紙の本
鉄のカーテンの中の少女たち
2018/05/25 04:37
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
スターリンに支配されている、独特な閉塞感が伝わってきました。揺れ動く思春期特有の少女たちの思いと、重なり合って味わい深かったです。
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ロシアの人気作家が自らの思い出を込めて描いたと思われる〜スターリン時代の少女数人のおかしくて切ない物語。伸び盛りで好奇心一杯、生き生きして賢いようでもまだまだ子供!とんでもないことも起こりつつ〜あたたかい視線が感じられます。
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スターリン時代のソ連に生きた少女たちを描いた連作短編集。
十代前半の少女の繊細で鋭敏な空気をよく描いているなと思った。
特に印象に残ったのは、「捨て子」と「その年の三月二日……」。
「捨て子」は双子の姉妹間の複雑な愛憎に、姉のいる身としては思わず苦笑してしまった。勿論私はガイカほど酷いことはされていないし、ここまで精神的に濃密な繋がりはなかったが。ヴィーカとガイカの関係は年の近い姉妹がいる人なら分かる部分があるのではないかと思う。
「その年の三月二日…」は、リーリャの「あんなに好きだったのに」という呟きに、胸が抉られた。
そうだよな、そういうことあったよなあと、少女時代を思い出してノスタルジックな気分になった。
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ソーネチカのリュドミラ ウリツカヤの短編集。
少女を主人公にしていて、少女独特の無邪気な冷酷さとかが
絶妙に表現されていた。ソーネチカは人からは同情されそうな話
だったけど、さわやかで淡々としていて好きだった。
この短編集も淡々としてはいるけど、少女独特の生生しさが
ちょっと苦手だったかな。もう一度読み返すことはないかも。
一番最初の話が一番好きだったかな。戦争に行っていて
自分の子を自分の子だと信じられない旦那さんの話が良かった。
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私は最後のかわいそうなターニカの話が好き。
すてきできらきらしい少女たちの、メロディ
少し物哀しい、でも甘酸っぱい。
著者のまなざしがまた独特。
すき
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あれぇ、これはクレストじゃないんだ?と発見したとき思った。表紙は木内達朗だし、訳は沼野恭子だし。
でも、読んでちょっと納得。『ソーネチカ』や『女が嘘をつくとき』なんかに比べると、ちょっと読みにくいというか、地味かなあ。
ロシアもの専門の群像社で正解かも。
スターリン時代に少女だった著者の体験が反映されているらしく、内容はよかった。
はじめにヴィカとガイカの双子の話が二つ続いたので、この二人を主人公にした物語かと思ったが、そうではなく、二人を含む同級生の少女たちの群像劇になっている。
裕福でもユダヤ人として鬱屈した思いを抱えている子もいれば、貧しくて劣悪な環境に育ちながら、あまり賢くないため不幸を当然と受け止めている子もいる。
一番面白かったのは「奇跡のような凄腕」。障害を持ちながらしたたかに生きるトーマと、ピオネールの(優等生ぶった)少女たちの対比が印象的。
『クコツキー家の人びと』にも期待しよう。
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民族も親の職業も異なる少女たちが可愛らしくおませである。旧ソビエト、スターリン時代の少女たちの性の目覚めをみずみずしく描いている。新鮮であった。
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リュドミラ・ウリツカヤの物語は郷愁に充ちている。それはどちらかと言えば不幸な時代への郷愁であるのだが、過去は常に美しいという法則に基づいてその負の面は後退し、何か漠然とした期待感があったことだけが生き残る。結果、戻りたいとは本当は思ってもいない過去に惹かれるような気になる。
描かれているのは、スターリン時代のロシアの地方都市の、頭でっかちな正論と今日を生きねばならない現実と異なる民族が混沌と混ざりあった特定の時間と場所である筈だが、何故かいつも70年代の東京近郊の風景と重なるような気がする。学校で教わる時代がかった民主主義教育と安保やアポロや浅間山荘が白黒のテレビから溢れ出ていた、あの時代と場所に。決して満ち足りてはいなかったと思い出すのだが、今のように何かに追われたような切迫感もなく、翻って見れば平和であったとも思えるあの時。それが子供の視点を通しての感覚であることとは無関係ではないだろうけれど。
そんな風に過去を思い出すことは悪いことではないだろうけれど、少しだけ危ういイデオローグのニュアンスを嗅ぎ取ってしまうのは思い込みが過ぎるだろうか。リュドミラ・ウリツカヤを読むとそれだけがいつも気になる。
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1950年代前半のロシア(スターリン独裁体制の
末期)を舞台にした少女たちが主人公の6つの短編集。
双子のガヤーネ(ガイカ)・ヴィクトリヤ(ヴィーカ)、
アリョーナ、マーシャ、リーリャ、ターニカが
それぞれの作品の主人公ですが、やはり表紙の
双子、ガイカとヴィーカのお話が印象に残ります。
(ロシア人男性ってすぐ妻の浮気を疑うなぁ。。)
男子に苛められるリーリャのお話は小さい頃を
思い出してしまうし、ターニカの同性にあこがれて
自分を犠牲にしてしまうことも身に覚えがあったり
して、政治体制によらず根本的なところは
誰しも似てるものだとノスタルジーを感じました。
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ロシアで最も人気のある作家、ウリツカヤ。3冊読ませてもらったが、どれも期待に違わぬ「ロシアという大地の」匂い、味、温度、そして堂々たる人生を感じさせる傑作だった。この本は連作6編が入っており、スターリン圧政下の「真っ黒な、息苦しい」時を感じさせつつも、多数登場している少女たちの~~時には愛らしく、勤勉で、潔癖症な姿を言葉と出来事でリアルなタッチに描かれている。多くの場面に現れる【性の眼ざめ】~余りの大胆さ、生臭さすらある少年少女たちのタッチにドキドキしてしまう。
名門名家の、インテリの、生まれや育ちが語られたり、種々の民族が同一空間で学んだり語り合ったり、嫉みあったり。
流石 大陸!と思わせられる~アゼルバイジャン、アルメニア、そして屈折した思いが語られるユダヤ系。
面白かったのは世界中から15000個ものプレゼントが集まった「スターリンの個人崇拝」・・でも「スターリン同氏は好きじゃないけどね」と記している事にはわらえるが。
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作者の本は3冊位読んでいて、評価人気共々高いのに、自分は何だか素直に受け取れないでいた。この本は良かったなあ。短編って、上手い下手があって、うまくないと本当に火傷するというか、がっかりの連打攻撃になる訳だ。こういう少女を扱った内容は世の中に溢れてるけど、新鮮に感じた。年齢的に小学校中学年位ってあんまり取り上げられないよね?出てくる女子が作者でもあり、読む私でもあり、これから読む誰かでもある。こういう風に読み取れる。これは強い。これは強者(作者)だ。やっと作者を理解できた。
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再読。
親不在の家に女の子達が集まって
暴走したあたりで、
読んだことがあったのを思い出した。
この本に出てくる女の子達の、
あのエネルギー有り余ってる感じ、
発散したいけどうまく出来ないあたりは
覚えがある。
あの年代の女の子達って
あんな感じ(獣みたい)だよねぇ、こわ...
と思いながら読んだ。
あの集団の中で子供時代を
過ごさなくて良かった!
というのが読後感。
(多分、虐げられる方の子供になると思うので)