紙の本
私たちが知らない民主主義と憲法の知識が詰まっています!
2018/11/22 12:08
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ユニークな内容と構成で話題を呼んだ『痛快!憲法学』の愛蔵版です。同書には、私たちが知っていそうで、実は知らない民主主義の本質や憲法の話が満載されています。とても分かり易く書かれていますので、誰でも容易に理解でき、また簡単に読み進めていくことができます。政府による憲法改正が議論されている現状において、今一度、憲法や民主主義について考えてみるのもよい機会かもしれません。
紙の本
読みやすかった!
2016/10/17 13:22
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投稿者:チエ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は憲法学者ではないらしいし、これ一冊で「憲法学んだ」とは言えない(とおもう)けれど、「憲法が大事なのは分かってるけど、どこから学べばいいのか皆目見当つかん!」という私にとっては、出会えてラッキーだった本。私にとっては、一読して他人に説明できるようになるほど簡単な内容はないけど、これを足掛かりにもう少し深く学びたいなと思っています。
社会科も、暗記でなくてこういうこと教えてくれれば良いのになぁ...
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社会系の学問をすべて統合し、今の日本における問題を正すには憲法に行き着くと結論付けた小室氏。改憲、護憲の議論の前に死んでしまった日本国憲法をよみがえらせるには民主主義の思想、資本主義の精神に立ち返らなければならない。社会主義国となりはてた日本の傷は深いみたいです。あとアメリカの民主化政策の無謀っぷりも痛感させられます。(2006/7/16読了)
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・議会と民主主義は無関係(ナチ御用学者カール・シュミット)
・ヒトラーの経済センス
・刑法は裁判官を縛るもの
・プロテスタンティズムと資本主義。資本の投下だけでは資本主義は発生しない(中国)
・キリスト教(日本は天皇教?)
小説でもないのに感動。
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この本にももっと早く出会うべきでした。
もったいない事をした。
何故もっと早く読まなかったのだろうか?
ハンセイ
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この本は「憲法」の本であるが、単なる「憲法」の本ではない。もちろん、日本国憲法の条文解釈の本でもない。そんな視野の狭い話ではなく、「近代法」そのものを社会科学的見地から解き明かした本である。「憲法」に関する本を一冊だけ読めと言われたら、有無を言わさず本書をお勧めする。そのくらい素晴らしい本だ。「法学」や「政治学」の枠を超えられない学者には絶対書けない本である。さすが社会科学の碩学である。
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こいつが居なきゃ社会学なんか専攻しなかった。こいつは俺の人生を変え続けてる。この本自体はフツーに面白いレヴェル。
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iPhoneの無料アプリの六法全書を落として、日本国憲法
を読み、憲法について改めて知識を得たいと思って、
図書館でこの本を手に取りました。
そもそもは今の政情、民主党の無能さ、明らかにおかしい
政策に憤りを感じていることが、そう思う動機であったわけ
でありますが、キリスト教に関して言えば、ルターの宗教改革
くらいしか憶えていなかった自分にとって、この本で紹介される
歴史的な背景はとても勉強になりました。
紹介されている文献を読み進め、勉強したいと思います。
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なぜ憲法なのか。憲法とは何なのか。憲法には人類が学んできた叡智が詰まっている。現代日本の問題は、突き詰めれば「憲法が死んでいること」に起因する。憲法の理念を活かすも殺すも人々がその理念を支持するか否かにかかっている。
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憲法が死んでいるのはわたしたちのせい 日本人全員必読本
社会学者宮台真司さんのお師匠さんでもある小室直樹先生による「憲法学」の講義。
憲法というものは、そこにどんなにいいことが書かれてあっても、それだけではなんの意味もありません。文面そのものに価値はありません。憲法に書かれていることが、じっさいに国民の一人ひとりに、どれぐらい信じられているか、だいじにされているか、それが肝心です。それが憲法の「生き死に」をきめます。
いま日本国憲法は死んでいます。ただの「お題目」になってしまっています。そこに書かれていることの多くが、ないがしろにされています。詳しくは本書をよめばあきらかになるでしょう。
憲法にふたたび活をいれるためには、国民の一人ひとりが憲法を理解しなければなりません。
ふだんの生活のなかで憲法の存在を意識することはすくないかもしれませんが、憲法というものがいかに深くわたしたちの生活にかかわっているかがよくわかる本です。
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憲法はどのように生まれたのか?
なぜ、憲法が必要なのか?
