紙の本
寺山修司氏による奇書・珍書の書籍案内です!
2020/06/03 11:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、昭和初期の歌人で、劇作家であった寺山修司氏が、珍書というのか奇書というのか、そんな類の書籍を紹介したブックガイドです。しかし、単なる本の紹介ではなく、寺山修司氏の独特の切り口でコメントがなされています。同書で紹介される作品の一部を挙げると、「髪に関する面白大全」、「蛙学者になるための愉快な百科」、「男がハーレムを持つとき」、「怪物たちのカーニヴァル」、「オズの魔法使いのスクラップブック」、「ニグロのための実話画報」、「娼婦に関する暗黒画報」、「寝ながら読む寝台をたのしむ本」、「靴の民俗学を読む方法」、「書物に関する本の百科」などで、まさに奇書・珍書といったものばかりで、なかなか興味をそそられます!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひのえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて知ることがたくさんありました。想像していた内容とは違いましたが面白かったです。蛙学者になるための愉快な百科、男がハーレムを持つときが好きです。
投稿元:
レビューを見る
奇妙な本の図書館。
髪に関する面白大全。靴の民俗学を読む方法。など面白いものもあったが
「マゾヒズム映画の民俗学」とか「眠れぬ夜の拷問博物誌」などは読めなかった。
投稿元:
レビューを見る
2009/
2009/
髪に対する面白大全
蛙学者になるための愉快な百科
男がハーレムを持つとき
怪物たちのカーニヴァル
オズの魔法使いのスクラップブック
ニグロのための実話画報
娼婦に関する暗黒画報
寝ながら読む寝台をたのしむ本
靴の民族学を読む方法
書物に関する本の百科
推理小説に描かれた女たちの肖像
馬好きのための物知り画報
マゾヒズム映画の民俗学
少年時代に猟奇雑誌ファンだった
・集狂たちの謎めいた情報交換誌
眠られぬ夜の拷問博物誌
月夜にひとりで読む狼狂入門
聖トリニアン女学生の・乱
グランヴィルの発狂
投稿元:
レビューを見る
寺山さんはよっくこれだけマニアックな本を集めたものだ。
拷問、ハーレム、黒人、蛙、髪型、靴などの特殊な分野を扱った本を紹介している。
投稿元:
レビューを見る
劇作家の寺山修司(1935-1983)が蒐集した奇書・希書から興味深い事象を取り上げていくエッセイ。扱われているのは、髪、蛙、ハーレム、畸形、見世物、黒人、娼婦、寝台、靴、書物狂、馬、マゾヒズム、猟奇雑誌、蒐集狂、拷問、狼男、発狂漫画・・・など。全体を通して、性・狂気・暴力・異形・異端など、近代的な理性の"明るさ"が照らしきれない歴史と文化の暗部を執拗にいじくりかえして面白がろうとする、当時の"アングラ文化"の感性が嗅ぎ取れる。
澁澤龍彦などの著作もそうだが、こうした異端的な文化事象を博物学的に並べて面白がるという感性を、どうも一緒になっては面白がれずにいる。そこに書き手のどのような思い詰めた切迫さが在るのか無いのか、それがよく分らないからだと思う。
自分を超越的な高みに置いて、"知的好奇心"などと涼しい顔をしながら、異界の他者の生やその文化を玩弄している。この"知的好奇心"の充足のための面白がりは、自身の肉体や精神に対する痛切な反省への契機になるのだろうか、自己の存在が危機に晒されることにはなるのだろうか、余裕の面持ちが崩れることはあるのだろうか。好事家の傍観者意識による他者支配の機制が透けて見えるようで、読んでいて苦い気持ちになるのだと思う。
投稿元:
レビューを見る
幻想・怪奇の世界に耽溺する著者の嗜好の一面を現わすエッセイがまとめられています。
著者は、自身が消しゴムのコレクターであることを告白しつつ、「人はなぜ、蒐集するのか」という問題を提起しています。この問題に対して、正面からこたえられることはないのですが、蒐集家が対象を網羅し分類し整理することを夢見つつ、蒐集という行為そのものに彼自身がとらわれ、さらにはこの世界を越え出た幻想の世界へと入り込んでしまうというプロセスそのものに興味をおぼえます。
すくなくとも澁澤龍彦は、こうした種々の愛好家やコレクターたちをさそい込む道に自覚的でありながら、みずからもその道に入り込んでいくことをたのしむという風情があったように思うのですが、著者のばあいはどうだったのでしょうか。
投稿元:
レビューを見る
世界はすべて、ひらかれた本である。問題はどのように「読みとる」べきか、だ。すなわち、
本は、あらかじめ在るのではなく、読者の読む行為によって〈成らしめられる〉無形の形態にほかならない、のである。(p.130)
フリークスや娼婦、馬についてなど、いかにも寺山修司らしい本のラインナップに、目次を眺めるだけで満足してしまうような一冊です。上にあげたような、詩情に溢れる一文を見つけたりすると、「あぁ、いま本読んでるなぁ」って感じがしてやっぱり楽しいですねえ(笑)
あと、これは余談ですが、本書の175ページに〈豚の瘤料理〉が紹介されているのをみて、まっさきに『ねこぢる』ないし『ねこぢる草』の「あの」ワンシーンが浮かんできたのは私だけでしょうか?