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笑って、ほろっさせられて、じーんと胸が熱くなる…松竹新喜劇のようなお話!
2007/04/19 21:37
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投稿者:うっちー - この投稿者のレビュー一覧を見る
とにかく、大阪の下町のおばちゃん、おっちゃんがいきいきと描かれているので、思わず、「いてる、いてる、こんなん」と、うなづいてしまうのだ。ノーブレスで一気にしゃべるおばちゃん、「どこで売ってんのん、それ」と聞きたくなるような総アニマル柄の服を着たおばちゃん、タイガース狂のおっちゃん。世話焼きで、おせっかいで、ハデで、ものおじせず、機嫌よく生きている、喋り好きの大阪人。商店街を舞台に、大阪弁の生き生きとした会話は、それだけでもニンマリさせてくれる。
物語は、主人公の6年生の和樹が、夏休みに祖父母の家(大阪の商店街の中にある散髪屋)に行くところから始まる。和樹は、家でちょっとした事件を起こし、そのことで母と険悪になったため、しばらく家を離れることにしたのである。モヤモヤをかかえたままの和樹は、気持ちも硬くなっていたが、向かいの和菓子屋の娘夏美たちのペースに徐々にのせられていく。そして、「いまいち商店街」と「ニコニコ商店街」の因縁の伝統の一戦「金魚すくい対決」のメンバーとして、戦うことになるのだ…。
題名にもなっている「トモ」とは、和樹の兄の名前。生まれつき障害を持っているトモは、そのことでいじめられ、笑われ、それをカバーしてきた和樹は、もはや耐えられない思いでいる。けれど、トモから逃げようとしている自分に嫌悪感もおぼえている。
物語は、「毒」をはく人に負けそうになりながらも、和樹が、自分の悩みに向き合うことで、他人の痛みにも気づき、成長していく様子が、きっちりと描かれている。児童書は「往きて、帰りし」の物語だといわれる。子どもが、どこか遠くを旅して、そして成長して家に帰る—。和樹にとっては、「大阪」が異界であったのだ、きっと!
人それぞれの居場所を認めている商店街の人々の生き方はとてもすてき。人と人が、温かく上手に関わりあえる町、大人が機嫌よく生活し、子どもを温かく見守る町の魅力が、この物語の魅力にもなっている。大阪の町の人たちの会話に笑い、真情に触れてほろっとさせられ、子どもたちのそれぞれの成長に胸があつくなった。作者は、これがデビュー2作目だが、うまい!次作にも期待したい。
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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供がいないけれど、小学生と関わる仕事をしていて、支援が必要な子供とも関わることがあるので、いろいろな事を考えさせられるお話だなと思いました。
紙の本
障害のある兄
2016/09/03 12:00
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
障害のある兄を持つ和樹。
親も和樹に頼ってしまうのはわからないでもないけど、正直きついですよね…。
成人した後も必ずしも兄弟が面倒を見なければいけない義務はないとは思うけど。
和樹のほうにもう少しケアがあってもいいのでは。
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小学6年生の和樹は家で問題を起こして、夏休みの間だけ浪花の商店街にある祖父母の家に預けられることに。和樹には障害を持つ兄、トモがいますが、あるきっかけでトモの面倒を見るのに疲れて爆発し、家のものを壊してしまったのです。でも和樹はその夏、浪花での人々との交流を通してトモとの関係を見つめなおし、立ち直ることができます。そのとき家に送ったメールが「トモ、ぼくは元気です」。そうだね、よかったね、カズキ、元気になって、と思わず言いたくなります。ひと夏のできごとが明るいタッチで描かれ、最後はさわやかな感動で終わります。
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冒頭から押し付けがましさにうんざり。
登場人物も彼らの感情の動きも全てがステレオタイプで薄っぺらで、「子供を教育するための話」という著者の思惑を実現するための道具としてしか描かれておらず、人物やストーリーに全く魅力がない。
あさのあつこの「バッテリー」に描かれた子供たちの生き生きとしたリアルさを思い出し、それとの雲泥の差に呆れた。
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すらすら読めた。うーん、あんまり後味のいい話じゃなかった。
解決できてない感じ。
だからこそ現実味があるのかもしれないけど
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障碍のある兄を持ち、
