紙の本
見えない恐怖に脅える前に
2006/03/22 22:36
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある人々はいう。人類の排出した二酸化炭素によって地球の温暖化が進んでいる。早急に対処しなければ海面が上がり、都市が水没してしまう。またある人々はいう。ダイオキシンは史上最強の毒である。これがゴミ焼却炉から大量に出ているのは問題だ。ダイオキシンが出ないようにしろ。こんなことも言われる。ブラックバスは日本の生態系を破壊する害魚だ。全力を持って駆除すべし。これらの問題は究極のところ自然保護につながる。自然は守るべきだから一生懸命協力しよう。
だが、ちょっとまった。その前提と論理は正しいのか?温暖化もダイオキシンも見えない恐怖である。見えないなら、ますます論理には気をつけなければならない。
今は地球温暖化が問題にされるが、ほんの数十年前までは地球は寒冷化している、というのが通説だった。だれもが迫り来る氷河期を心配していた。現在の状況とは正反対だ。なぜこんなことになるのか。それは、現在の科学ですら気象はあまりにも複雑すぎて扱うのが困難だから、だ。二酸化炭素が増えると温室効果でガンガン温度が上がって地球の大ピンチだ!というあまりに単純なモデルは、成り立たない可能性が極めて高い。二酸化炭素の温室効果がどの程度ありうるのか。ヒートアイランド現象で都市部の気温が上がっているのは間違いがないとしても、それは直ちに地球全体の温暖化につながっているのか。このあたりは冷静に判断されなければならない。
もちろん、これまでの研究で10万年以上の気象変動を追うと、二酸化炭素濃度と温度が連動しているのは事実である。しかし、現時点では「二酸化炭素が増えたから温暖化した」のか「温暖化したから二酸化炭素が増えた」のかははっきりしていない。
そして、地球の気候にもっと影響を与えるものがある。熱の補給源である太陽だ。太陽活動と気候の変動ははっきり関連付けられている。今がたまたま太陽の活動期だから何箇所かの平均気温が上がった、という可能性が高いのだ。
ダイオキシンにしても、騒がれすぎな問題である。通常の食品に含まれるダイオキシンだけで致死量を摂取しようとすると、途中で胃が破裂してしまうだろう。なにしろ、あの”所沢の高濃度ダイオキシンほうれん草”ですら、100トンほど食べないとダメなのだから。
そういった、恐怖を感じる前に持っておくべき基本的な知識を簡潔にまとめてあるのがすばらしい。そしてまた、環境問題を語る上で避けて通れない話しもしっかりされている。すなわち、カネの話だ。
たとえば、二酸化炭素を技術的に減らそうと思えば可能である。しかし、それには膨大な投資が必要だ。では、その投資をしただけの見返りがあるだろうか。そこをもっと考える必要がある。環境は可能な限り乱さないのが一番なのは論を待たない。しかし、カネは無尽蔵にあるわけではない以上、十分な安全性を保てるレベルで妥協点を見つけなければならないのだ。
そんな冷静な視点を与えてくれる好著である。ちょっと挑発しすぎているように見えるところもあるが、そこは挑発されたと思ってさらに問題を深く突き詰めて考えるきっかけにしたらいいと思う。そうすれば、環境問題についてさらに広く深い知識が得られるのではなかろうか。
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ちょっとタイトルに騙されたかなと言う感想。
報道されている事をそのまま信じるんじゃないよ〜を言いたいのでしょうな。
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著者の物事の考え方の基本的なスタンスに親近感を覚える。本書で取り上げられている問題の本質は犬連れ登山批判にも通じると思う。
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前半の地球温暖化やダイオキシン、外来種の問題はそこそこまとまっている。リスク論の考え方を基本にロンボルク本からデータを援用するなどして議論を進めていく。ただ援用の域を超え焼き直しに成り下がっているのは残念(そのくせ妙な解釈で大口を叩きつつ議論は進む)。この手の本を既に読んでる人間には無用の本。ただ新書だし、薄く読みやすいのでここから著者も紹介している本にすすむ為の踏み台として考えれば有り難みを多少は絞り出せるかもしれない。後半は、著者の個人的な観点から自然保護の話が進み急速に議論を裏付けるデータがなくなる。そのためにただの感情論に走りっているようでハナシが粗雑になっていく。前半部で著者が批判していた議論の進め方が後半は進められていく形で、蛇尾。
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<07/1/29読了>「地球温暖化」には兼ねてからずっと疑問を持っていました◆そもそも地球は実際に温暖化しているのか? 実際に温暖化しているとしてそれは本当にCO2の増加によるものなのか? そうではなくて、地球としての大きな気候サイクルによるものではないか? さらに言えば「地球温暖化」を含む「環境問題」は本当に「問題」なのか?◆そうした疑問に、豊富なデータをもとに的確に答えてくれる本◆著者の主張にうなずくかどうかは別として「健全な懐疑心」を育てるためにも本書は一読の価値がある
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わたしが若い人たちに言いたいのは、世間で流通している正義の物語を信じるのは、墓にないってからでも遅くないってことだな。正義というのはあなたの頭を破壊する麻薬である。麻薬中毒になる前に、たとえごくわずかでもいい。抵抗せよ。
