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ウルトラマンやウルトラセブンを監督したことでも知られる実相寺昭雄氏による、ウルトラマン制作秘話である。
話はマンだけじゃなく、ウルトラQ、さらにその前史や、ウルトラセブン、怪奇大作戦といった、要は円谷プロダクションの内側をさまざまな逸話とともに語る。
火薬や水の危険さなど特撮のあやうい楽しみ、怪獣の作り方、スタッフたちの熱い生態などなど、実に興味が尽きない内容である。
なにより、総帥・円谷英二氏を始めそこに関わった人々の、特撮や怪獣に対する限りない愛、ウルトラマンの顔がキリコから着想を得ているとか、ゴダールや「エイムズの部屋」などに取材する深い教養、そして何よりも、時間や手間や知恵を惜しまずより良いものづくりに邁進した尽きせぬ情熱が見てとれる。「夢を創ろう」…ウルトラシリーズが時代を越えて生命を保っている秘密は、まさにその一点に多くの優れた才能が集った奇跡にあったのである。
実相寺氏が先ごろ亡くなったのでこの本を手に取った・・・と書こうとして奥付を確認したら、亡くなったのは2006年だった。ああ、光陰矢のごとし。
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小さい頃は画面の中のウルトラマンの世界に夢中になっていた。歳を重ねた今、この本を読むことで、画面の外側の物語により強い興味を持った。デジタル処理やCGの時代に、アナログの特撮手法を知るのは非常に興味深く、また毎週のペースで撮影したを続けていたことに驚嘆。特撮は画面の中も外も面白い。
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映画シン・ウルトラマンを観て興味を持ち手に取った。ウルトラマン撮影のメイキングや特撮の苦労話などの裏側を知ることができる。
『ウルトラマン』は半世紀以上前の作品であり、現在のCGを代表とする便利な技術などないため、アナログな撮影法がメインとなる。しかし、撮影チームは数々の工夫を凝らして撮影していった。例えば、ウルトラマンが飛翔するときはワイヤーで持ち上げるのではなく、台に乗せて下から持ち上げたり、怪獣らしい声を出すために身の回りのあらゆる音を収集してみたりなどだ。こういった工夫は時に危険を伴うこともある。怪獣の縫いぐるみ(当時のスタッフは着ぐるみではなく縫いぐるみと呼んでいた)がその例だろう。怪獣の中に入る演者は自力で着脱不可能で、厚いゴムに頑丈に密閉されるため強い孤独感に苛まれる。また、水中での撮影で水が中に流入し、水中だと重さが何倍にもなるためにビクともせず人工呼吸の出番がきたりと、そういった苦労話は枚挙にいとまがない。
どれだけ大変な現場だったんだろうか。
それでも向き合い続けるのは、毎週放送を楽しみにしている子供たちのためなのだ。男たちは「夢」を見せるために情熱を捧げたのだった。