紙の本
実作者による「ライトノベル」論
2008/05/14 22:07
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ライトノベル」なるものが、読書界の話題となり、書店でもコーナーができるなど、いよいよその存在感を増していることは、誰の目にも明らかである。にもかかわらず、その内実や特徴は、よく知られていない。いや、正確に言えば、「ライトノベル」に関するムックなどは実に多く出版されているのだけれど、それは「ライトノベル」を自明のものとする人たちが楽しむことには役立つかもしれないが、これから「ライトノベル」にふれようとする時にはほとんど参考にならない。そんな時、驚くほど役に立つのが本書である。
本書は、ジャンルでもなく、いわゆる「定義」などしようもない「ライトノベル」の実像を、曖昧模糊とした様態そのものとして、平明に描き出していく。そもそも、現在進行中の文化現象について、回顧的・確定的な視線から、厳密に書くことなどできないし、無理にそうしようとすれば、多くの「例外」や「スルー」を余儀なくされてしまうだろう。そこで、本書がとる戦略は、実作者として「ライトノベル」の渦中にあって、その内部からみえてくる「ライトノベル」のさまざまな面を、時には大まかな「つかみ」として、時にはピンポイントでの「急所」指摘として、一義的には説明できないものとして描き出していく。だから、いわゆる「定義」は本書にはないのだが、その代わりに、実に多くの作品やその具体例が紹介されていく。
こうした本書の戦略は、東浩紀をはじめとして、すでに高い評価を得ているが、「ライトノベル」が日本文化で大きな位置を占めて行くであろう今後、ますます貴重な参照点となることは間違いない、そんな現代文化の歴史的道標なのである。
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ライトノベル(略称ラノベ)と呼ばれる小説ジャンルが近年大成長している。はたして、このライトノベルというのはいかなる代物なのかを非オタクな人向けに書いた本。なかなか興味深い考察がいくつか記されているのだが、非オタク向けに書いているということを差し引いてもちょっと記述が遠まわしすぎる感があるのと、表面をちょこちょことつまんでいるだけで、結局核心に踏み込んでいない感がする。
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現役作家さんが書いた新書なので読んでみた。
…うん、ライトノベル「入門」だな。
ちなみにこの方の「狗狼伝承」お勧め。
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所謂「ライトノベル」嫌いの小生にとっては、若干いただけないような内容だった。ライトノベル成立の文脈等をもう少し詳しく掘り下げて欲しかったとも思う。
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初めて読む方から更にラノベを知りたい方へ
読了日:2007.01.05
分 類:エッセイ
ページ:294P
値 段:750円
発行日:2006年4月発行
出版社:ソフトバンク新書
評 定:★★★
●作品データ●
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テーマ:ライトノベル
語り口:気ままにエッセイ
ジャンル:エッセイ
対 象:一般向け
雰囲気:語り
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---【100字紹介】----------------------
次々と新レーベルが創刊され、中高生をメインターゲットに
勢いを増しているラノベ。作家によるラノベのルーツ、
楽しみ方、今後の展望を徹底解説。代表的作品の紹介、
キャラ類型解説、人気キャラ解説、関連年表付き。
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ライトノベル。省略形はラノベ。菜の花が最近楽しく読ませて頂いている小説群です。ところでこれ、一体何なんだろう…。一度不思議に思っちゃったら、もう読んでみるしかないでしょう。というわけで、読んでみました、入門書。
本書はライトノベルの書き手である著者が、「初心者」から、「もっともっとラノベを知りたい方」へ向けて書いた本。というと、ちょっとかたそう?いえいえ、実際読んでみるとどちらかといえば…趣味で書き倒したエッセイ本ですねー、これは。入門書と銘打ちながら、かなり勝手気ままな雑文という感じです。もうとっても、軽ーい気持ちで手に取れるもの。
読んでみると、本書自体がラノベかも!?同じ高さの目線で語りかけてくる著者の言葉は、さらりと読めてしまいます。特に系統だって説明されているわけではなく、入門書としてはどうなのよ?と思われるかもしれませんが、この乱雑さ、とりあえず惹き付けとけ!という姿勢自体が、ライトノベルの本質を説明しているのかもしれません。
系統だっていない中で、それなりに列挙されているのが、代表的作品の紹介、キャラ類型解説、人気キャラ解説。これらはもう、説明の必要はないですね。殆ど趣味の世界に走っている著者に気おされつつ、「おお、これは読んだー」と懐かしい気持ちも味わいつつ。まあ、半分はふざけ半分、みたいなノリかも。しかし最後の「関連年表」は相当力作ですね。これは、資料的価値があるかもしれません、はい。
ライトノベルは、エンターテイメントのための消耗品。ためにならないかもしれないけど、ひたすら愉しい時間をくれるもの。さあ、あなたも菜の花と一緒に、ライトノベルを愉しみませんか?
