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紙の本
古代朝鮮半島での歴史的な大敗を描く
2007/04/08 21:39
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
聖徳太子が没して、天下は蘇我氏の思うがままである。馬子が死しても、蝦夷、入鹿という後継者が立派に育ってきた。これからも蘇我氏の天下が続くと誰しもが考えたのだが、野蛮な手段の実力行使で大化の改新の世となった。右も左も改革である。
主人公は中大兄皇子と中臣鎌足である。この二人の改革は順調に行くかに見えた。本書はこの時代の半島情勢を中心にわが国古代史の一面を描いている。この二人の改革路線に水を差したのは、やはり半島戦略の失敗であった。過去には聖徳太子もここで躓いてしまった。
しかし、その後の半島情勢はどうであったか。首尾よく任那を奪還しえたか? 三韓の国々に加えて隋や唐という中国の巨大な統一王朝が出現してからは、軍事的にも到底かなわぬ相手が登場することとなった。
本書は中大兄皇子と鎌足の大化の改新政権の改革の歩みと、朝鮮半島における唐・新羅連合軍との戦いに大敗を喫するまでを描いている。すなわち、白村江の戦いである。
任那を奪還するどころか、長年の同盟国であった百済が唐に滅ぼされそうになるという惨憺たる結果になってしまった。さらに、高句麗とも同盟を結んで唐に対抗しようとする。その唐は新羅と同盟を組む。
そして、ついに倭国派兵の運びとなる。水軍を主力とする部隊になるので、急いで軍船を造船し、2万7千名の兵を半島に送り込んだのである。
本書は後半にこの白村江の戦いを描き、全体を盛り上げている。これだけの部隊が動くと、安心感が湧くようだ。負けるわけがないという安心感である。ところが、相手の唐も負けずの大部隊である。白村江は白江という川の河口部分である。白江はそれほど川幅があるわけではないので、大船団が一旦入り込むと簡単には進むことも、引くことも難しい。
そこを突かれてしまった。
かくて、倭国は歴史上稀に見る大敗を喫してしまった。これで任那どころか半島におけるあらゆる権益を失ってしまったのである。この後は、残った高句麗が唐・新羅の連合軍と国の興亡をかけて戦うことになる。
白村江の戦いまでの盛り上げ方、戦いの描写など見事な出来栄えである。この戦いも高校時代に歴史の教科書で学んだ覚えがあるが、小説になると分かりやすいものだ。勝敗は知ってはいるものの、周辺国との外交や地政学まで学べたことは大いに満足した。
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