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その人の人間性は何によって決まるのだろう?極貧のユンボギ、毎日おなかをすかせているのに、人から奪ったり、親を罵倒したりはしない。弟たちの面倒をみて、父親の看病をして、優しくしてくれる先生を敬い、友達にも感謝の気持ちを忘れない。心の気高さとは何から生み出されるものなのだろう。自分も貧しくありながら、ユンボギの支えになろうとする人びと、その反対に家賃の払えないユンボギ家族に寒空のなかに出て行けという大家。その心、気持ちの違いはどこからやってくるのだろう。
配給に並ぶ人びとの列を見て、「ほんとに、わが国の人たちが、こんな貧しい暮らしをして、将来の希望があるのだろうかと考えます」とユンボギは記している。これは40年も前の韓国の話であるのに、いまの日本の現状とも重なるようにも思われる。国会議員の選挙についても、「金先生のように、やさしくて立派な人が国会議員に選ばれたらいいなあ、と思いました。でもお父さんにきいてみると、お金の多い人が、当選するようにできているということです」とも記している。これもやはり日本の現状とかわらないけれど、こうして社会の矛盾に気づきつつあるユンボギの賢さにも感動した。