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むぎわらぼうし 新装版 みんなのレビュー
- 竹下 文子 (作), いせ ひでこ (絵)
- 税込価格:1,760円(16pt)
- 出版社:講談社
- 発売日:2006/07/21
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絵本 絵本にっぽん賞 受賞作品
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紙の本
誰でも 一度だけ経験するのよ
2011/08/28 08:00
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「♪あなたに 女の子の一番大切なものを あげるわ」と、いまでもドキッとする歌詞で1974年の私たちの心を鷲づかみにしたのは山口百恵さんでした。
歌のタイトルは「ひと夏の経験」(作詞・千家和也)。
山口百恵さんは5枚めのこのシングルの大ヒットでスター街道を走りはじめたのです。
夏というのは、なんとなく危うい経験をはらんでいそうな季節です。百恵さんの歌のように刺激的でなかったとしても、太陽のひかり、波のきらめき、セミの合唱、したたる汗、そのどれもがふりかえると切ない物語をつづっているかのようです。
竹下文子さんの『むぎわらぼうし』(絵はいせひでこさん)はそんな過ぎゆき夏の甘酸っぱい思い出を押し込んだような絵本です。
家の前で「るるこ」という女の子が「なつの はじめに かって もらった むぎわらぼうし」をかぶって少しすねています。お姉ちゃんはもう秋だからむぎわらぼうしはおかしいといいます。でも、「るるこ」は「まだ なつよ」とかぶっていたむぎわらぼうしをぐっと深くかぶります。
そして、どんどん深くかぶって、いつしか「るるこ」は「すっぽり ぼうしの なか」にはいってしまいます。
そこで「るるこ」は楽しかった夏の光景、光にあふれた海辺の光景を見ます。
お姉ちゃんも笑って手をふっています。風にとばされて、波間にゆれるむぎわらぼうし。
いせひでこさんが描く海の絵が、光のつぶつぶが、とても美しいのです。それは現実ではなくて、すでにおもいでの夏の色合いです。子供たちの歓声、波の音が遠くに聞こえるかのようです。
夏の終わりは、この『むぎわらぼうし』のようにとてもセンチメンタルな気分になります。
「るるこ」のように、誰もが過ぎゆく夏を一瞬でもとめてしまいたくなるものです。
そういえば、山口百恵さんの「ひと夏の経験」にはこんな歌詞がはいっていました。
「♪ 誰でも 一度だけ経験するのよ」。
それは「るるこ」の夏でもあり、いつの夏だってそうなのかもしれません。
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