紙の本
「AKIRA」や「攻殻機動隊」と同じように書かれた「革命」の本!
2006/07/07 17:56
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:T.コージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
もっともわかりやすい失敗例は、インターネットとテレビの融合である…通信やデジタルの政府系委員会に参加する著者の指摘はそれだけでも刺激的。本書は10年かけて書かれているが資料や諸説の検討に月日をかけたのではない。過去の集積=データベース的なものは著者には無縁で、「AKIRA」や「攻殻機動隊」のようにある未来から今日を振り返って書かれている。日本でインターネットの商用利用がスタートした当時デジタル・クリエーターの一人だった著者が注目されたのは著書『デジタル日本人』(1997年)のインパクトだった。デジタルやサイバーで形容されるものが技術用語やポスモダ用語ではなく豊富な具体例とオヤジやコギャルにわかる普通の言葉で説明されていた。本書は続編。
「テレビを数年前にやめた」著者だが、メディアの仕事をし現場を知っている者ならではの説得力と鋭さがある。インターネットから本物のスターが誕生していない、ゲームが流行らなくなったのは街の構造がゲーム化したから、彼氏からのメールが最重要コンテンツ、日本のアニメが海外で評価が高いのは仕入原価が低いから…あくまでクール、オタクではないし思い入れタップリのサブカル論議とも無縁。技術論でも哲学的な理想論でもなくリアルな現場からのソリッドで当たり前の指摘が続き、「世界を見渡すと、国家がなくても文化が生き残っているのは実証済みだ」という認識も踏まえて、いかに文化から国家を再構築するかという問題と結論までイッてしまうスピードとドライブ感あふれる読み物になっている。
債務残高=114位、財政赤字=113位という世界における日本のヘタレな順位を指摘しながら、ブレア首相が略ったイギリス国家の戦略的なブランド化を、それを一挙に解決できる方法として示してみせる。世界の情報化とグローバル化で直接知らない相手との取引や交流が増えるといちばん大切になるのは信用やイメージつまりブランドだ…とイギリスの戦略を参考に説明される。そして国家のブランド化とグローバル化は表裏一体であり、だからこそ重要なのはIT=技術ではなく物事の国際化だという結論に、サヨ・ウヨが大合唱する反グローバリズムも所詮は矮小な自己防衛でしかないことがわかるかもしれない。
デジタルとグローバル化にともなう大きな問題である著作権についても、コピーは問題ではないと指摘し「自分で自分の作ったものを自由にできない」日本の著作権法と著作権管理システムの行き過ぎに著者は憤慨する。批判されるのは定価の10〜20%しかクリエイターの収入にならず、残り80〜90%が流通コストとなってしまう異常さだ。かつて音楽界でこの問題を解決しようと業界のシステムに挑戦したのが小室哲哉だった。
ところで地方の時代が本格化しそうだが、成功しそうな地方(主体の事業)はどれだけあるのだろう。著者は自ら総合プロデュースした国内最大のコンテンツ・プロジェクト(政府と県による)「wonder沖縄」の成功を踏まえて「プロジェクト・リーダーがよそ者であること」「これができない地域は、まず成功することが難しい」という。
しばらく前に長野県でも神奈川県でも知事はよそ者だと批判されたことがあったが、本書が指摘するさまざまな問題の根底には現代の日本を象徴するバカな事態が目立つ。間違いなく著者は現代日本の痛いところを突いているのだ。本書は「近未来考古学」であり「ハイブリッド・スタイルのススメ」だそうだが、個人的にはラジカルな革命本に読めてしまった。帯には「NIPPON改造講座」とコピーされているが、「改造」は革命並に厳しくイかないとイケない気がする。
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日本の今後の方向性とこれから自分達がどう進んで行かなければならないのか、道を色々と解説してくれています デジタル絡みで... 読んで元気出ました
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「人々が求めているのは新しい環境=スタイル」。この本の中で、i-podの成功例をこのように分析している。ということはこれから勝負をかけてくるソニーやマイクロソフトはどんなスタイルを仕掛けてくれるのだろうか。もしかして全然気づいてなかったりして。
デジタル世代の申し子として(一部の世界では)神格化されている高城氏ではあるが、実はあまりIT、ネットの世界の情報に重きをおいていない。「本当に大切なものはインターネットに流れたりしない」と言い切る。今はフィジカルにも興味が移ってきているようだ。このバランス感覚が面白い。
2006.06.29-07.01
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ブログとかweb2.0とか、それは基本的には技術の話です。
そんなことより、スタイルだろうと高城は言う。
iPodはスタイルを流行させたんだと。機能だけじゃこんなに売れないと。