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読破した翌朝から、新聞やテレビの言っていることが信じられなくなってしまった。
同時に、このようなウソを大々的に報道している報道機関に対し、憤りとともになんだかかわいそうにさえ感じられた。情報過多かつ氾濫している世の中では、人間がどんなに賢くなろうとも、あるひとつの論文が正しいか、信憑性に欠けるのか判断するのには人間の手を介さなければならない。そこで、今思い出したのだが、マイクロソフトを筆頭としたIT産業の人々のやり方は賢いと思う。というのも、アイデアを全社員で掲示板上に公表し、料理し甲斐のある内容については掲示板上でどんどん更新され、そうでない内容については検索数が少ないために淘汰されていく。このやり方、賢い!メディアは365日24時間情報を提供し続けなくてはならないから、日々時間に追われて内容の吟味といったことが難しい環境なのかもしれない。
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生物学者の著者が、環境問題について世間で流れている情報は「かなり
いかがわしい」と指摘する。取り上げるのは、地球温暖化、ダイオキシン、
外来種、自然保護の4つの問題。マスコミが大騒ぎする環境問題を冷静に
さぐってみると、ウソやデタラメが隠れている。科学的見地からその構造を
暴く。
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データを実際に調べてない人間にとってはどっちもどっちなんじゃないか。
確かに、官庁にとって都合の良いように踊らされてるって面は大いにあるとおもうけど。
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地球温暖化・ダイオキシン・外来種・自然保護の”ウソ”(一般的に知られている事実とは、別の見方をした考え)について、筆者が解説した本。二酸化炭素が増える=必ずしも地球温暖化に繋がらない可能性があるなど、今まで自分の持っていた知識を考え直すきっかけになる本でした。(2008.3.16)
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地球温暖化問題、ダイオキシン問題、外来種問題、自然保護、これら4点のウソ、ホントについて著者自身の考えが書かれてある。内容の多くは世間一般的な環境問題に対する常識を疑ってみようという感じ。
正直、環境問題は分からない事ばかり。本書の内容に納得しそうな部分もあるし、この本自体がウソなんじゃないかとも疑ってしまうところもある。
悪いニュースは良いニュースという考えをマスコミは性質として持っている。そのため、環境問題も専門的で目には見えない問題であるからして、マスコミの視聴率・売り上げアップのために利用されてるのではないかと危機感を感じる。
自然保護のために。といった正論は人々の思考を停止させる。1つの説に限定した狭い見方より、本書のような批判的な見方も必要で、様々な考えが飛び交う事で、皆が考え環境問題の解決へ向ける一歩につながるのかなと思う。
ただ、文章の中に「バカ」とか連発するのはいただけない。活字という、相手の顔、声、雰囲気が感じられないメディアにおいて、そういった言葉を連発すのは、不信感を抱かれます。
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ほんとに「知る」ということの大切さを実感。
無知なくせに「環境、環境」「エコ、エコ」なんていわないことだな。
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地球温暖化、ダイオキシン、外来種、自然保護・・・マスコミで取り上げられることも多いテーマについて、別の視点から論じている一冊です。
私は、環境問題に対して強い関心があるわけでもなく、詳しくもありませんが、読んでいて少し違和感を感じました。
対象読者層に合わせているのかもしれませんが、重要なテーマを論じている割には、文章が軽すぎますし、専門家ではない方(あとがきで著者本人が書いています)が、ここまで断定的な書き方していることにも、疑問が残ります。
環境問題を論じるよりも、環境問題をテーマにして、「マスコミ(に限らず)の一方的な論調を信じてはいけない」ということを語りたかったのかもしれません。
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温暖化・ダイオキシン・外来種などの問題について、コドモ向けな口調で懐疑的な見解を述べている一冊。この中で著者が専門としているのは外来種問題だけという事もあり、この章が一番面白い。
本書を通じて展開される著者の主張には賛同したいが、各論レベルでは素人にも指摘できる問題点が散見される。例えば、普通のメシに含まれるダイオキシンがこれ位で、致死量に達するには30万日分食わなきゃいけないから、全く問題無いだろうみたいな論理を展開させている個所がある。これは、普通のメシに含まれるダイオキシン量(濃度?)がなんかの拍子に30万倍になる可能性がゼロ(に近い)という事も立証しないと、論理的な説明にはなってない。30万倍っつーとすげぇデカい気がするからありえないでしょ、っていうのはまさに数字のトリックでしかない。
100円。
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環境問題に関しての3冊目の本だけど、この手のタイトルの内容はほとんど同じで環境問題が政治問題にすりかわっているのがやはり根っこの部分なんだろう。
とにかくこれで、懐疑主義に関しての書籍は終わりです。
次からはもっとちゃんとした環境問題に関して自分たちが本当の意味でなにができるのか、を知りたいです。