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こちらの本は本田さん、内藤さん、後藤さんの3人の共著で、
昨今の「ニート」論のメディアや有識者の語り方、
そして私たち世間が抱く「ニート」に対するイメージに対し、
ちょっとまったー!をかけている本です。
<本田氏>
東大シンポジウムで発表されていた内容を、
さらに丁寧に解説しています。
ところどころに見られる本田節(?)は、
まさにあの時の印象そのまま。
ニートは世間がイメージしているほど増えていないことを、
統計調査のデータから明らかにして、
なおかつニートと呼ぶべき人々も、
その内の3分の2は何かしら活動していることを指摘。
しかし、なぜかそういった人々も一括して「ニート」と呼ばれ、
「支援を必要とする人々」と認識されてしまっている。
また「意欲」や「家庭」の問題とされがちで、
「社会構造」や「労働環境」の問題が看過されている。
このような実態を無視した間違った対策(若者自立支援塾など)に多額の資源(税金)が使われようとしている。
つまりこういうことかなぁ?
世間がイメージとして抱いているニート(=働く意欲がない、ちゃらんぽらん)は、
たしかに存在するけれども、それは今に始まったことではなくて、
昔から存在していてその数もあまり変わっていない。
働く意欲はあるんだけど、求人がない、
働いていたんだけど、企業の中でヒドい扱いを受けて、
辞めざるを得なくなって、そのため今は療養中なんだ、
働く意欲はあけど、今は資格をとるために勉強中とか、
そーいった人たちまで含めて、
とにかく「働いていない=ニート」と一括でくくって、
意欲をわかせる、職業観を養うといった政府の支援は本当に適切なの?
ってことでしょう。
僕の今年の発表では、「若者の意欲や職業観が低下しているってホント?」
っていうところからスタートして、
「意欲や職業観はむしろ高まってきている(専門性の高い職業志望者増)のに、
意欲や職業観を養うといった対策は妥当なの?」ということを、
様々な高校生の意識調査を使って明らかにしてみたんだけども。
本田さんが示す対策の1つに『「職業的意義」の高い教育』を掲げていて、
この内容が、シンポジウムで聞いた時の印象とはちょっと違った。
「どのような仕事があるのか知る」
「労働者の権利」
「仕事の探し方」
「基礎的なITスキル」
「専門性を持つ職業上の能力や知識」
これらまとめて「職業的意義」の高い教育として、
特に5つ目の「専門性をもつ〜」では、
シンポジウムでは特化したスキル(自動車整備など)を身につけて、
そのスキルをいかす仕事(自動車整備士)につくんだという印象だったんだけど、
そーじゃなくて、それを「足場」「ベース」にして、
社会に出て自分で発展させていくのだと。
ドイツではデュアルシステムといって徒弟制のような訓練制度があって、
たとえばパン屋の主人にパン作りを習ってパン職人になるというわけじゃなくて、
その「パン作り」というスキルではなく、「スキルを身につけたこと」に対して
評価を与えるシステムがあるんだとか。
「ニート」という言葉で、若者自身や家庭に責任を押し付けないで、
「労働市場の設計」という位相で議論すべきだ!!と〆ています。
<内藤氏>
近年の青少年問題のメディアの報道に焦点を当てて、
社会問題にすべきは、若者ではなく、若者を問題化する社会的勢力とその悪影響だ!と述べています。
「マスメディア」の影響の強さ・怖さは、
SSGの今年の定例会の全体の発表を通して強く感じていた所ですが、
マスメディアと大衆、そして政治が結びつくと、もっと恐ろしいということを、
内藤さんは述べています。。。
たとえば「物質的な豊かさの反面、人間性が失われた」「インターネットが歪んだ人間関係を生んだ」などを理由(著書では「いいがかり資源」と表現)に、
「青少年の犯罪凶悪化」や「パラサイトシングル」そして「ニート」を論じるが、
これらが全く根拠のないものであることがデータを使ってはっきり示されています。
そして現在は、若者対策とすれば何でもありの状況が出来上がってきてるんじゃないかと。
この辺は興味わいたらぜひ読んでみてください・・・(他人任せ(笑)
<後藤氏>
この方、1984年生まれで、同じ世代なんですよね。
すごいわぁ・・・。
後藤さんも同様に心的側面ばかりに注目されるニート、
「職業構造」「雇用構造」の問題が欠落しているのはなぜか?といところから、
出発しています。
日本版「ニート」が「パラサイトシングル」「社会的ひきこもり」の延長上で語られていて、
それは近年多くのニート関連の新聞記事・投書・雑誌・出版物からも見られると指摘。
特に驚いたのは、2004年から2005年まで、著名な「ニート」関連の本だけでも15冊以上が出版されていたということ。
本田さんも、「ニート支援産業・ビジネス」
内藤さんは「商品」と述べておりましたが、
まさにビジネスとして既に成り立っているのかもしれないですね・・・。
新聞記事の扱い方や、「世論調査の先入観」など、今年の発表でみほが発表した「学力低下」のお話しで出てきた手法に近い内容。
やはり、前者2者同様、就業問題として捉えなおすべきだと〆ております。
今後も「ニート」のような新しい言葉が世の中に登場して、
メディアで報道されて、そしてまたすぐに本になって、
私たちに訴えかけてくると思うのだけど、
その時に「あーそうなんだ!大変だ!こりゃ困ったぞ」と、
情報を鵜呑みにするのではなくて、
「ん?ちょっと待てよ、本当にそうなのかなぁ?」と、
疑問の目を持って情報と接していくにはどうしたらいいのだろう?