●菜の花の独断と偏見による評定●
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文章・描写 :★★★
展開・結末 :★★+
簡 潔 性 :★★★
独 自 性 :★★★★+
読 後 感 :★★★
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もはや主流の一つとなったライトノベルですが、この言葉が定着する前から、ソノラマ文庫やスニーカー文庫などが、ライトノベル作品を出していたのでは?と思って、定義を知るために読んでみました。
なんといっても「超」入門なので、わかりやすいです。
これまでの潮流を時代を追って教えてくれるので、なるほどなるほどとうなずきながら読めます。
忘れていた、懐かしい作品もたくさん取り上げられていて、嬉しくなりました。
ライトノベルは、ざっくりいえば、児童文学と一般文学の間にあるもの、という定義だそうですが、例えば『グイン・サーガ』や『吸血鬼ハンターD』は純文学ではなく、かといってライトノベルとも思えません。
まだ境界区分けが曖昧なジャンルのようです。
でも、読者側にとってみれば、だいたいのアンテナがわかれば、その中で好きな作品を選んで読むので、おおまかなくくりで十分に思います。
「少女マンガは少年漫画の20年先を行っている」という説がおもしろく、納得しました。(引用をご覧下さい)少女たちは『海のトリトン』時代から、萌えを抱いていたそうです。そんなにさかのぼるんですか。
また、ライトノベルには意外にも宮崎駿アニメからの影響は見られないということです。
とりあげられた作家や作品、「属性」などの専門用語?に、ひとつひとつ解説がついており、曖昧な知識しかなかったことがわかって、スッキリします。
メガネっ娘、メイド、どじっ子などのキャラ類型解説もありました。
人気キャラクター欄を読むと、ほとんど自分が知らないことに気付きました。
かろうじて、ハルヒとシャナくらいですが、『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーも入っていたので、少し驚きました。
『銀英伝』もライトノベルくくりなんですね。
ライトノベルを理解するための純文学も紹介されていました。
ドストエフスキーをライトノベル書き手とみなす著者の柔軟さにはビックリです。
作者が男性のライトノベル作家ということもあり、紹介されたものは、ほぼ男性目線のものばかりだったのが残念でしたが、それでも十分ライトノベルについての知識がついた一冊でした。
今まで名前しか知らなかった『ロードス島戦記』『キノの旅』『風の大陸』『宇宙皇子』など、今度読んでみたいなと思います。
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『中学生からの哲学「超」入門』を読んだので、同じ「超」入門ということで続けて読みました。
ライトノベルという言葉ができる以前、ソノラマ文庫、コバルト文庫で高千穂遙、氷室冴子、新井素子は読んでいたし、ラノベレーベルではないが「グイン・サーガ」に至っては今でも読んでいる。
そういう意味では、ライトノベルを読む土壌はできていたのだが、どうも手に取れず横目で眺めていた。
それというのも、やはりあの表紙のセル画風の絵のせいだろうな。
どうも受けつけない。
なぜセル画風のアニメ絵になったのかも本著に書かれている。
それ以外も、なぜライトノベルがこのような形式になってきたのかという経緯もわかり、面白かった。
「ただ面白いだけ」を追求したらこの形式になったということだ。
面白かったのは「罪と罰」もラノベ感覚で読めば面白く読めると書いてあったこと。
そういう意味ではラノベと非ラノベの区別なんてないってことだ。
最後に、著者の新城カズマの本を読むのは2冊目であるが、著者は小説家であるが2冊とも小説ではない。そろそろ著者のラノベを読んでみようと思う。
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[ 内容 ]
次々と新レーベルが創刊され、中高生をメイン・ターゲットに勢いを増している「ライトノベル」、通称ラノベ。
人気作家が、ラノベのルーツ、楽しみ方、今後の展望などを徹底解説。
初めて読むかたから、もっとラノベを知りたいかたまで幅広く網羅した本格ガイドブック。
