れる
どうなるナターシャ!?
さてロストフ家絡みでとても気に入ったシーンが2カ所ある
その①犬追猟
猟犬130頭と20数名の騎馬の猟師が繰り出す大掛かりな狩り
このシーンはスピード感とリアルさを感じる描写が生き生きとして面白い
ちょっと映像で見てみたい
(ロストフ家経済状況本当に悪化してんの?庶民にはお金持ちのレベルがよくわからない)
その②伯父の家
このシーンは今までの本書で一番お気に入りだ
丸木の裸壁のあまり清潔ではない小屋
素敵な家政婦の素敵なたくさんの料理
(料理の描写がにくいにくい ほかほかした湯気とおいしそうなにおいが立ち込めているのがわかる このお家に招かれたい!)
すべてに潤いと、まじりけのなさと、白さと、快い微笑がこもっている素敵な家政婦
そしてバラライカ(ロシアで人気のあるギターに似た楽器)やギターの神がかった演奏
たまらずナターシャが踊り出す
素朴で暖かい幸福な時間
(こちらは映像化しちゃダメよ 膨らむ妄想をめいっぱい楽しめるシーンなんだから!)
■ボルコンスキー公爵家
アンドレイの妻リーザが産気づく
いよいよ…というときアンドレイが戦場から帰っ���くる
一瞬の再会直後妻リーザは死ぬ(無事出産)
逆に精神的に参ってしまったアンドレイは軍務につかず2年間もの間引きこもる
しかしここでまさかのピエールが(失礼)アンドレイの心を動かす
アウステルリッツ以来はじめてあの高い青空を見る
そうナポレオンと会った時、彼の背景に見た青く高い空
彼の内部に眠っていたよりよい何かが目を覚ます
アンドレイの心境の変化には自然の風景が伴い美しく分かりやすい
この描写方法が面白い
こういうところはトルストイ作品の素敵なところだ
一方老父と娘マリヤはモスクワへ
老父の老衰が進行し、忘れっぽいわ、怒りっぽいわ…とさらに嫌な頑固爺に!
完全なる虐待者となり娘マリヤを辱め、卑しめ、挙句の果てに出て行けと言わんばかりに…
ひぇ~歪んだ愛情が怖すぎる
孤独で追い詰められつつあるマリヤ
そんな中、兄の2人目の嫁になるかもしれないナターシャに対してよい感情を持てない
マリヤも心の拠り所がまったくなくなってしまい、崩壊寸前!
というわけで2巻は戦争描写等は一切なく、どちらかというと、各登場人物たちの目まぐるしい動きがドラマ仕立てとなり読みやすい展開に
歴史的にはロシアとフランスが最初の講和条約が署名される
印象的なのはピエールとアンドレイの真逆なキャラ
悶々としながらピエールが考えていた「領地改革」
それをあっさり行動に移しを実行してアンドレイ
対照的な二人の行動を物語っている
器用で感情より先に頭で考えてしまうアンドレイと不器用で気持ちが内側にばかり向いてしまい空回りするピエール
二人の長所短所がかわるがわる波のように満ちたり引いたりする様は興味深い描写だ
そしてナターシャのまさかの大波乱
さらにはマリヤとナターシャの複雑な心境のぶつかり合いが興味深い
二人はそれぞれ良い人柄(特に「戦争と平和」の登場人物の中ではかなり良い方)なのだが、
人間のもつ嫌らしい部分がここで露出する
トルストイの鋭い感性が光る部分
さぁ盛り上がってきたよ~
なのだが、何だろう…
読みだすと止まらないし、面白いとは思うのだが…
1冊読み切る間に、なんとなーく他の本に浮気したくなる
内容がモリモリ過ぎで疲れるというか…
うーん…確かに面白いのだがトルストイは相性がよくないのだろうか…
投稿元:
レビューを見る
話がどんどん展開していく。
啓示されたピエールが、感激して自己完成の内的作業に没頭するも、行動を貫徹するほどの実行力がなくて中途半端になっている様子、最終的に「考えないやつの方がええやん」ってなる感じとか、めちゃくちゃわかる。後半でピエールの思想がどうなっていくのか楽しみ。
575
ある者は虚栄心で、ある者はトランプで、ある者は法律を書くことで、ある者は女で、ある者は愛玩物で、ある者は馬で、ある者は政治で、ある者は狩猟で、ある者は酒で、ある者は国事で、それぞれの人生から目をそらそうとしているのだ。『くだらぬものも、重要なものもない、みな同じことだ。ただおれのできることで、それから救われさえすればいいのだ!』とピエールは考えた。『それを、この恐ろしいそれを見ずにすめば、それでいいのだ』