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紙の本
「人は人間を含めた生き物を殺すことにスリルを感じる性向をもっているのかもしれないのです」。画も共に味わいながら「生と死」に思いを巡らせる。
2007/02/12 10:03
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
生命科学者であり、長い闘病生活をおくっている著者の生命観を、静かな文章と福井爽人の画とで味わう小品である。著者の本は、これまでどれも最先端の生命の知識を優しい言葉で取り入れ、生や死、についての深い考えを伝えている。この本にもDNAや進化、生命の誕生の歴史などの話から、死とはなにか、教育とはなにかという話まで、これまで著者が語ってきたことが書かれている。これまでの著者の本を読んできた人には、余り新しいことはないだろうが、画と共に味わいながら「生と死」に思いを巡らせるのには手ごろかもしれない。短い文を集めたものなので、短時間でも読める。
「あとがき」に著者は『般若心経を訳し、関連する本も書いて意欲が無くなった。しかし編集者(集英社)の勧めで古い原稿をまとめてみたら「私の生命観を読みやすく表現した一冊」になっていた。』と書いている。この本を良く現わしている言葉であろう。
『般若心経を訳し、関連する本も書いて・・』と言うのは「生きて死ぬ智慧」と「いのちの日記」の二冊をさすのだと思われる。そうだったかもしれない。この二冊、とくに「いのちの日記」には著者の闘病生活と、神や生きることへの著者の信念の成立が鮮烈な文章で綴られ、あふれ出るものが感じられた。その後にまとめられたこの本には、古い原稿をまとめたというせいもあってか、各章が少し繋がりが少ないような感じも否めないではないが、そのようにあふれ出るものが過ぎたあとの、落ち着いた静寂が感じられる。
静かな文章で語られると、「(ある人類学者の研究では)ヒトが動物を殺す動機は、動物が死ぬ瞬間に感じるエクスタシーであると結論づけています。」「人は人間を含めた生き物を殺すことにスリルを感じる性向をもっているのかもしれないのです。」とショッキングなことを書かれても静かにうけとめて考えることができる気がする。もしかすると、「殺すことが快感」という感情もないと、食べるための動物も殺せなくなったかもしれず、必要な機能だったかもしれないなどと。しかし、原初の動物には必要だったそんな機能も、複雑になったヒトではおかしな発動をすることもある、というのが現状だろうか。なぜおかしくなったのか、を考えることが大切なのかもしれない。著者と共に、静かに考えたくなる。
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