これらの質問に歴史から解き明かしてくれます。
三権分立は民主主義とは関係ない。
刑法は殺人を禁じていない。
知らず知らずのうちに
刷り込まれた「常識」を打ち破り
真の近代国家日本を作るべく読まれるべき書。
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憲法の中身を詳述するのではなく、憲法とはなんぞやという根本的な問に対する答えを提示していく。憲法改正論議に参加する前に押さえておかなければならないことに思える。
憲法を理解するためには、他の論題にも多々言及する必要がある。議会政治の成立過程、宗教改革、ロックの社会契約説、プロテスタンティズムとヴェーバーの考察、民主主義と資本主義、など多岐に渡る。本書が対話形式をとっていることに加えて、小室先生の簡明で要点をついた説明がわかり易く理解しやすい。だだ田中角栄絶賛の件はわたしの知識不足もあって首をひねることが多かったが。
といっても良書。憲法素人のまず初めの一歩としては十分だろう。
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憂国の情を掻き立てられる一冊。「機会の平等」の機軸となる権威の不在が、日本国憲法における深刻な問題。そこに民主主義も資本主義も根付き得ない。
この段落では、自分なりの要約。官僚による、法に則らない三権の支配。その防波堤となるのが、三権のうち最大の権力を持つと憲法で明記されている議会のはずだが、その議会でさえ官僚の声をリピートすることに終始し、まともに議論が交わされない体たらくである。議員立法など皆無。その議会のバックにあるのは私たち国民のはずなのに、私たちもまたマスコミの扇動を盲信するばかり。そしてマスコミの擦り寄る先は…。
現代日本において政治を監視するまともなシステムはないと思った。その中で私たちができることは何か。本を利用してもいい、インターネットでもいい、人でもいい、とにかく情報を多角的に、とりわけ批判的に捉える習慣づけをすること、そして、その輪を広げるべくSNSや個々の団体などを通じて地道に声を上げていくことが例として挙げられるのではないだろうか。ひたすらできることを模索し続ける。考える力を失ったままでは、自分の首を絞めることになる。
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著者の小室直樹氏は経済学、政治学、法学、社会学等、幅広い社会科学分野で独創的な研究をされた方です。時には度を越した辛口発言で奇人扱いされたこともあったそうですが、原理原則を重視するスタンスは本書でもよく現れています。
タイトルに「憲法原論」とありますが、条文の解釈などをテーマにした一般の憲法解説書ではありません。憲法とはそもそも何なのか?、どのような経緯で誕生したのか、現代社会にどのように影響しているか?について解説しています。難しそうな内容ですが、出版会社の編集担当者との問答形式で書かれており、読みやすいです。
本書は以下のような設問から始まります。これらの問いに答えられる人はどれくらいいるでしょうか?
Q1 日本国憲法は生きているのか、死んでいるのか?
Q2 憲法とは誰のために書かれた法律か?
Q3 刑法とは誰のために書かれた法律か?
Q4 刑事訴訟法は誰に対する命令か?
Q5 刑事裁判とは誰を裁くためのものか?
本書はショッキングな内容をたくさん含みますが、私の場合、自分があまりにも何も知らなかったことにショックを受けました。
本書の前半は民主主義・資本主義のなルーツが解説されていますが、キリスト教の予定説が民主主義と資本主義の母体になったというマックス・ウェーバーの節が分かりやすく書かれています。現代社会を理解しようと思ったら、やはり歴史を学ぶ必要があるのだということを痛感しました。後半はキリスト教国でない日本にどのように民主主義・資本主義が持ち込まれたか?現代の日本の社会にそれらは本当に根付いているのか?について小室氏の主張が展開されており、冒頭のQ1~5につながります。Q1の著者の答えは「日本国憲法は既に死んでいる」ですが、いつ、どのように死んだのかを明確に説明されており、その背後に日本社会特有の「空気」の存在を指摘しています。
「空気を読む」というのは最近の流行語ですが、日本は昔から空気が支配する国であり、この空気が戦争に向かわせたり、政治を混乱させている事実を指摘しています。白州次郎も「プリンシプルのない日本」と言っていますが、キリスト教に基づく長い歴史が民主主義や資本主義をはぐくんだ欧米と比較すれば、原則よりも空気を重視する日本の近代精神の基盤は薄弱に見えたのかもしれません。そして、首相や大臣が短期間で辞任する現代の状況を見ると、その混乱ぶりに拍車がかかっているようです。
小室氏は空気によって民主主義が形がい化する過程で国家権力の暴走を懸念されています。この本を読んで、なぜ一部の政治家が政治主導にこだわるのかが少し理解できたような気がしました。官僚主導によって行政がリヴァイアサンとなることを懸念しているのでしょう。しかし、原発事故の対応やその後の動きをみると、小室氏のいうように日本の民主主義も憲法とともに死んでしまったのかもしれません。
問題提起があまりにも大きくて目をそむけたくなってしまいますが、小室氏は巻末で「民主主義をめざしての日々の努力の中に、はじめて民主主義は見出される」と述べています。最近はネットが既成のメディアへの対抗勢力となり始めたり、空気誘導型ではなくサンデル教授のような対話型の合意プロセスも見直されつつあります。現実に起きている問題の本質に目を向けるためにも一読をお勧めします。
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すばらい一冊。憲法の歴史や背景がかかれている本だが、まさに目から鱗だった。
ヨーロッパの憲法はプロテスタントの「予定説」を基軸に民主主義と資本主義がつくられたことによって発展した。日本のそれにあたるのが、天皇教であったが今はそれがないために日本国の憲法そして民主主義は危うい...
