紙の本
読後、世間の風景が変わるかもしれない
2006/07/14 21:30
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:そら - この投稿者のレビュー一覧を見る
「癒し」という言葉はもうすっかり手ずれしてしまっているけれど
やはり「癒し」というキーワードがまず思い浮かんでくる。
自分の凡庸さに辟易しながら・・・
くさいんじゃないの?と言えば
きっと、いしいしんじファンには怒られてしまうだろう。
美しい心、と言えば抽象的過ぎる。
登場人物の心は、美しいというより、透明で強靭である。
相手の心をとかし=癒し、読者の心を癒す。
ちょうど「風呂屋の島田夫妻」の「すべてを溶かす黄金色のお湯」のように。
というとまた、新興宗教の教祖が行う奇跡ほどに胡散臭いが。
胡散臭さとファンタジーは紙一重だ。
フィクションは現実の鏡であり、現実を渡世してゆくための平和な武器となる。
これらの短編のひとつひとつが、世界の見かたを変えてくれるかもしれない。
複雑奇怪で悪意に満ちた世界が、シンプルで透明な“見える世界”になるだろう。
試してみるといい。
世界の風景を変えてみよう。
老獪な世間がひどく単純な原理で動いていることが分かるだろう。
眉ねにしわ寄せる原因など風に吹かれて飛んでいってしまうだろう。
「ボクシング選手のフェリペ・マグヌス」
たった2ページの物語。
その最後のセンテンスにこの世界の可能性が透視される。
「偉大なるフェリペは教えてくれた。この世界は、勝者のためにだけうつくしいというわけではない」
あたりまえのことなんですけどね・・・。
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いしいしんじをまだ知らなくて
これから読もうかな、って思ってる人にとってこの本はとてもいいです。いしいしんじの良いところがいっぱいつまっていて、これが好きなら、きっとあなたはいしいしんじの作品を好きなはず。
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ダヴィンチで連載されていた作品が書籍になりました。
さまざまな職業をもつ人びとのちょっとしたお話。
一遍づつ電車などで読むこともお勧め。
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大好きな雑誌ダ・ヴィンチでの連載をまとめたもの
中でも「似顔絵描きのローばあさん」が良い◎
いしいしんじの中でも一番オススメの作品
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物語作家いしいしんじさんの書くまるでこの世界のどこかで生きているような登場人物の、30もの短編。あたたかく、けれども少し残酷な昔話を聞いたときのように心に響く。
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淡いグリーンの装丁なのにあったかい印象を受けて購入。少し切なくてあったかい話がじんわり心に響きます。表題作の『雪屋のロッスさん』と『床屋の国吉さん』が好き☆
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短編集です。ひとつひとつがとっても大切な物語。人生は辛いことがあってこそ愛すべきものになるんだろうなぁ
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ダヴィンチ誌上で連載されていた「本当のしごと」の単行本。
短い短い話が30編。
短いからか、職業がテーマだからなのか、いつものいしいしんじ作品より地に足がついてる感じがしますよ。
いつもの異国感はそのままに。
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いしいしんじの最新作は30の物語をまとめた短編集。いしいワールドはこの本でも健在です。他の長編作品と比べ、短く、シンプルにまとめてありますから初めて彼の著作に触れる読者にとっても読みやすいのでは。文面の背後にうっすら臭う現代のくすみが、たまらなく美味しい作品。
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みんな生きている。
みんな働いている。
とある街に住んでいる、30人の物語。
果物屋さん、ボクサー、見張り番などみんな仕事は違うけど、共通しているものを一つ感じる。
それは、みんな自分の仕事に誇りを持っていること。
どんなに荒唐無稽な職業でも、彼らはそれのプロフェッショナル。
人柄や感情をにじませながら、真摯に自分のできることをやり遂げていく。
文体が「ですます調」と「である調」が入り混じっているので少し読みにくいのが難。
でも、この本のほんわかとした雰囲気と、その中に一本通った芯の強さはとても心地良い。
僕もこんな風に、自分と仕事に誇りを持って行けたら。
働きマン前面肯定。
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真面目に、誇り高くそれぞれの「仕事」に取り組む30人の肖像画のような掌編集。
『ぶらんこ乗り』に出てきた、うそつきの名人の少年を思い出した。素敵な作り話を次々に語る少年。
彼はまさにいしいしんじ自身の姿だなあとしみじみと思う。
一編が短いけれどそれぞれに深い味わいと寓意に満ちているから、これは一度に読んでしまうべき本ではないと思う。一編を読むごとに一度本を閉じて深く息を吸い込み、その短くしかし輝かしい作り話をもう一度味わう。そんな所作がふさわしい素晴らしい本。
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さらっと読み流してしまっては、つまらない本になってしまう。じっくりと、何度も噛み締めて読みたい本である。でも、せっかちな自分には、ちょっと、、、。
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わたし的、初いしいしんじ作品!!短編が沢山収められた本です。どれもこれも素晴らしすぎます。各作品、思いを巡らしながら読んでいく訳ですが、頭の中に広がった光景さえも大切に感じます。いしいさんに出会えてよかったです!!
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「ただ、彼は雪を憎んでいるわけじゃなかった。きっと、雪を見ると何かを思い出さずにいられないのでしょう。もうこの世にいない、大切なひとの写真を見せられたとき、胸がつぶれそうな思いがするのと同じように」
(P.80)
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いろいろな仕事をする人々、その人の世界が丁寧に書かれている。短編集。
ゆっくり味わって読むと更にその世界が浮きだって来る。おもしろい。
「白の鳥と黒の鳥」は癖が強かったが、これは、勿論いしいしんじワールドは全開だが、よりいろんな人に受入れられると思う。
この本の装丁もかなり好き。