紙の本
地熱発電はエネルギー危機の救世主か!?
2006/02/20 19:08
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投稿者:朝日新聞社 - この投稿者のレビュー一覧を見る
外資系ファンドに勤める野上妙子は、地熱発電を研究運営する日本地熱開発(地開)の再建を任される。妙子は地開社長の安藤幸二や研究責任者の御室耕治郎から地熱発電の大きな潜在力と将来性を力説され、再建の可能性を探る。一方、日本は欧米諸国から原子力発電の閉鎖を強硬に求められていた。総理や“日本原子力の鬼”と謳われた与党の大物・安藤大志郎らは善後策を練るが、安藤は「原発なんぞやめてしまえ」と放言する——。その真意はどこにあるのか?
最新のエネルギー情報をちりばめて描くビジネスマン必読の大型経済情報小説。
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真山仁(まやま・じん)
1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部卒。新聞社勤務を経て1989年に独立。2003年に共著・香住究名義で『連鎖破綻ダブルギアリング』(ダイヤモンド社)でデビュー。真山仁として『ハゲタカ 上・下』(ダイヤモンド社)、『虚像(メディア)の砦』(角川書店)がある。スケールの大きい経済情報小説の書き手として注目を集めている。
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マグマのように熱い人間ドラマ
2009/11/17 13:02
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:rindajones - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の主人公(野上妙子)と同様に、この本を読むまで地熱発電のことは全く知らなかった。ただ、原子力発電への依存度が高まっている日本の発電方針には、少なからず疑問、もっと言えば恐怖や不安を抱いていた。
いつの頃から原子力発電が”当たり前”の存在になってしまったのか?
本書を読んでその疑問の原因が少しだけ分かったような気がした。
小説自体はフィクションであるが、先のWikipediaを含めて地熱発電について少し調べたところ、小説の内容は現実と大きく飛躍するものではない。著書の作品はこれまで「ハゲタカ」「バイアウト」「ベイジン」と読んできたが、これら同様にリアルで上質なフィクションなのである。
地熱発電のことを知るほど、クリーンエネルギーや代替エネルギーが叫ばれている昨今、地熱発電こそが最も日本にふさわしい発電方法であるような気がしてくる。それなのに、何故今まで地熱発電のことを聞いたこともなかったのだろうか?自分の無知さもあるのだが、これだけ代替エネルギーが叫ばれている中、少しぐらい話題に上ってよさそうなものだが...。
最大の原因はこれかもしれない、本書から抜粋。
電力会社が原発という神の火を手に入れ後戻りできなくなった
今の電力会社の存在こそが地熱発電を握りつぶしているのかもしれない。原子力をやめますか、それともエアコンの無い環境に戻りますか という二元論を突きつけてくる(であろう)電力会社。その二元論は間違っていると個人的には思う。物事はそんなに単純ではないことは歴史が証明しているし、これからもそれは真実である。
本書も「ベイジン」に劣らず熱い人間たちのドラマである。「ベイジン」のラストには不満があったが、本書は良かった。「報われた」という想いで胸が熱くなった。著者の多くの作品のテーマにもなっている「何のために働くのか」「企業の社会的責任」にも果敢に取り組まれている。タイトルの「マグマ」のように熱い著者のメッセージが伝わる作品である。
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日本で初めての本格的な地熱発電所が立ち上がるまでを描いた経済情報小説。読みやすい文章にそれなりのミステリをちりばめた佳作。
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スケールの大きな経済小説です。真山仁さんの作品は初めてでしたがとても気に入りました。読み応えあります。
いろいろな人の願い、思惑、腹、が交錯して経済、政治を巻き込んだエネルギー問題が繰り広げられます。
真山仁さんの作品を他にも読んでみたいですね。
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だいぶ前に読了。
以下、メモ。
外資系ファンドに勤める野上妙子は、地熱発電を研究運営する日本地熱開発の再建を任される。地熱発電の大いなる潜在能力と可能性を信じ、再建を模索するが――。地熱発電に命をかける研究者魂、地熱発電を政争に利用とする老政治家の思惑や外資ファンドの暗躍などに加え、最新のエネルギー情報をちりばめて描く大型経済情報小説。石油価格の高騰と共にエネルギー危機が叫ばれる今、話題沸騰間違いなしの問題作。
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さもありなんと思うことがてんこもり。外圧と政府対応、政治家と利権、風見鶏の企業、利益団体の経済界、原発頼みの電力業界の事情、正義面マスコミの浅薄さ、役所の前例・無責任・怠慢主義と、補助金行政、企業買収劇、世の仕組みを明快に表現し、そうした中にあって、人の信念と情を訴えてやまない。
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原子力vs地熱のエネルギーをめぐった攻防。単純に効率や安全といった科学・経済的な理由だけでなく、政治的な力が働き、一筋縄ではいかないところがおもしろい。光だけでなく、必ず闇を小説に取り入れるところが真山仁氏のすごいところ。是非とも読んで欲しい。
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多様な人物設定も違和感なく、書きようによっては難しくなってしまう原発に変わる代替エネルギーとしての地熱についてもわかりやすい。
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原発の安全性の賛否。
現実の世の中でも、放射能もれやその管理体制に対して
メディアが騒いでいる。
しかし原発を無くし別のエネルギーを活用しようとしても
今の日本の電気消費量は原発でなければまかなえない。
自身の生活レベルを落としてでも
原発をやめることが出来るのであろうか。
そしてそれを国民全てに理解してもらうことなど出来るのであろうか。
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やっぱり真山さんの小説は面白い。
何気に外資系投資銀行ゴールドバーク・コールズ東京代表・持田のキャラが結構つぼだった。
脂ぎった太った中年でセクハラ親父でありながら常にグレーゾーンを歩くハゲタカファンド史上最強の策士。
真山さんの小説『ハゲタカ』にも似たようなキャラがいたな、確か飯島とかw
狙った獲物はどんな手段を使ってもむしり取る。
世界的ファンドによる格付け操作、メディアの情報操作、空売り、債権処分、投資家へのリークなど一度狙った企業に畳みかける勢いは鬼神のごとくであった。
戦略とは権力を手に入れたときの使い方である、そんなことを改めて感じた。
少し前にハーバードビジネスレビューで『理想の為に権力を得る』という論文を読んだが、その意味が分かったような気がする。
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「地熱」をご存知ですか!?