家でも、学校でも、
ずーっとおとなでいい子でいたぼく。
ある日、心が決壊し、家族との距離をとるためにも、
夏休みを大阪のおばあちゃんの家で過ごすことに・・・
ぼくは、最後まで、いい子でした。
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障害を持った兄トモがいる直樹は、トモが居なければ・・・という自分の気持ちに気付き、そんな自分が嫌になり、爆発してしまった。祖父母のいる関西で夏休みを過ごすことになったが、向かいに住む夏美が押しかけてきて、商店街対抗の金魚すくい対決に参加させられることになった。
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自分がいかに自己中心的で、心が狭いかわかったこの小学生のように一夏で受け入れられないもし自分が兄ならまだ親を独占した記憶があるから、数年で出来るかもしれない。
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胸がくうっと鳴く。
カズは利口で、自分の気持ちに向き合う勇気もあって。
だけど、嫌な思いや窮屈な気持を、抱えきれない時だってある。
消化できない時だってある。それで良い。
紙コップに手で蓋したのはかっこよかった。
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夏休みの間、大阪の祖父母の家に預けられることになったカズキ。
悶々とした気持ちが爆発してしまった、あの時。
罪悪感と我慢の日々と。
大阪の商店街。
口煩い双子の女子。
夏期講習の感じの悪いスネ夫。
自転車で突っ込んでくるオバハン。
あちこちのお店から声がかかる。
いつの間にか巻き込まれた商店街同士の対決で、カズキは一歩踏み出した。
親子と兄弟と友達と。
いろんなことがヒリヒリしながら、考えさせる本。
チビに読ませたかったのになー。断念!
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障害者のきょうだいの葛藤と成長いうテーマでも重くなり過ぎずさわやかにまとまっている。
大事なのは書きすぎないことなんだなあと思った。
主人公の和樹も、千夏と夏美の姉妹もそれぞれに結構重い家庭の事情を抱えているけれど、そこを書き込み過ぎると、いくらラストをさわやかにしても苦味が出てくる。読み手は子どもなんだから、これくらいがちょうどいい。実際に家庭の事情があったり、障害者のきょうだいがいる子どもが読んでも不快にならずかつ納得して、読後感がいいように書くのは難しいだろうが、よくできている。
大阪?の商店街の人たちが皆おしゃべりでおせっかいだけど愛情たっぷりで、ちょっと理想の関西人すぎるなと大人としては思ったけど、子どもはこれくらい近所の人にあたたかく守って貰えるっていいな、と感じるだろう。
お母さんは主人公に頼り過ぎていることをもっと反省した方がいいと個人的には思うし、もう少しお父さんが息子と話をすべきじゃないかと思うが、ここも書きすぎないからこれくらいの分量で収まったとも言える。
子どもにもすすめやすい。
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「カズちゃんらしないわ、そんなん」
そんなこと言う子じゃなかったでしょう。
どうしたの。和樹らしくないわよ。
そう言われて
ぼくらしくない?
ぼくらしくないって、なんだよ。なにがぼくらしくないっていうんだ。
と思う気持ちにハッとする。
大人も子どもも「○○らしく」という考えにしばられるとつらくなる。
このままグレてもおかしくないと思うぐらいなのに、小学6年生にして、自分をずるさを嫌だと思う和樹、大人だなあ。
夏美と千夏とのからみ、そして商店街の金魚すくい大会のところはあまりおもしろいと思えなくて読み飛ばした。
大阪弁の元気な女の子、苦手かも。
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サイコだけど大丈夫のような、障害のある兄を持つ弟が外界との接点を通じて、自分の境遇や葛藤を受け入れるストーリー。小学六年生の夏休みに父方の大阪の実家で幼馴染の少女たちと住まいのある商店街で過ごす。ハートフルな物語。自分の中にあるずるい心、卑しい心に徐々に向き合い、成長する姿が清々しい。自分の持っている当たり前の境遇を客観視して価値を見出すには、持ち場を離れて見ることが効果的。
少年の成長とその後の可能性に気分が明るくなる小節。
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夏休み、ぼくはひとりで大阪のおじいちゃんちに行かされた。兄と同じ中学に行きたいくないと荒れて、家族をめちゃくちゃにしたという「罪」で、でもここでも「罪人ライフ」は悪くなかった。
(『キラキラ子どもブックガイド』玉川大学出版部より)