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海のおっちゃんになったぼく みんなのレビュー
- なみかわ みさき (文), 黒井 健 (絵)
- 税込価格:1,430円(13pt)
- 出版社:クレヨンハウス
- 発行年月:2006.6
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絵本
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紙の本
少年と海の不思議なお話。大阪弁が魅力!
2006/07/20 23:28
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うっちー - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者は、高校生でこれを書いた。カバーの作者紹介に、こうある。
「…それまで、僕は、何でも『背伸び』してものを書いていた。このお話にもそれはあって、そのかけらはぜんぶ取っ払った。大好きで大切な海のことだけを伝えたくて。」
そして、それは、成功している。作者の「海が好き」という気持ちが、直接胸に届く作品になった。そして、表現に余計なものが何もない。なんとも気持ちがいいことだ。
お話は、少年が海でビー玉を見つけることから始まる。ここの擬音の使い方がみごと。
ざぱざぱん、ざぱざぱんって、
波が ぼくの足にあたったときに、
なんか きらりんって光って、
ぽとんって音がして、
さらさらの砂の上に、
「うわあっ」
青いビー玉が落ちたんや。
一瞬にして、海のにおい、波の音、少年の驚きが伝わる。その青いビー玉を少年は持って帰る。そして、文章は、こう続くのだ。
ぼくのコップに そのビー玉をいれて、
からんからんって ふったら、
がらんがらんって まわって、
そのあと、ぱちん!て鳴ってん。
‥どうだ!(と私が言うこともないが)この小気味よさ。
ビー玉は割れて、コップには、海の水が入っている。こうして、少年は「海」を飼うことになる。ところが、この水は、どんどん増えてきて、コップに入りきらなくなり、金魚鉢、ビニールプールと、どんどん大きなものに入れなければならなくなる。とまどう少年。大きくなっていく「海」にどうしていいかわからなくなり、そっと捨てようとする。さて、ここで「りっぱな」大人である父親の登場である。父親は、息子に、飼い始めた海を捨てることの非を説き、かつ、励ます。
ほんまはな、だれよりも 気の遠くなるほど年上の海をかうなんて、無理やとおもてんけど、おまえは、がんばってここまで育ててこれたやんか。最後までめんどうみれるはずや。
こういう大人がそばにいることで、子どもは成長するのだ。少年は、はっと気づく。そして‥。
とにかく、なんとも気持ちのいいお話なのだ。絵も、さすが。瑞々しい文章とベテランの落ち着いた色合い、筆運びが不思議にあっている。また、大阪弁が生きていて、声に出すと、よりいっそう魅力が増す。少年の最後のせりふ。これを上手な大阪弁で言えたら、この絵本の題名とお話は、より生き生きと輝くだろう。
「がんばれよう。大きなれよう。おっちゃんは ずっと見てるでえ」
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