たとえば、教育ならどういうことが必要なんだろう。
と、考えるのでした。。。
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第1部、第3部は結構読み応えあるかと。
第2部はまぁさらっと読むが吉。鵜呑みは勧めない。
ニートは当事者の問題だと思っている人は是非読んでみてほしい。
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まぁ何といってもタイトルが面白いですよね『「ニート」って言うな!』。非常に内容を気にさせる本のタイトルだと思います。
・・・と思うと同時に、「じゃあニートって言う代わりに何て言えばいいんだよ」とも考えさせるタイトルだと思います。とにかく、そこらへんの詳しい内容は勿論本書に書かれているので読んでいただけると分かると思います。
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税控除の仕組みを変えてまでニートを世間の悪者にしてしまおうと言う政府の魂胆に立ち向かうため、これを読んでおこう。今が旬。
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玄田さん以降にメディアなどでも盛んに取り上げられるようになったニート論に、ちょっと待ったをかける本書。論点整理はすごく出来てると思うんだけど、結論部分がどうにも納得できない。どこに目的を置くかによって、星が増える可能性もあるけど…
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第1部本田由紀担当分に関して、久々に出会った「東大の先生のしょーもない本」。全員がいわゆる「ニート」ではない。うん、それは知ってる。その後の分析を下さい。
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著者3人がそれぞれに、昨今の「ニート」論議に物申しています。
本田由紀氏は、ニートは若者の心ではなく労働市場の問題であると、内藤朝雄氏は、社会の憎悪が若者に向かっているとを指摘。その上で目指すべき社会のあり方に踏み込んでいます。
大学生である後藤和智氏は雑誌や本の論調を批判的に検証しています。
私自身、ニート=やる気のない若者、というレッテル貼りに違和感を覚えていたので、こうして現状を丁寧に分析する姿勢を見習いたいと思いました。
働いていないことを、安易に若者の心のせいにするな!
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声高に、お見通しよ、と語られている主流の若者たち、少年犯罪、そして社会の考え方に
疑問を投げかけて、考えるきっかけになると思います。
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ニート予備軍なので読んでみました。が、内容は社会学のメディアスタディーズの研究手法を使い、「ニート」という言説を事細かに分析し批判してます。
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2006.02 3人の共著になっているが、3人のアプローチが違っていて3冊読んだ気になりました。内藤朝雄氏のマスコミがでっち上げるヒット商品としての「ニート」という考え方は面白い。
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「ニートと呼ばれる人たちは、なにもひきこもりのようなクズばかりではないんだよ」と言いたいっぽい。
最後の人は比較的そうでもなかったけど。
擁護するなら他の立場を貶めることによってではなく、それ自体を擁護すべきだと思う。
最後の人がなければ★ひとつ。
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ニートという言葉が如何に誤った概念であるかを力説した本。3部構造で、1章が労働政策上にこの言葉が持ち込まれることの問題点、2章でこの言葉を若者批判に用いるメディア(とそれにのっかる政府当局)の問題点が論じられている。いずれも非常に優れた論旨展開がされて、納得できる部分が多い。政府としても労働政策を変えるのは企業側からの圧力もあって大変だけど、若者のせいにすれば楽ちんできるもんね。一部のNGOが「ニート利権」を利用している!ってのはとてもよい指摘。3章はニートという概念がどのように使われていたかの概略で、これだけいまいち主張が弱いのが残念。構成的にも初めに持ってきた方がよかったんじゃないかなぁ。何となくニートという言葉を使っている人は必読。
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この本を読んで、いわゆる世間で言うニートと私の認識のニートがずれていることが分りました。
「投影同一化」という概念が難しかったですが、面白かったです。
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よく「ニート」って聞くようになりましたね。
ニートの人にとっては「ニート」って言われるのは嫌なのですかね??!
この本でニートの気持ちが少しわかると思います。
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ニートをテーマにした、少し前の話題の書を、今さらながらですが読みました。
多くの書籍やニュースで、ニートが取り上げられていた時から、違和感を感じていた私ですので、おおむね期待通りの内容でした。
「ニート」というコトバがひとり歩きし、また統計の数字のマジック、メディアによる社会不安の扇動等、ニートに限らず往々にしてよくあることですが、根本的に早期に解決するのは難しそう、、と思いながら読み終えました。