「代表的ライトノベル内容紹介」「キャラ類型解説」「人気キャラクター紹介」「ライトノベル関連年表」付。
[ 目次 ]
第1章 ライトノベルは、どんな小説なのか?(パソコン通信が命名した小説形式;「ライトノベル」が生まれるまで ほか)
第2章 ライトノベルを読んでみよう(一九九〇年=ライトノベル元年;最初に押さえたい名作 ほか)
第3章 「ライトノベルという手法」を考える(ライトノベルは「手法」である;ライトノベルと源氏物語の相似 ほか)
第4章 ライトノベルのウソ、ホント(ライトノベルは本当に会話ばかりなのか?;ライトノベルは本当に流行っているのか? ほか)
第5章 ライトノベルはどこにいくのか?(小説を(単に)面白がる、ということ
「本を読まなくてはならない/読むべきだ」という心性の妥当性 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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筆者自身、ライトノベルの歴史や実態について詳しく述べる本ではありませんよと言ってるだけに、全体的に内容にまとまりはなく、脇道に逸れたり個人的感想が挟まったりと散逸気味。
キャラクターの捉え方で参考になる部分はあったので、まあよし。
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2011 11/16読了。Amazonで購入・
ライトノベルをジャンルではなく、売るための、それも財力の限られる中高生にハズレと思わせず売るための手法、と捉えるラノベ論。面白い。
いわゆる「アニメ絵」のイラストがつく小説、中でも「アニメ絵+非アニメ塗り」⇒「アニメ絵+アニメ塗り」の変遷についての言及が興味深かった。
塗りの違いは言われてみれば確かに、という感じ。
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ライトノベルについて、ラノベ作家の視点から色々思うところを書いていて参考になった。ほんとうにラノベに対する風当たりが強くて閉口する。なぜ面白いだけではダメなのか。この本の作者も言うように、否定する前にまずは読んでみてほしいものである。
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ライトノベルは読んだことはなく、「アニメ・マンガ絵の表紙の小説」という認識だった。
とはいえ、それはこのジャンルが成長していく中での結果であって、偏見に縛られていると面白い小説を見逃してしまうことになるのかも。
最近、普通の書籍コーナーでも、「アニメ・マンガ絵の表紙の本」がちらほら目に付く。
ライトノベルと普通の小説の境界は曖昧になりつつあるのかもしれない。
(何が「普通の小説」かの定義は無いが)
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地元の図書館で読む。非常に読みやすい新書です。啓蒙書には、2種類のものがあります。第1のものは、専門家、愛好者のみが理解可能な言葉で語られたものです。第2のものは、素人にも理解可能な言葉で語られたものです。この新書は、後者のものです。ライトノベルについて考える上で、貴重な一冊だと思います。再読の必要があります。
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新城カズマの『ライトノベル「超」入門』を読みました。
というのも、西尾維新の『クビキリサイクル』を読んでたときに、友だちに「10年ぶりくらいでライトノベルを買った」と言ったら、「てか、ライトノベルって何?」と聞かれ、一応、「マンガとかアニメみたいな絵が表紙の小説?」と答えたものの、そういえば、ライトノベルの定義って何?! …と思って。
ここ2〜3ヶ月、ずっと気になっていたのです。
で、読んだ結果。
…よくわかんない。
というか、はっきりとした定義がないことがわかりました。
無定義概念というか、「みんながライトノベルと呼んでいるもの」、くらいでいいのじゃないかと…。
たぶん。
で、これもよくわからないけれど、西尾維新の作品をライトノベルと言い切っちゃうのはまずいらしい(p.190参照)。
てか、その190ページ!