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日本の学校では教えてくれませんが、日本国憲法第9条の「国際紛争解決の手段としての戦争」という表現には実はお手本がある。(…)戦後の日本では、第9条が自衛戦争までを放棄しているか否かで大問題になりました。現在の政府見解は「憲法は国家の自衛権までを否定していない」ということになっていますが(…)こんなことは国際法を知っている人間から言わせれば、まったく無駄な議論です。その無駄な議論がなぜ起きたかといえば、日本人の多くが「戦争の放棄は、日本国憲法オリジナルなものである」と誤解してしまったからです。最初から、第9条第1項がケロッグ=ブリアン条約のコピーであることを知っていれば、憲法の規定が何を意味しているかは議論の余地がありません。314
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仏教の教典に「優曇華」という花のことが記されています。インドの伝説によれば優曇華の花は、衆生を救う如来や転輪聖王という帝王の出現を告げるものだとされているのですが、悲しいことにこの花は3000年に1度しか咲かない。この伝説から「優曇華の花」とは、滅多に起こらないことのたとえとして使われます。デモクラシーとは、まさに優曇華の花。日本人はデモクラシーを当然のもの、当たり前の政治システムだと思っていますが、それは大間違いなのです。376
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資本主義の大前提となっているのは、みなが自由に仕事を選ぶことができる社会です。「農民の子は農民、職人の子は職人」では、資本主義にはならない。そこで勤勉の精神と同時に必要になってくるのは、人間は平等であるという精神です。この精神がなければ、やはり資本主義は生まれてこない。ところがやっかいなことに、この平等の精神もまた、キリスト教があって初めて生まれてくる。(…)「神の前の平等」が転じて、やがて「法の前の平等」という近代デモクラシー思想が生まれてきたことはすでに述べたとおりですが、結局のところ、近代資本主義が生まれるのは、このデモクラシー思想がなくてはならないというわけです。384
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日本は非白人国家で最初のデモクラシー国家に変貌できた。そのアイデアとは何か。それは国家元首たる天皇を、日本人にとって唯一絶対の神にすること。天皇をキリスト教の神と同じようにするというアイデアです。すなわち「神の前の平等」ならぬ、「天皇の前の平等」です。現人神である天皇から見れば、すべての日本人は平等である。この観念を普及させることによって、日本人に近代精神を植え付けようと考えた。386
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戦後の歴史観では、しばしば「戦前の日本は国家神道であった」と言われますが、天皇教と国家神道はまったく別物です。(…)天皇教は、建国神話以来の神道がベースになってはいます。しかし、天皇教は神道とはちっとも似ていない。古くから伝わる神道のどこをどうひっくり返しても、キリスト教におけるイエスのように天皇が現人神であるという結論にはなりません。伝統的な神道の考えに従えば、天皇は皇祖神である天照大神直系の子孫であらせられても、現人神ではない。天皇とは、皇祖神のいわば斎主であって、それ以上のものではないのです。388
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伝統主義をぶち壊し、日本を近代資本主義国家にするために、尊王思想を「天皇教」という形に変えたのが、かの伊藤博文です。伊藤はこの時代にあって、近代ヨーロッパ憲法思想の根幹となっているのが、他ならぬキリスト教であることを見抜いていた。そして日本が近代国家になるにも、同じように宗教の力が必要であることを知っていたのです。(…)伊藤がヨーロッパに憲法研究に行ったのは、わずか半年ほどですが、その短い時間で彼は「宗教なきところに、憲法はありえない」という事実を悟った。そして憲法を作る前に、憲法の「基軸」となる宗教を作らなければならないことも分かった。(…)その基軸となるべき宗教とは何か。伊藤はその答えを、この枢密院会議で明確に述べています。「我が国にありて機軸となすべきは、ひとり皇室あるのみ」すなわち、天皇教こそが近代日本を作るための機軸だというわけです。396
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明治憲法では他の国の憲法に見られない、特殊な形の契約が行われた。そのことは明治憲法発布の際に出された「告文」という、文書に現れています。この「告文」とは、天皇が先祖である皇祖・皇宗・皇考の神霊に対する誓約書。(…)明治天皇は「この憲法を守ります」という宣言を、国民に対してなさったのではない。皇室のご先祖様に誓ったことだから守る。憲法を破ればご先祖様に申し訳ないということです。しかし、この結果、帝国憲法は天皇と人民との契約ではなく、明治天皇と神々との契約になってしまったのも事実です。そのため、日本人の意識に「憲法とは国家を縛るものである」という意識がとうとう定着しなかった。400
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