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紙の本

20世紀の世界を覆った「共産主義」という名の悪夢

2006/11/04 11:00

19人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

かつて朝日新聞の特派員だった和田俊氏は「微笑みの国カンボジアでは虐殺など起きていない」なというオオウソをついた。本多勝一、小田実らは朝日ジャーナル誌に掲載されたシンポジウムでアメリカ映画「キリングフィールドはCIAの宣伝映画。優しいアジアの人たちが大量虐殺なんかするわけがない」と論陣を張った。アメリカとの戦争に敗れ、それが口惜しくて悔しくてならなかった元軍国少年やその息子達は、アメリカに果敢に抵抗するベトナム人を無条件に支持し、ベトナムの共産化は歴史の必然であり、ベトナムのグエンバンチュー傀儡政権を支えようとするアメリカは反動勢力そのものだと大々的にベトナム反戦運動を繰り広げた。北ベトナム政権は正義の勢力でなくてはならなかった。だから南の政権が崩壊したあと、ベトナムは落ち着き豊かになるはずであった。そのベトナムから大量のボートピープルが逃げ出し始めたとき、日本のマスコミもべ平連の人たちもボートピープルには異様に冷淡だった。その冷淡さは、丁度、北朝鮮によって拉致された被害者家族に対し日本社会党がとった態度に似ていた。実際にベトナムで、カンボジアで何が起きたかは、今では誰でも知っている。イデオロギーとは恐ろしいもので、あったことが無かったことにされ、現に今、目の前で起きていることが見えていても見えないことにされてしまうのである。中国で起きた文化大革命も同じである。日本共産党から分離した全学連の一派であるML派は毛沢東主義者だったそうで、彼らにとって毛沢東の行なうことは何でもかんでも正義であり、「造反有理」は彼らを支えるキーワードだった。今ではグレートリープバックワード(大後退)とアメリカ人たちに馬鹿にされている「大躍進政策」だが、それが当時の日本では何か素晴らしいことのように報じられていた。大躍進政策では国中の鉄という鉄をドラム缶上で溶かし、これを鉄鋼生産と称し、十年で英国の鉄鋼生産を抜くと豪語した毛沢東。この結果、国中の鍋鋤鍬が溶かされなくなって畑が耕せなくなりご飯が作れなくなって一説には2千万人近くが飢餓で死んだという。それに続く文化大革命は実態は大躍進で失墜した毛沢東の政策失敗から国民の目をそらし、反毛沢東派を根こそぎ殺すことが目的で、国民相互を監視させ密告を奨励して大量の人間を、これまた死に追いやった。文化大革命で殺された中国人の数は1千万人とも言われている。最近、江沢民が「日本軍によって殺された中国人の数は3千万人」などという妄言を吐いたが、これは大躍進や文化大革命より日本がもっと悪いことをしたんだぞと中国共産党の暗闇から中国国民の目をそらすのが目的といわれている。そして今、北朝鮮は国際社会のすべてを敵に回しながら核開発を強行し、世界を、なかでも日本を脅迫し始めている。北朝鮮は既に破綻しているが、北朝鮮のモットーは「北朝鮮が滅びる前に、世界を滅ぼす」ことにあるという。東京都心の上空で北朝鮮の核爆弾が炸裂すれば一瞬にして130万人が消滅し、その後放射能被害で200万人が死ぬと言われている。このほかにも北朝鮮は炭ソ菌・天然痘菌を大量に保有し、それを何時でも日本にばら撒こうと思えばばら撒ける状態にしているという。「正義はわが頭上にあり」と思い込んだ共産主義者。「共産主義を信じない保守反動は進歩の敵」と看做し平然とその命を奪った共産主義者。イデオロギーに取り付かれ20世紀の宗教戦争を実行した共産主義者たちの悪用の数々をフランスの研究者が丹念に追及した本書は、万人にあたうる書といえよう。

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