だから高城はずっと先を見ている。
今のスタイルや技術から、次にどんなスタイルが産まれていくのか。
どんなにテクノロジーが進んでも、人間の欲求に合致しないと進化とは呼べないもんなぁ。知ってももらえないかも知れない。
そういうスタイルや、それを生み出す概念、今の日本の現状などが書いてある本です。
もちろん現状を書くときはテクノロジーから権利関係の問題まで、ちゃんと現場で体験して考えて改良して書いてあります。それでいて未来を見るということ。
んー、すごいな高城剛。
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「情報のダイエットをする」という一言は、なるほど!ではないでしょうか。
テレビを見なくなってから一年以上経ちますが、自分が欲しい情報はつねに意識してるものですから、いつの間にか仕入れてしまうものです。
本人も書いてますけど、AKIRAのように近い未来を、未来から逆算して書いている名著だと思います。
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高城 剛という人はある意味すごく偏っているし、ある意味すごく柔軟だ。
この本で語られていることは、一部うなずけるけど、全体的には首を傾げてしまう。彼は変人のようでいて、実はメジャー志向が強いのだ。
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前に読んだ「デジタル日本人」からずいぶん経ったと思う。「デジタル日本人」の印象は、日本人はモバイルが主流でSOHOははやらないということ。事実、モバイルは携帯電話やフリーデスクなどのように、主流になっているが、SOHOサロンなどはまったくはやっていない。
今回の高城ビジョンは、ライフスタイルをクリエイトすること。IPODを例にして、ITではなくライフスタイルが重要ということを訴えている。また、コピーによるシェアの拡大と著作権保護の無意味さを訴えている。コピーによる文化が作られるという考え方はなるほどと思う。
今回もなかなか感心させられた。さて、どんなライフスタイルをつくれるか。
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this is great.
i'll read this 3 times.this is worth to read for person engaging IT region.
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これから日本は「日本独特のスタイル」を世界に輸出しろ、という話。そのスタイルは「ハイブリッド」であることだと言う。携帯電話のユーザーがテレビを見ながらメールを打てるように、異なる媒体を同時に使うスタイル。こういったハイブリッドスタイルを確立できれば世界に通用するものを世界に出していけるとのこと。とても面白い読み物でした。
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面白い本だなぁ、と思う。
ITの時代は終わった。次は「文化」だ。
そこに持っていくまでの前半は、多少無理やり感があったけど。(笑)
後半は、なるほどなるほど、と面白く読めた。
メディアの利用、それを取り巻く環境。法律、内部事情、色々あるんだろうけど。
日本独自の何ともいえないスタンスってのはやっぱりあるんだよなぁ、と改めて実感。(笑)
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海図の読めない(世界情勢)がわかならい人たちが舵取りを行っている船に乗ってるのが今の日本。
国際情勢がわからない人間に、舵取りを任せると、どんどんヤバい!方向に国が進むということを書いている。
座礁しちゃ困るから…
これから国を背負う若者に読んでほしいよ。
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情報デブ・体育会系オタクなど、現在とそれからほんのちょっと先の日本を良く表している言葉だと思う。企業にしても政府んしても、日本を評価できない人たちが日本を動かそうとしているなんてとんでもない話ですよね!今まで政治に興味がなかったけど、大きな意味で政治に対する興味が出てきました。若い人が読むべき本だと思います!
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ゲームが売れなくなった理由について、街自体がゲーム化しているから、というのには納得。文章はやわらかいが議論はとても本質的
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情報世界の先端現場の声が感じられ説得力があります。理想の「見通しのいい場所」で活動している人。日本の文化を再び確認しなければ・・・。
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「ハイパー・メディア・クリエーター」
未だよくわからんけど、エリカ様と旅行できるならなってみたい。