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紙の本
会計の複雑トピックをスッキリ解説。学生のレポート作成に最適
2006/08/20 18:09
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:会計士受験生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここ数年の間に大きくクローズアップされてきた「会計・監査」にまつわる様々なトピックについて、膨大な出版物を参考資料にしながら、コンパクトに章立てされていて、どのテーマから読んでも理解しやすい構成になっている。
主に、経済系の学部や大学院の学生向けを対象としているようだが、少なくとも本書を理解するためには、最低限の簿記、会計学および会社法などの知識がないと、難しいかもしれない。
それだけに、一見すると一般向けの単行本のようだが、扱う内容はかなり高度であり、ジャンルとしては、準専門書といったところだろうか。
具体的には、デット・エクイティ・スワップなどの「会計マジック」の是非についてや、ストックオプション制度、保険時価会計、国際会計基準へのコンバージェンス問題など、専門家でなければ分からない複雑な問題について触れている一方で、カネボウやライブドア事件といった、社会的にも大きな問題となり、比較的なじみの深い問題について、その深層と課題について整理するなど、昨今話題に上がっている会計・監査にまつわるトピックは、ほとんど網羅されているような一冊になっている。
本書の特徴は、膨大な量の新聞(一般誌だけでなく業界誌も含む)、雑誌や専門書から記事や参考資料を引用し、著者の見解を簡潔明瞭に述べている点にある(著者のホームページによると、各トピックについては、A4用紙1枚を目安にまとめているそうである)。
とりわけ、第2章「ライブドア・ショック」では、強制捜査がきっかけで株価が下落し、東京地検に対して電話抗議する投資家(投機屋)がいたことについて、「その多くはただ株価の動きだけ見て、投資企業の財務諸表も見なければ(見る必要もない、また読めない)、業務内容も知らない」と、バッサリと非難するあたりに、著者の会計、監査および証券市場に対する高尚な倫理観がうかがえる。
また、本書ではひとつのテーマについて10ページ弱にまとめられているのだが、もっと深く知りたいと思ったときに、引用資料が詳細に記されているため。原著を検索しやすく、学生のレポート課題の設定には最適かもしれない。
もちろん、最新の会計トピックを扱っているので、実務家や研究者にとっても、複雑な問題を整理するために使い勝手が良く、手許に置いておきたい一冊ではないだろうか。
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