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まずは一言。とにかく読め。こいつを読め。
映画「アマデウス」だったか、モーツァルトは「私の音楽の中に、無駄な音はひとつもない」というようなことを言うのですが、これもまさに「無駄な言葉はひとつもない」。
一つひとつの文章に気合が感じられます。
「モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。」だの、「恐らくモオツァルトは正しい。彼の言う方が正しい。併し、彼が神である理由が何処にあろう。やがて、音楽の霊は、彼を食い殺すであろう。明らかな事である。」だの、一文一文がすでに芸術。
小林秀雄の批評美学の集大成と言われますが、まさにその通り。
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中学のとき、背伸びして買った本。当時はもちろん今もよくわからない。無情という事は抽象的な概念だし、国語の授業でやったんで結構理解できた。そのとき、初めて小林秀雄という人がこんなに絶賛されてる事が分かった気がしました。こういう文章が書けるようになれれば、表現する際に起こるこの悶々とした感情からは解き放たれるのだと思う。
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モーツアルトが読みたくて買いました。
音楽と文化の楽しみ方感じ方を手引きしてくれます。 この本はモーツアルトのみの事が描かれているわけではない
バッハ ベートーベン ゲーテメニューイン ワーグナーの考察
ドンジョバンニやフィガロの考察 モーツアルトの短いテーマに秘められた神秘性 ニーチェとワーグナー ビクトルユーゴ パガニーニ ガリアノのバイオリンとパガニーニ ドビッシーのペレアスとメリザンドの詩的な表現にメーテルリングは拒否反応 まー面白い 小林秀雄の考察の仕方は真似したいものです。
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収録作:モオツァルト、当麻、徒然草、無常という事、西行、実朝、平家物語、蘇我馬子の墓、鉄斎、光悦と宗達、雪舟、偶像崇拝、骨董、真贋
小林秀雄の好きだったものを並べましたよ、みたいな。要するに好きでもないものについて語るべきじゃないのである。とこれを読んで思ったのである。
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大好きな本です。何よりも小林秀雄さんの表現の仕方がとても心地よい。モーツァルトだけでなく他の作曲家についての考察もあるのもまた楽しい。
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私の周囲には読書好きの人はいませんでしたので、小林秀雄が文学の先生でした。ランボオ、実朝、モオツァルト、・・・天才を語らせたら小林秀雄の右に出るものはいないとおもいます。
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正直なところ、あまりよくわかりませんでした(全体的に)。よくわかる人はいらっしゃるのでしょうか?でも、「モオツァルト」は読めば読むほどわかる部分が出てきて、ちょっと楽しかったです。「無常という事」も最後の最後で「なるほど」と思いました。でも、最終的な感想としては「よくわからなかった」になります。不思議です。私にはまだ早すぎたのかもしれません。死ぬまでに理解できるかも疑問ですが。
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天才の孤独に肉薄する小林秀雄の闘争心に圧倒された。教科書が教えてくれた最大の財産。何度文章を書き写したかわからない。
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模倣は独創の母である。唯一人のほんたうの母親である。二人を引離して了つたのは、ほんの近代の趣味に過ぎない。模倣してみないで、どうして模倣出来ぬものに出会へようか。僕は他人の歌を模倣する。他人の歌は僕の肉声の上に乗る他はあるまい。してみれば、僕が他人の歌を上手に模倣すればするほど、僕は僕自身の掛けがへのない歌を模倣するに至る。これは日常社会のあらゆる日常行為の、何の変哲もない原則である。だが、今日の芸術の世界では、かういふ言葉も逆説めいて聞える程、独創といふ観念を化物染みたものにして了つた。(小林秀雄 『モオツァルト』)
模倣でない独創は無い、と言っている。
小林秀雄だけでなく、この類の物言いは少し探せば幾らでも見つかる。
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この人の著作にはまらない人というのは僕は尊敬します。この人に心底批判的になってみたいです。 ぼくにはできません。 それくらい、僕は彼の不確かな日本語の論評が大好きです が
この頭でっかちの巨人は「音楽」を理解していたとはとうてい思えません。 音楽批評にはほころびがありませんが、だめです。 音楽をほんとうに理解する脳を、彼は封印していたとしか思えません。
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考えるヒントの小林秀雄。
色々と勉強になった。
特に Mozart = tristesse これにはとても賛成できる。
天才っていうのは常にどこか様子がおかしかったりするものです。
そして常に見えない悲しみの中にいます。
時々飽きてくるところもあったけど、その他の「当麻」、「徒然草」、「無常という事」、「西行」、「実朝」、「平家物語」、「蘇我馬子の墓」もよかったよ。
沢山勉強しないと書けないよね、こういうのは。
作者がちょっとだけ麻生太郎に似てると思うのは私だけですか?
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西行についての本を片っ端から読もうと決めて、手に取った本。
『西行』だけを読むつもりが、すっかり読みふけってしまいました。
受験生の時は鬼門だった小林秀雄が、かくも心に沁みるものかと、驚きのあまり泣けてくるほど。
絶品の日本語だと思います。
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小難しい日本語なのに、何故か心地よい。
日本人でよかったと、時たま心に刻みたくなるような一節があちらこちらと転がっていて大好き。かっこいい。むしろバイブル。
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「無常という事」が高校の国語の教科書に載っていて、
読んだその時の感動ったら・・・。
家に帰って父に「この文章すごくいいよ!」って
自慢したら、父の本棚に小林秀雄の全集がありました。
文学に興味がなかったあの頃は気がつかなかった・・・。
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美しい文章という定義付けは難しいだろう。
たとえばノーベル文学賞に輝くアーネスト・ヘミングウェイの骨太ながらも。危いまでに繊細な心の陰影をのぞかせる文脈とか、妖しく美しくあることが、まるで運命づけられたようにしなやかに律動する川端康成の筆のすさびなどは、その最右翼と目してもよいだろう。
この本の表題にあるモオツァルトとは、あの18世紀に登場した天才的作曲家のことである。僕はミロス・フォアマンの映画でしか知らないが、この小林の書き残した評伝には間違いなくあの映画で描かれた天才が息づいている。それよりも並々ならぬ著者の洞察力と、その見識の水準のとてつもない高さに、ただただ脱帽するしかないという面持ちにさせられるのだ。
あとがきを見ると著者は太平洋戦争の賛同者であったらしい、この小論が書かれたのが昭和二十一年
なにかにとりつかれた如く、この西洋の悪魔的魅力を持った天才児について、愛していたというよりは
土砂降りの雨中、裏切られた親友を殴るような勢いで書き連ねていくのだ。あたかも、それは彼の魂を悪魔と引き換えにやり遂げたといった風情なのだ。
全編読み終えると、まったくシンフォニーについて知らなくても、この文が長い時間をかけ刻苦の末に創造し完成た賜物であるのではなかろうかと感じる。
読み返すと、今度はモオツァルトが歌劇にて指揮する姿を想像し18世紀の世界に誘ってくれるのだ。そう、この不世出の天才音楽家と邂逅するような錯覚におちいるのだ。
全編美しい旋律を奏でるが如く、耳の心地よい、
これは掛け値なしに、日本の生んだ昭和の英知によるたぐい稀な美しい文だと思えるのだ。
思い出したが、開高健のエッセイでモオツァルトが過度のスカトロジーであったということをきいたことがある。さすがにこの評伝ではそのことには触れていない。
このことを、モオツァルトに関する遺存する膨大な資料を原文で読み下した小林秀雄が知らなかいわけはなかっただろう。これは蛇足でした。