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愛の処刑だけ読んだ
三島由紀夫が、別名で「薔薇族」で発表した短編。
「薔薇族」はゲイ向けのゲイ専門雑誌で、内藤ルネが表紙を書いたりしていた伝説の雑誌。
ちょっと同人誌みたいなイメージですかね。
ずっと読みたかったのだけど、今姉上が貸してくれたのでばばっと読みました。
登場人物は生徒を誤った教育で死なせてしまった体育教師と、その友人。
友人を死なせた罪を償わせるために、その友人が先生に切腹を強要するっていうお話です。
設定は重いのだけど、作品自体はたった数時間の出来事。
友人も死なせてしまった生徒もすごく美少年らしい。
ちなみに死んでしまった生徒は本当に物語の進行の足がかりでしかなくて、登場人物の心にさして影響を及ぼさなかった、なんだか不憫な子でした。
作品の感想としては、なんか歪んだ愛の形って感じですかね。
三島作品を読むたびに、三島由紀夫の美の価値観は歪んでいると思います。
私には血や苦痛に歪む表情などの美しさは良く分かりません。
腋臭のよさも。
三島由紀夫は何故死をあそこまで美化しているのだろうか。
不思議でならない。
死が美しいものだとは私は思わない。
生が美しいとも思わないけど、生なるもののみ美を生み出すとは思う。
決して生事体が美しいといっているわけではなく。
でも美の価値観はひとそれぞれだし。
素敵な作品であることは間違いない。