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紙の本

反戦文学的な観点から平家物語を読む

2006/07/19 23:30

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

平家物語については、様々なインスピレーションを与える要素が多いためか、今までにも多くの書物が著されている。一般向けの書物に限っても、石母田正の『平家物語』(岩波新書)、杉本秀太郎の『平家物語−無常を聴く』(講談社)、やや毛並みの変わったところでは角田文衛の『平家後抄』などが思い浮かぶ。それぞれ、平家物語の魅力を著者の持ち味で語っており、現在に至るまでも読み継がれている名著である。
本書は、そのような碩学たちが語る平家物語本の流れに位置しており、親しみ易い口調で書かれていると同時に、最新の研究成果も多く取り入れられているので、極めて読み応えのある書物となっている。
例えば、著者は、第二章で平家物語の成立について論じているが、平家物語は、当初「治承物語」と呼ばれており、承久の変後の1230年代に書き始められたとし、その背景には、平家の血筋を引く後堀河天皇が即位して平家人脈が復活したという状況があったことを明らかにしている。
これは、実に重要な指摘で、通常平家は壇ノ浦合戦で滅び、最後の子孫と言われる六代もその後に斬られており、事実平家物語も「六代被斬」という章で、これ以後平家の血筋は断絶したと書いているからである。
本書は、このように平家物語を巡って近年解明された数多くのことを伝え読者に新鮮な驚きを齎す一方、合戦が齎す人々の別離・苦悩・死という重いテーマについてかなりの分量を取って述べている。
平家物語と言えば、これまでは合戦のシーンに重きを置いて、源平両軍の華々しい戦ぶりを褒め称えるものが多かった。本書でも、そのような箇所はあるが、基本は戦の悲惨さに重点が置かれている。それは、第四章「戦いの現実・一の谷合戦の酷」によく窺われる。ここには、合戦の勇壮な雄叫びは見られない。あるのは、恩賞目当てに平家軍に群がる東国の兵士たちの欲望に燃えた浅ましい姿と、そのような荒々しい兵の手にかかり次々と討たれ無残な最期を遂げていく平家の公達や未熟な少年たちの姿である。そのような極限状態にあっては、日頃隠されていた人間性が露になり、例えばこれまで硬い結束で結ばれていた主従が、迫り来る敵軍を前にすると主人を置いて我先に逃げ出してしまう従者の姿など悲しい人間の実相にも著者は筆を費やしている。
終章では、このような合戦で夫や恋人を失ってしまった女性たちの「しのぶ思いひは尽きせねども、嘆きながらさてこそ過ごされけれ」というその後の姿を伝え、平家物語の最後の場面が「戦争被害者だった女性たちに焦点を当てていることは軽視できません。物語は、不幸に見舞われた女性を通して戦いの悲惨さを伝えようとしたのです」と結んでいる。ここには、平家物語の原作者の平和な世への強い願いと同時に、著者の思いも込められていて粛然たる思いにさせられる。本書は、平家物語への得がたい入門書であると同時に、過酷な運命を体験した男女に捧げられた著者の万感の思いが込められた鎮魂歌ともなっている。

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2011/05/06 12:28

投稿元:ブクログ

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2011/05/12 22:50

投稿元:ブクログ

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