紙の本
ワープする王子さまの秘密
2010/10/27 15:17
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野棘かな - この投稿者のレビュー一覧を見る
星の王子さまという題名にひかれ
岩波書店『星の王子さま』(訳者:内藤濯氏)を初めて読んだのは中学生の頃だった。
たぶん雑誌かなにかで夢いっぱいに紹介されていたのだと思う。
どんな王子さまが登場するのかとワクワクして読んでみたが、話が意外な方向に飛ぶ、展開が見えないという印象で、部分的なイメージだけが残った。
でも、星の王子さまはずっと気になる存在となり、その後、何度か起こった「星の王子さま」ブームの時も、そのたびに特集などを読み、著作権切れ後におこったムーブメントでは、シンプルでかわいい刺絵に魅かれ展覧会へも足を運んだ。
ここまでくると自分なりのサン・テグジュペリ星の王子さま像がしっかり根付いていたため、いまさら、それを壊したくないという思いもあり、本を読み返すつもりはさらさらなかった。
だが、やはり倉橋由美子ファンとしては、マスト本じゃないかとある時思い立ち購入したのが。この「新訳星の王子さま」訳者:倉橋由美子の本だった。
倉橋由美子訳というだけで、エスプリの効いた小粋な文に感じるマジックをかけられたせいか、とうとうきちんと全部、「星の王子さま」を興味深く完読した。
過去に読んだ星の王子さまがどうだったか覚えていないし、比較するつもりもなく、私にとっての「星の王子さま」はまさにこの本だった。
そして、とうとう星の王子さまの秘密も理解できた気がした。
そうなると、やはりこの本は、大人とか、子どもというカテゴリーを超えた小説だと改めて思うのだが、人生の悲哀を少し体験した人にしかわからないこともあるので自分を大人だと思った時に読んでみたら、その時々の自分なりの解釈で大人度が測れ癒される本かもしれない。
一番気になるのは、バラの花との関係だ。
水をやり、風から守り、大切にしたバラの花の本当の気持ちに気がつかず、わがままに振り回されたと思いこんだまま別れを告げたが
花は非難がましいことを言わず
「あたし、ばかだったわ。ごめんなさいね。どうかお幸せに」
いじらしい強がりを言って、あたしは大丈夫と言ってみせるところに、私は何度も泣ける。
決してデイジーやタンポポなどではない、高価で華やかなバラの花というところにフランス人らしさも感じられる。
飛行士は空で何をみたのか、そして孤独の中で何を思ったのか。
極限状態においてこそ現れる自分の星の王子さま(インナーチャイルド)と向き合う。
何を言いだすか、何をしでかすかわからない星の王子さまが現れ、不意打ちをくらう。
だが、星の王子さまは、自分の一部であり、すべてだった。
本当の自分に出会い、自分と対話し、走馬灯のように過去が蘇る。
サン・テグジュペリも、大人社会の不条理に悩んでいたのか、わがままな恋人に振り回されながらも素敵な恋愛をしたのだろうか。
人生における様々な出来事を集約し象徴となる星の王子さまは、乾いた大人を癒し、その心に小さな灯を折々ともす存在になる。
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「肝心なことは目に見えない」日本では小さな子ども向けの童話のように受け入れられているこの本は、どちらかというと大人向きの小説です。大人の中に生き続ける反大人を、言い出したら聞かない王子さまという存在で描いています。新しい訳で読んでみませんか?
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子供のころ親に読まされたときはいまいちよくわからなかったけれど、今読んでみると、本当に大切なことをいっぱい発見することができました☆子供の心を忘れた、あるいは忘れかけている大人にぜひ読んでほしい一冊です。
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「肝心なことは目に見えない」日本では小さな子ども向けの童話として受け入れられているようだけど、これはやはり大人向き。大人の中に生き続ける反大人を、言い出したら聞かない王子さまという存在で描く。解説が素晴らしい。
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名言いっぱい。でも、どれも当たり前のことで、普段忘れてしまっているだけのことかもしれない。
だれの心のかたちにもぴたりと寄り添う水のように感じる。
これを読んで深く感じることがあるのなら、オトナになった証拠なのかも。
”あぁ、訳書だな”って思わせるわかりにくい表現が少ない気がする。会話文が特に。
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昔から語り継がれる名作の一つ。
この本は、子供のための本ではなく、大人のための本である、というのは有名な話。
有名な王子様とバラの話は、物語の1部分でしかなく、序盤の部分では、王子様がいろいろな星をまわって、その星の住人と話をするという場面が私は好き。
王子様と話す大人一人ひとりが、現代社会に常におきていること、それが社会風刺にも見え、哀れみにもとらえることができる。
また読みたいと思わせる1冊。
日本語に翻訳されたものも、翻訳者によって若干色が変わるので、書店に行ったら冒頭の文章を比較して、自分にあったもの選べばよい。
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いつ以来だろう、この本を読んだのは。
最初に読んだのは、確か高校生の時だったかな。まるで意味がわからなかった、なんて単調な話なんだって思った。
世の中でこんなにも絶賛されている意味がわからなかった。
でも、改めて読んでみて。なかなかじーんときました。
ジュリアンが貸してくれて、ジュリアンが大好きな本だから、わかりたい、って思いもあったし。
地球で王子さまが友達になった(=飼いならした)狐が言います。
「もう1度、バラを見てごらん。あんたのバラがこの世界に一つしかないってことがわかるから。」
