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紙の本
黒人文化の神秘主義に迫る
2006/08/09 18:07
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:志賀信夫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
◆同じ名の神がいる
「あなたと同じ名前の神がいる」。こういわれてヴードゥーを調べ始めた著者は、いつの間にかこんな大著を表わすことになったという。
ヴードゥーと聞くと、ブラジルのカンドンブレなどの土着宗教、ゾンビの復活、黒魔術、敬愛するジミヘンドリックスの『ヴードゥーチャイル』などを思い出す。また、鶏を捧げて踊るうちに人々が憑依するという印象がある。
だが著者は、ヴードゥー教信者になったのでもなく、「ヴードゥー」に淫しているわけではない。とことん調べ尽くした成果をまとめたもので、ある意味で極めて客観的に書かれているから、マニアックでありながら、わかりやすい。
この本の前半では宗教としてのヴードゥーについて、キューバ、ブラジルなど中南米のヴードゥーをアフリカ宗教や習俗と比較しつつ述べている。そして後半は文化としてのヴードゥー、米国での風習、音楽などにおけるヴードゥーの影響などを詳しく述べている。そして最後は現在の宗教的側面を考察している。ここまで徹底的にヴードゥーをまとめた本はなく、学者の研究書のような堅さ、読みにくさもない。ただ約450頁と大部なので、全部読みとおすのは大変だ。全体をざっと見て、自分の関心のあるところ、例えばブルース、ジャズとの関わりや、ラフカディオ・ハーンらの民話などに目を通してみる。それだけで十分面白い。
◆文化としてのヴードゥー
この本は、ヴードゥーを宗教として解明するのみならず、アフリカからアメリカ大陸に渡った黒人文化の一つの源流というとらえ方をする。それはニューオルリンズではブルース、ジャズなどを生み、キューバではレゲエを生む。つまりヴードゥー自体が現在の黒人文化の一つの要素といえるのだ。
僕たちは黒人文化、ブルースやジャズ、ソウルミュージックを若いころから愛しながら、ミュージシャンやレコード、CDなど以上の知識はない。黒人が注目されたオリンピックへの抗議活動、映画『ルーツ』、『ちびくろサンボ』問題の時代を経ても、僕たちの認識が大きく変わったとは思えない。いつの間にかアフリカ系アメリカ人という呼称が通用しているが、名前を変えても差別はなくならない。この表現を聞くと、いかにも米国的ニセ「平等主義」を感じてしまうのは、僕だけだろうか。そんなことを考えながら読んでいると、ヴードゥーとはワスプ、アングロサクソン系プロテスタント白人、いや白人文化全体に対する隠れた対抗文化ととらえることができるかもしれない。
また、ヴードゥーに関心はあっても、とりあえずコンピュータ、Wikipediaなどで調べて、よしとする人も多いだろう。著者も、多くの文献以外に海外のネットを駆使して著したようだ。しかし、ここには確実にそれ以上のもの、多くの知識が集積され、著者のヴードゥーを黒人文化として、きちんと位置づけるというオリジナルな視点が通底して感じられる。
今後ヴードゥーを語るときはもちろん、黒人音楽のルーツなどを論じるとき、いや米国文化、中南米文化、アフリカ文化を考える際にも不可欠の本といえるだろう。また、ある意味でヴードゥーをおどろおどろしいもの、神秘的で曖昧なものとしておきたい人、僕もその要素があるが、そういう人にとっては、神秘を明るみに出してしまい、ちょっと寂しい気がする。だが、そうはいいながらも、さまざまな研究を渉猟しながら、黒人文化のなかの神秘主義に徹底的に迫り、かつ学問的に堕っさず読みやすいこの大著を、歓迎しないわけにはいかない。さらに、学者、専門の研究者ではなく、在野でもこここまでやれるということを、はっきりと示した好著だ
紙の本
結構面白い
2022/10/29 14:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くろい野干 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一応、ヴ―ドゥーの本である。
さう言ふわけで、ゾンビに関する情報が一応ある。ただ、それと前後して「いかに黒人は「死者の霊が蘇る」信仰を持たないか」がお腹いっぱい語られ、ラフカディオ・ハーン大先生が、小泉八雲になる前ゐた西インド諸島での、さう言ふわけで大先生なので「お化け」としてのゾンビの話を収録してゐたさうで、さう言ふ話が引かれる。
さらに、アフリカと言っても広いので、黒人と言っても元々の國とか文化圏とかがえらいことあるとか、そのアフリカのあの辺から、フランス人てふか白人の旦那さま方がとってきて、そんなわけでメソアメリカに先住民の方がゐて、さう言ふ皆さんも白人が奴隷としてこき使ってどうたら、をやる。あとの方で「アフリカ系の皆さんの一覧」が入ってて便利。その、ヴ―ドゥーはさういふ ざっくり奴隷の信仰で、もとになった信仰はフォン人の、ゾンビはもっと前に奴隷として連れて来られたコンゴの人の、そのロアと呼ばれる神様みたいなもののパンテオンに、アフリカ系とか、まぁ彼らへの恐怖から出るでせうなのフランス系ロア(女性とされる)の次に、けるとって何、の方が、ゐらっしゃるとか、あとフォン人ぢゃないアフリカ系の人が拝んでゐる神様が、先住の人の拝み方で一応拝まれてるとか、すごいカオスが展開してゐる。
ある種のお約束で、ヴードゥーの関係の他、キューバや他のアフロアメリカン信仰が入ってをる。レグラデコンゴだかアバクワだかパロモンテだかカンドンブレだか、なんか偉いことある。とても皮肉なことに、ダンスとかできる著者は、キューバのパロと呼ばれる、コンゴの人が興した信仰について、ダンスがショボいとかビートが単調とか紹介しつつ、コンゴの人とかが拝む体系の至高神ザンビ、ンザンビ ゾンビがブラジルでキューバで拝まれてをってと言ふのを滔々と説く。著者の嗅覚はよさげなので「ガンガ・ズンバ=ゾンビ系の語説」はいいと思ふ。
キューバのこっちや、ブラジルと、ハイチやジャマイカなどの辺のキリスト教に関する黒人の対処の仕方(なんか温度差があるよ)と、一桁世紀のあふりか真ん中辺(12世紀ころまでイスラムの聖地にマリの都市トンブクトゥがってのは知ってるけど)にイエス様の御言が傳播してをり、と言ふ点が指摘される。しかも、さう言ふわけなので著者の名前が似ると言はれたダンバラ―=ウェドさんとヤハウェがいかなるものか知ってる旨がある。
サンテリアやヴ―ドゥーのアレであるカトリックだけでなくて、プロテスタントにアフリカンアレンジがされたものの紹介もある。
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