戯言シリーズを読んでいて元ネタのわからないもの多いなぁ〜と思っていたら、『ジョジョの奇妙な冒険』が元ネタだったんだ〜…。
あたし、マンガは大好きなのですが、『ジョジョ』は絵が好きじゃなくて読んでなかったのです。
惜しいことした。
元のネタのわからないギャグほどつまんないものはない。
その他、本の中身については…うん、入門書って感じ。
ライトノベルという名前の付けられるまでの過程とか、マンガ絵からセル画への切り替わりの理由とか、(あたしにとっての)新情報がたくさんあっておもしろかった。
キャラ論は、笠井潔の『探偵小説と記号的人物』を読んで以来、少し気になっているフィールドなので、読めて満足。
それから、ドストエフスキーとか紫式部の小説とライトノベルの類似とかは、しっくりこないものの(←これはあたしがドストエフスキーとかを読んだことがないせい)、おもしろかった。
ドストエフスキーなんか、真面目そうな印象しかないのに、読む人が読めばそうも解釈できるのかって。
それに、『カラマーゾフ』は一度読んでおかなきゃなぁと思っていたので(なぜだか国内外問わず、専門書や論文の中で、引用されたり例として出されたりしやすい)、ちょっと取っつきやすくなったかも。
というわけで、この本、2時間以内に読めて手軽だし、ホントの入門書としてはいいかも、です。
で、それを踏まえて、あえて注文をつけるなら、出てくる全ての本に出版年、シリーズなら何年から何年までとか、テレビ放映された年とか、そういう情報がほしかったかも。
わかりやすいし、使い勝手がよい。
お役立ち感たっぷりなのは、最後の年表。
これを見ておもったのだけど、あたしがライトノベルを買っていたのは、やっぱり96年くらいまでらしいです。
95年出版の、本沢みなみ『東京ANGEL』の途中くらいまでは読んでる。
で、96年の、乙一『夏と花火と私の死体』は出版してすぐ買って、まだ持ってる。
そして97年以降は、名前は知ってても、読んだことないものばっかり(2001年の、乙一『失踪HOLIDAY』は例外)。
あ、マンガになったのを読んだのはたくさんあったけど(最近気に入っているのはマンガ版『今日からマのつく自由業』。あのノリが懐かしい)。
というわけで、ホントにライトノベルっぽいの読んだの10年ぶりなんだなぁとしみじみ…。
で、10年たった今、最近、(前述したとーり)キャラ論に興味があったり、やおい論とかもおもしろかったりするので(これはセクシュアリティ研究とかジェンダー研究の一分野)、ライトノベルとか、そういう若い人向けの(?)本をもっかい読み始めてもいいかなぁ、なんて思ったり。
とりあえず、最近のライトノベルはよくわかんないから、『ブギーポップ』から?
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まったくのトーシローの為に書かれた一冊。「これがあればライトノベルの全貌が分かる!」と言ってもいいかも。業界内部からの視点でありながら、あくまで客観的に概括、紹介しようというスタンスが貫かれている。その分作品への深い踏み込みは少ない。でもキャラ解説から年表まで載った労作であることは確か。個人的には「こんなもんかな」って感想だけどw