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殿様の通信簿 みんなのレビュー

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みんなのレビュー26件

みんなの評価3.8

評価内訳

26 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

江戸時代の殿様の生活の実態が、ほんの少し見えてくる。当時の殿様には、なかなか人間くさい人物もいたようだ。

2006/09/29 23:50

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:つれづれなるままに - この投稿者のレビュー一覧を見る

 江戸元禄期、殿様の通信簿がつくられていた。『土芥寇讎記』(どかいこうしゅうき)である。これは幕府の隠密がさぐりだした秘密情報をもとに、幕府の高官がまとめたもので、243名もの殿様が登場する。もちろん門外不出。写本も固く禁じられ、いまでは日本に一冊残っているだけらしい。
 本著『殿様の通信簿』は、その『土芥寇讎記』を縦横無尽に援用しながらくりひろげる歴史エッセイ。本のオビに「平成の司馬遼太郎」とあるのはいささか過褒にしても、学者が書いたとは思えないこなれた文章で、水戸光圀、前田利家、本多作左衛門、浅野内匠頭など8人の人物論を、自由自在、軽妙にくりひろげていて面白い。しかも単に人物紹介にとどまらず、一種の文明批評にもなっているところが本著の魅力だ。
 例えば日向の国、延岡藩主の内藤家長は通信簿で、無類の能好きで遊興に身をゆだねた暗君と評された。しかし延岡ではいまでも能をつかった町おこしがさかんだそうだ。著者はこれをふまえ、「300年前は武具をたくわえ、戦いにそなえる軍備増強をするのが名君だったが、それはいまでは何の役にもたたない。能を舞いすぎるのは馬鹿殿さまの所業とされたが、この無駄遣いは、いまでも観光資源や文化になって残っている」と書いている。随所に散らばるこうした一節が、歴史のもつ面白さを教えてくれる。
 また水戸黄門さま、徳川光圀について通信簿は「文武両道をよく学び、才智発明な(頭の良い)男である。自分の身を正して、道にのっとった政治をやっている」とする一方、「女色に耽りたまい、ひそかに悪所(遊廓)に通い、かつまた、常に酒宴遊興、甚だし」とも評している。このくだりを著者は、「当時、身分を超えた交わりができる場所は、遊廓くらいしかなかったのだ」と解説する。そしてそれを読んだ読者の側は、「下世話に強い“黄門さま伝説”は、こうした生活の中から生まれたのだ」と覚ることになる。
 新しい資料が見つかったときの著者の興奮がそのまま素直に記されているのも面白い。例えば通信簿に「あまつさえ、女色を好むこと、倫を超えたり」と記された岡山藩主池田綱政の生活ぶりを裏付ける資料が早稲田大学の中央図書館にあると知って、著者は高田馬場にかけつけ、バスを待つのももどかしくタクシ−に乗ったそうだ。すると運転手氏が、「本をみにいくの?」と聞いてきた。これに「まさか、文盲で精力絶倫、といわれている大名がいて、それが本当かどうかを確かめるため、古文書をさがしに行く途中だ、とはいえず、私は口をつぐんだ」と書いている。このくだりでは、思わず吹き出した。
 ちなみにこの綱政は、金沢の兼六園、水戸の偕楽園とならぶ後楽園を岡山につくった殿様だが、子供を70人もつくったことでも有名だ。大名にとって子種を残すことが何より大事だった時代とはいえ、これはただごとではない。しかしいまの教育で綱政をとりあげる時には、後楽園にはふれることはあっても70人の子供に言及することは絶対にないそうだ。これには考えさせられた。
 仄聞するところでは、イギリスでヘンリ−8世をとりあげる時には、英国国教会をロ−マから分離独立させた王様であると同時に、6回も正式の結婚をくりかえした王様であることもちゃんと教えているらしい。綺麗ごとだけでは歴史はつまらない。子供たちを歴史好きにするには、もっと人間くさい部分にもふみこんだ教育が望ましい。「そのあたりは小説に」では、歴史家の責任逃れになるだろう。そんなことも考えつつ読んで楽しんだ。
 『武士の家計簿』で評判をとった磯田道史氏の歴史エッセイ第2弾。仲々いい本だ。

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紙の本

情報を制するものが時代を制すらしい

2006/11/27 12:01

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 著者の作品の一つの特徴は、現代から史料を通じて過去をのぞき推察するという、歴史研究の一端を垣間見せてくれることにあると思う。1冊の史書を発見するところから始まり、過去の人間の営みに何かを見出すことに終わる。そんなアカデミックな作業の楽しさを教えてくれるところがある。
 本書の紙幅の大半は、加賀前田家の物語に割かれている。関が原を経て天下の形勢は徳川家に定まり、戦国から太平の世へ向かう最中、百二十万石という飛びぬけた領地を持つ北陸の雄、前田家。家康に警戒され、常に取り潰しを恐れていたなかで、その殿様は何を考え、何をしたのか。その一端を見せてくれる。
 これらの逸話を元に歴史小説を書いたら、かなり面白いものができるのではないかと思えてきた。これまではほとんど触れられなかった様な、歴史上の人物にスポットを当てた作品が世に出ることを希望します。

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2006/10/02 14:54

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2007/02/18 18:11

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2007/05/11 20:25

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2008/12/03 20:11

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2011/07/30 18:58

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2013/11/04 22:30

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2016/01/10 03:06

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2014/11/09 07:49

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2015/12/06 10:52

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