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紙の本

始皇帝といえば歴史的には焚書坑儒に代表される非道の王として扱われてきた。しかし暴君であって英傑だったからこそこれだけの偉業をはたせたのだろう。

2006/11/02 16:38

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

趙で人質となっていた秦の公子・子楚の子として生まれた政(前259)が、わずか13歳で即位し(前246)、列国を滅ぼして中華を統一、始皇帝を名乗り(前221)、権力をほしいままに、最後は悩乱して死す(前210)まで49年の短い生涯である。その中で中国最初の統一王朝を創建、それまでの封建制社会に終止符を打ち新しい中央集権国家を築いた。まさに中国古代史を書換えた立役者であった。そのあっけない死はまさに秦そのもののようで、あれだけの大帝国の秦は彼の死後わずか三年で滅びるのである。ただし、儒家思想を排斥し法家思想を実践した秦が採用した各制度がモデルとなって各王朝に継承されたのも事実であり今日的視点でその偉大さは見直されるべきだろう。
政の誕生から王位継承までの第一章から第三章までは政の父と政の二人を権力の座に送り込むまでの大商人呂不韋のくわせもの振りが読みどころである。なるほど「奇貨居くべし」深謀遠慮の故事だ。
第四章から第七章までは若き王・政が呂不韋の呪縛を自ら解いて実権を掌握し、能吏・李斯とともに政敵をたおし、暗殺者を退け、権謀術数と軍事力によって韓を手始めに、魏、楚、燕、斉、趙の戦国六雄を次々と滅亡させ全中華を統一、始皇帝をなのるまで、政にとって最も輝かしい時代である。友人、恩人、親子・兄弟も例外ではなく、中央集権を実現する過程では旧勢力、抵抗勢力を次々と排除していく。狡猾、冷酷非情な王ではあるが自己を実現することで新時代を築く、その若いエネルギーは方向性を見失った日本の読者にとって実に爽快である。
第八章と最終章の第九章はまるで趣がかわり狂乱する皇帝、暗愚の暴君に変貌する。その言動をいさめる側近を次々に処刑し、横暴の限りを尽くし国力を疲弊させるのが政である。不老不死の仙薬や羽化登仙にあこがれる………途半ばのまだ40歳にしてこの妄執にとらわれるが始皇帝であった。3000人の子供と食料、衣料、献上品、土産品、さまざまな職種の工芸人を乗せた数十艘の大型船を徐福に与え蓬莱島に住むという仙人を探索させる。著者は五次にわたる全国巡幸、驪山陵の兵馬俑の製作、匈奴への出撃と万里の長城建設、焚書坑儒などの偉業、暴挙をすべてまだ姿をあらわさない仙人へのごきげんとりだったとしている。太古より今日まで、いつの時代でも歴史を塗り替える専制者というものには狂気がつきものなのだろうか。その裸の王様ぶりは哀れを誘う。
政はあるべき君主論を説いた韓非子の考え方、君主専制主義を強化する政策に共鳴するが李斯の姦計にはまり、韓非を死に追いやる。私は法家の大思想家・韓非子に興味があるものだからこの作品の中でどのようの扱われるのかを注目していた。
「韓非子・五蠹編」には法治主義を阻害するものとして学者、遊説家、近臣など五者を挙げ国家の中身を食い荒らす害虫のようなものだとしている。そして君主はこれら害虫を排除し清廉な士を養成しないと破滅から免れることはできないと結論する。韓非子に傾倒しそれを実践して中国史上初の中央集権国家を築いた始皇帝が一方で韓非子が指摘していたとおりに内部の害虫どもによって破滅するのであるからその史実自体大いなる皮肉なのだ。
ところでその韓非子だが、この作品ではもう少し書き込んで欲しかったなと思うくらいあっさりとした登場だった。ただし、ひとつ、毒をあおる前に著者独自のひねった暗示を残して死なせるところがえもいわれぬ絶妙の味付けなんだと気がついた。著者はそこまで明確にしてはいないのだが、死を前にして韓非がもらす一言「不老長寿の仙薬はやや苦いものです」が政の深層心理にとどまりのちに催眠術的働きによって不老不死にとりつかれる。すなわち秦の滅亡は韓非の復讐であったとするのは私のうがった解釈なのだろうか。
一人合点して小説を楽しむ、また楽しからずやである。

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2012/08/14 01:27

投稿元:ブクログ

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