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作家 折原一氏によると、BEST3に入る作品の中の一冊です。
巻末の解題によると、この作品のモチーフは作曲家・ベルリオーズの「幻想交響曲」だそうです。第一楽章から第五楽章までの楽章にこの作品の表題が盛り込まれているのが特徴だと書いてあった。残念ながらベルリオーズの「幻想交響曲」は、聞いた事がないので何とも言えないが、曲自体にベルリオーズの実体験を盛り込ませ物語性があるらしい。何れこの曲については、聞いてみたい・・・。この曲に盛り込まれている物語については、このコミュの趣旨に添わないので調べてみても楽しいのではないかと思います。
余談はさておいて、この作品は複雑怪奇なトリックが何重にも織り込まれて、尚且つ柔軟性のあるトリックのすり替えを可能にする事件によって構成されています。
代表作だけあって、この作品の出来は秀逸ではないかと思うのです。
作品が発表されたのは1953年で、既に60年もの時の経過にも拘らず色褪せしない物語性は一読の価値がある。作品に登場する、主人公にして鬼才名探偵・神津恭介も苦労したあたりは面白い展開でした。ただ、僕に関して言うならば、犯人は解るけれどもトリックと動機については最後まで解らず、最後まで熱中して熟読しました。
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表題作が読みたくて再読したのですが、結局最後まで全部読んでしまった。
神津恭介シリーズ久しぶりです。
古典的なおどろおどろしさや、私がついつい食いついてしまうキーワード「人形」。
奇術やら魔術やらとで彩られかもし出されるこの雰囲気がたまりません。
タイトルが本当に素晴らしいと思う。
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名作と言われているミステリ。ミステリを多く読んでいると、犯人やトリックの一部は分かってしまうかも。そういう意味でも、新本格系の源流の作品かもしれない。昔に読んだらかなり衝撃的なのかも。
短編の方が、構成も無駄なく不気味で冴え渡っている気がした。
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奥付に1995年とあったので「ああ、時代設定を過去にして書いたのかな?(戦後が舞台になってる)それにしても電報って…」とか思って最後まで読んで「??」となり、その後解説を読んで、55年に発行された話の新装版?だったと知りようやく納得。なんであらすじのとこに書いといてくれなかったのか…。今読むと文体もトリックも何もかも古くさいが、発行当時は斬新だったのか…?という作品であった…うーむ。
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本格ミステリかくあるべき!
といったような作品でした。
なぜ人形は殺されなければならなかったのか?
タイトルにも使われ、作者も度々言及するように、このホワイダニットが物語の核となっています。
人形というガジェットは推理小説でよく使われるものではありますが、それは雰囲気作りの為といった使い方が殆どでした。しかし本作は雰囲気を醸し出すと同時に、あくまで実用的に、それも人形でなければならないといった、理想形とも言える使い方をしています。
本書を語るとき、この人形のトリックばかりがフォーカスされがちですが、これを隠れ蓑にしたもう一つのトリックも良くできています。
物語の全てがミステリに捧げられていて無駄がない。
本格ミステリのお手本と言っていい傑作です。
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大学生のときからずっと読みたいと思ってて、たまたま古本屋で見つけたので購入。
期待通りの面白さでした。
神津恭介シリーズはこれからも本屋さんで見つければ買おう。
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高木彬光を初めて知ったのは、アドベンチャー・ロードで聴いた『成吉思汗の秘密』だった。細かい部分は忘れちゃったけど、ストーリーの壮大さと面白さがやたらと印象に残っている。今思えば、あれが初「神津恭介」だったのか。
(アドベンチャーロードって、昔NHKFMでやっていたラジオドラマです。)
で、『人形はなぜ殺される』。この作品、タイトルが有名なのに恥ずかしながら未読だったので、読んでみました。しょっぱなから作者にまで「人形はなぜ殺されたのでしょう」と挑戦されているのだけど、正直言って「これはやられた!」という気分にはなれなかった。なんとなく途中で犯人がわかっちゃったんだよね。もちろんトリックまでわかったわけじゃないんだけど。
ただトリックはそのタイトルのとおりです。人形はなぜ殺されたのか。よくよく考えてみるとそれほど大仰なトリックではないのだけど、うまく使ったなー、という感じ。
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衆人環視の白木の箱の中から突如消えた”人形の首”。直後、殺人現場には、無惨な首なし死体と、消えたはずの人形の首が転がっていた。殺人を予告する残酷な人形劇。それは犯人からの挑戦状か!?