原子力発電とか風力発電とかを唱えている人に読んで欲しい作品。
政治の世界も垣間見える。
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久しぶりに小説を読みました。
小説と言っても、ビジネス小説で個人的にはこのテリトリーは初めてです。
大まかなあらすじは、
外資買収ファンドが新しいエネルギーを開発している企業を倒産の末買った。
そしてその企業を再生し売却する過程で、世界や国家、政治家、
科学者の権利争い、そして内部の権力争いを起こしつつ、企業再生に向けて、
1人の外資買収ファンドエリートが奮闘するって感じです。
結果は、けっこう面白かったです。
やはりビジネスとは泥臭く、血生臭い戦いの上で、幾重にも戦略という網を
張り巡らして行っていくものなんですかね。
情報戦、心理戦共に秀でた戦い方を出来ないと、すぐ敗北となってしまう。
そんな厳しい世界のようでした。
ただ、あくまで小説の話です。
だけれど、かなりノンフィクションに近い感じがします。
そして、私自身もそのような戦場に出る身です。
覚悟しなければなりませんね。
そして、胆に命じておかなければなりません。
「人間」と戦うという事を。
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ハゲタカ バイアウトに続いて真山 仁モノ
この人の作品は非常にリアリティが高くて読んでいてとてもわくわくする。 基本的にはビジネスの世界を描く小説なんでしょうけど、地熱発電というキーワードが絶妙に絡んできて非常に面白い。 この話が小説の中だけではなくて、実世界でも動いたら・・・ 面白そうなのにな
(2008年4月)
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『マグマ』という、いかついタイトルに地熱発電がテーマという工業的な装いの小説。
サブタイトルには「国際エネルギー戦争」なんて付いていますが、中身は企業小説というよりは人間ドラマという個人的印象。
一般的に使われている書籍紹介(下記"あらすじ")では「大型経済情報小説」「ビジネスマン必読の書」などと書いてありますが、本当に本書を読んだのか?と疑ってしまいます。
仕事に一途で不器用な研究者の夫とそれを支える妻のやり取りが美しく、外資系ファンドの主人公の成長、奮闘振りが若干霞んでしまうほど。
結末はどうあれ、同著者の『ハゲタカ』よりも心温まるお話と思います。
【あらすじ】
外資系ファンドのゴールドバーグ・キャピタルに勤める野上妙子は、東京支店長の待田顕一から、地熱発電を研究運営する日本地熱開発(地開)の再建を任される。妙子は地開の社長・安藤幸二や研究責任者の御室耕治郎から地熱発電の大いなる潜在力と将来性を説明され、再建の可能性を探る。一方、先進国エネルギー問題会議で、日本は欧米から原子力発電の閉鎖を強硬に求められていた。出席者の川邊勲は、帰国後、総理や“日本原子力の鬼”と謳われた与党の大物・安藤大志郎らと善後策を練るが、安藤は「原発なんぞやめてしまえ」と放言する。安藤の真意はどこにあるのか?最新のエネルギー情報をちりばめて描く大型経済情報小説。石油危機が叫ばれる今、ビジネスマン必読の書。
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外資系ファンドのターンアラウンド(企業再生)部の野上妙子は、
休暇から帰ってきた時、
自分の机、部署がすべてなくなっていたことに気がついた。
問いただそうと東京支店長の元に向かったところ、
彼から、地熱発電を研究し運営する日本地熱開発の再建を任された。
原子力に替わるエネルギーとして、
地熱発電の潜在力や将来性、安全性を見越しての再建だという。
この裏には、中国、インド、韓国の急速な原発建設にともない、
これらの国の核保有に恐怖を持った欧米各国が、
日本のすべての原発の閉鎖を強固に求めていたからだった。
原発の問題点とは。
地熱発電は資源を持たない日本にとって、
エネルギーを生み出す真のものに成り得るのか。
この人の小説はやっぱりおもしろいね。読みやすいし。
原子力発電の仕組みもなんとなく理解できたし。
小説で書かれている、数字のまやかしも実際ありそう。
最後の方では、彼女と研究所の所長とのやり取りで泣かされちゃったし。
どこまで本当のことかはわからないけど、
地熱発電開発が進まない理由に、
政治や業界、官僚の思惑がからんでいたりして。
これだけ柏崎原発のもろさが浮き彫りになると、
原発がこわく感じる。
「想定外のことが起きた」って、
想定外以上のことが起きることを見越して
発電所を建設してるわけじゃないの?って。
あんなに危険なものを扱っているのに・・・。
何かあったら取り返しがつかないんだよ!
わたしたちって、
「原発やめますか? それとも今の便利な生活やめますか?」
っていう電力業界のプロパガンダに踊らされてるのかもしれない、
ってチラっと思っちゃった。
もちろん、もうこの生活はやめられないんだけど・・・。