「あんたのバラがあんたにとって大切なものになるのは、そのバラのためにあんたがかけた時間のためだ」
そっか、だから「特別」が生まれるのか。
「友情」が「愛情」が生まれるのか。
このお話をジュリアンと語り合った。
私が大人になるにつれて、変わったこと。
1.「怖いもの知らず」でなくなったこと。
それは、失う恐怖を、失敗する恐怖を、プライドを、世の中の現実を、自分の限界を知ったから。
でも、私にはまだまだ知らないことの方がたくさんある。
知ることが自分自身の身を小さくも大きくもする。
しかし、知ることで浅くなることはない、「自分」という器は深くなるとは思う。
2.失うことが怖くなったということ、責任を背負っていくようになったということ
大人になるにつれて、人は自分が守らなければならないもの、責任を追っていかなければならないものが増えていくんだと思う
それは、いいことかもしれないし、悪いことかもしれない。
誰かのために生きることだし、自分のためだけに生きられないことかもしれない。
ジュリアンが、一番印象に残ったのは、狐が王子さまと友達になりたくない、っていう場面で、
それは別れが悲しくなるから。っていうようなことを答える場面なんだとか。
すごく意外だった。
彼にとって、別れは「日常」のものだと思っていたから。
留学生が帰国するときも、私と一時別れていた時も。
なんというか、別れを映画の1シーンとして捉えている感じ。
高校生の時から、各地を転々としてきたから、なし得ることなのかと思っていた。
でもそれは、彼にとって、「訓練」してきたことらしい。
感情を一定に保つためのこと。
そして、それができている彼に私は惚れたんだと思う。
しかし実際はものすごくさびしがり屋な人なのかもしれない、と話ていて思った。
このことは、忘れないでおこう。
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子どもの頃、母にもらった本。
その時は???だったけど、
オトナになって読み返して、
名作と呼ばれる理由がちょっとわかった気がします…
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すごく読みやすい。訳がよくなったのかな。
何度も読みました。
深いです、いろいろなところで考えさせられます。
とくに地球についてからの話がすき。
また花に対する王子さまの想いは、恋人や大切な人に対する想いを表してると思います。
何度も読みます。
人に薦めたい一冊です。
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目に見えないものを心を通してみたら、大切なものがみえてくる。世界中の何よりも特別で大切なものを心の目で見よう。すると、世界が変わって見えてくるかも。
最後王子さまが消えたのは、死を連想させる。死に対してどう考えるかはこれから読んでいく本で深めていきたい。
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物事の本質的な部分が書かれた作品。子供ではなく大人が読むべき作品であり、その点では「モモ」と通じる部分がある。この本を何度も読んで考えることで、子供の頃のことを大人も思い出せるようになるのではないか。たとえ、ほんの少しでも。
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花は恋人で、旅は孤独。
なにかを指し示すような、意味深な言葉ばかりが並ぶ。大人向けの本だと感じた。
王子様は少年として描かれているけど、私には大人の男に見えた。バラの花は、我が儘で美しい見栄っ張りな恋人。訳者の倉橋さんのあとがきの指摘も、面白い。
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読んだのは2回目ぐらいかな。
いつ読んだかは分からないけど。
正直に言って、まだこの本を楽しめているような気はしない。
読んでておもしろいし、楽しいんだけど、
なんだろう、この本のポテンシャルを全て読みとれてないような。
そんな気がする。
そんな気がするのは、オレがまだ“大人”ではないからか。
大人になったら、面白く感じるんだろうか。
それは分かんないけど。。。
大人になったら、またこの本を読んでみたい。
大人になったときには、この本の存在を忘れてしまってるかもしれない。
リスキーな計画だ。
大人、大人、大人。
「大人になることはつまんないことだぜwww」
作者はそんなことが言いたかったんだろうか。
そういうわけでもなさそうだけど。
どこか大人を憐れんでいるような。
成人式が終わっても、まだ大人ではないようだ…。
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大人になってから初めて読んだ。
うん、確かに「大人のための『星の王子さま』」です。
3つの火山とたった一つの花を持つ王子さまが、星から星へと旅をして、地球にたどり着く。
狐と仲良しになったり、星に残してきた花を思ったり、音楽を奏でる井戸の水を飲んだり。
こんなに悲しい結末だったんか・・・と、あらためてじんわり来ました。
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久しぶりに本棚から引っ張り出して読みました。
毎回読み終わるたびに違った印象を受けます。
大人になってから読んだのはこれが初めてで、読んでいる中で「あぁ、自分も”大人”寄りの思考になってしまったな...」と思いました。
王子様は子供っぽい印象があるけれど、時折大人(良い意味で)のような、一種の悟りを開いているような片鱗を伺わせているように感じられました。
狐の「肝心なことは目に見えない」という言葉が心に残りました。
子供の頃に読んだときは「絶対にバオバブだけは育てない!」という感想を持っていたのを覚えているのですが、大人になってから読むと一文一文考えさせられる内容だと思いました。(それでもやっぱりバオバブは育てたくない気持ちは残っている...(笑)
あとがきにある訳者の方のこの作品全体や結末に対する考え方も大変興味深かったです。