「読者への挑戦」が挟まれた本格ミステリと言われる本作、私が知ったのは、あるブログ記事だったのですが、そこでこんな記事を読んだ記憶があります。
「精緻で巧妙なトリック。ロジックも完璧」
読み易いのは結構なのだけど、昨今どうにも煮え切らないといいますか、腕組みをしてしまったりする作品を見かけることが多いので、この文句の誘惑に勝てませんでした。日本の三大名探偵と言われる一人が活躍している作品でもありますし、一応ミステリファンとしては読んでおこうかな、と。
こういった古い作品を読む時につきまとう問題の一つに時代背景というものがあります。
本音を言ってしまうと、こういう問題を感じさせない作品が理想なんですけど、中々そういう訳にもいかないようですね。星新一さんなどは気を遣ってらしたそうですが。
本作品も古典ということで、そういう部分があったりします。トリックに関わるところでもあるので、詳しくは書けないけど、確かに昔ならありえそうな話です。ただ、事件を知ってそうにヒントらしきことをいう人物がいるのはどうだろうと思ったりもします。これも時代なんですかね。
問題のロジックについて、可能かどうかという点においては確かに完璧なんだろうと思います。特に第二の事件はエピローグの部分で語られる量も多いですし、著者がこのトリックを閃いた時の話を昔していたそうですし。
一方で、挟まれた「読者への挑戦」に挑むには提示されるものが少ないんじゃないかとも思います。読んでいると、この人が怪しいという風に思うのですが、論理だけでその人に限定できそうにない。
また、エピローグで語られる伏線についても、論理的には気づけないはずですし、第一、第二の事件でも、もしこの人がちょっとしたことで話を漏らしたらアウトではと思ってしまうのです。(第二の事件では危うかった)
少々物騒な言い方ですけど、自分だったらこういう方法はとらない、と感じてしまうことがあったということで、そういう意味では少々物足りない感がありました。
ミステリにおけるリアリティの欠如、なんて話は良く耳にしますけど、そういう意味では私がミステリを読み始めた時期はリアリティとパズルが上手くブレンドされた良作に恵まれていたのかもしれないなあと思います。
世間では、本作より同じ著者の”刺青殺人事件”の方が評価されているとかなんとか(逆だったかな?)。
ちょっと文句のようなレビューになってしまったけど、面白くないわけではないですし、こういう作品に魅せられた方が後に続いたと考えると感慨深いものがあるので、いずれ”刺青殺人事件”も読んでみたいと思います。
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1950年代というと、
今から約60年ほども前の作品。
そのため古めかしい文書が気になって
物語に少し入りにくかった。
ミステリとしては非常によく練られていて
トリックも面白いものだった。
しかし、本格推理小説にありがちな、
読み物としての満足度の低い作品だった。
ラノベのようなライトな物語で、
登場人物達にもあまり魅力がない。
面白い種を思いついたので、
それを描くためにそれなりの
物語を書いてみました、ってな感じ。
トリックや犯人を見抜くのは
案外難しくなく、
ミステリとしても物足りなかった。
期待度が高かっただけに残念。
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本格推理小説。
とにかく物語の構成といいトリックの意外性といい、読みごたえのある物語だった。
「人形はなぜ殺される」というタイトルの意味が明らかになったとき、犯人の冷酷な非情さが浮彫りになり、事件の真相に驚かされる。
冒頭で起きるマジックで使用される人形の首が突如消え去る出来事。
そして、続いて起きる首なし殺人事件。
おどろおどろしい雰囲気が漂うなか、徐々に明らかになっていく事件関係者たちの過去や人間関係。
まさに探偵役である神津恭介と犯人との知恵比べが展開されていく。
犯人に一歩先んじられ、殺人が再び繰り返された後の神津の苦悩や推理に引きこまれてしまった。
結末を知ってから、最近見た映画の中にあったセリフを思い出してしまった。
「第二の刃を持たざる者は暗殺者の資格なし」。
この物語の犯人は、状況に応じて第二第三の犯行を準備していたのだろう。
真相がわかってから読み直してみると、犯人の臨機応変さにあらためて驚愕する。
本格推理小説が好きな人には絶対にお薦めしたい物語だ。
まったくの余談だけれど、神津恭介と有栖川有栖さんの描く火村英生の共通点が面白かった。
神津恭介は東京大学医学部法医学教室に助教授として勤めている。
犯罪心理学にも造詣が深く、警察からの要請を受けて捜査協力をしている。
バディともいえる松下研三は探偵作家である。
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物心ついたときに、江戸川乱歩以外で初めて推理小説で印象に残った作家が高木彬光である。何を読んだのかは記憶に薄いが、恰好いい著者名とともに印象に残っている。
「人形はなぜ殺させる」というタイトルがいい。
そして出てくるみなさんが胡散臭い。実に楽しい。
最後まで読んで、なるほど、と思う反面、タイトルに潜む影が怖い。
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とにかく第1の殺人を伏線として第2の殺人トリックが素晴らしい。
この一連のトリックを思いついた時点で、著者は不朽の名作をものにできると意気込んだはずですが、残念ながらその意気込みがそれほど成果を上げているとは思えない。
意気込み過ぎて本筋とはあまり関係のないお話がこれでもかというくらい詰め込まれているため、トリックの見事さがぼやけている気がしてしまうのは私だけでしょうか?
せめて、2/3くらいの分量にして、贅肉(?)をそぎ落としてくれたなら、話のテンポも程よく感動のまま読了できたことでしょう。
とはいえ、登場人物に素人マジシャンを配することで、見たてトリック、入替えトリック、アリバイトリックなどをスムースに消化している点はさすがです。
この作品が、1955年に発表されたという点も考慮すれば、東西ミステリー28位というのもうなずけます。
刺青殺人事件(32位、1948年作)と並んで間違いなく著者の代表傑作です。
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人形を壊すことに犯人が異様な執念を燃やしていると、文中で散々煽っていたが、結局金目当ての犯行で人形はトリックに使われただけだった。
事あるごとに神津がすごいすごいをアピールしてくるが、そんなにすごくない。
一人目…本当は精神病の長女が殺されていた
二人目…次女を騙して線路に人形を運ばせ、電車を止めて降り、
次女を殺害し、殺害した次女でまた電車を止め、
乗り込んだ事でアリバイを作った
三人目…真相に迫ったせむし男のヒロポンを青酸カリにすり替え
四人目…精神病院に入っていた共犯の落とし子を殺害
中谷というキャラは今後ライバルとして出てくるんだろうなという感じ。
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名作と聞きながら読んでいなかったので。
古い作品だが、時代を超越したおもしろさ。楽しい読書時間がすごせた。このタイトルも秀逸だ。
他の神津恭介シリーズも読んでみよう。
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表題こそが物語のポイント。
人形が壊された後、同じ様に人が殺される。
人形の首がなくなれば首なし死体が見つかる、といった具合に。
読者へ挑戦状を叩きつけてくる。
真相がわかってもぽかーんとしてしまう。
それぐらい高度なトリックだった。