紙の本
一番怖いのは人間というのはよくある話ですが…
2007/03/20 16:48
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
信じられないほど気だてのいい悪魔の少年リルと、人生に絶望するあまり並の悪魔よりよほど悪魔的になってしまった直次という青年が、お互いの命をかけて恋愛するという、かなりトンデモない設定のお話なのですが、涙腺のツボが巧妙に、しかも多量に配置されているためか、ほだされまくっているうちにどんどん読まされてしまいました。
直次は由緒正しい侯爵家の長男なのですが、父親がゆきずりのロシア人女性に産ませた子であるという理由で、十数年に渡って巨大な屋敷に監視付きで幽閉され、幼少期から学校にも行かせてもらえず、金と物とセックスフレンドだけは欲しがるだけ与えられるものの、肉親からは存在しない人間として全く顧みられることなく、孤独に暮らしていたのでした。
児童虐待、人権蹂躙も甚だしいシチュエーションなのですが(そこまでするぐらいなら、口止め料つきで養子に出すが自然でしょう…)、悪魔が普通に実在するような世界観なので、そう違和感もありません。幽閉されている直次のところには、引きも切らず悪魔がやってきて、契約を取り付けようと迫るのですが、もはや人生に何の期待も持てない直次は、悪魔の甘言にまるで引っかからず、全て撃退しています。
リルも最初は、直次と契約して命を奪うために接近するのですが、直次のあまりにも惨い生い立ちと、自分と同じように、いらない子供として孤独に苦しむ心を知り、次第に気持が通じ合うにしたがって、放っておけなくなってしまいます。
直次と契約できなければ、できそこないのリルは、今度こそ悪魔失格の烙印を押されて消滅させられてしまうことになっています。けれども契約が成立すれば、直次の魂は地獄に落ち、運良く悪魔に生まれ変わったとしても、記憶も人格も別物になってしまう……二人に用意されている結末は、ちょっと意外なものですが、なかなか粋なはからい、というべきものでありました。
蛇足ですが、リルの父親である堕天使が、直次と同じ顔をしているという設定は、一見それほど効果的でない、ムダなもののように思えましたが、そのおかげであとになってじわっと深みを感じる部分があり、おもしろいなと思いました。それにしても、悪魔も直次ではなくて、彼を幽閉しているような最低な侯爵家の大人を狙って地獄に落とせばよさそうなものなのに、それをしないのはなぜなのか。悪魔的な仕打ちをしてはばからない一族だけに、魔界ともうまく話がついていたりするのかもしれず、そう思うと、最後まで全く顔を出さない侯爵家とやらの人々の存在が、かなり不気味なものに思えてきます。
あと、名前だけしかでてこないけれども、リルに「あのひとたちは、ホントにすごいんだから」と言われているインキュバス(淫魔)を、ちょっと見てみたいと思いました。
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森本さんの作品はメイドシリーズしか読んだことがなかった頃は
結構避けているほうだったのですが…
前回読んだ本が、わりとあたし好みのストーリーだったので
こういう作品もかけるんだーと驚いた反面。
他にも読んでみたいな。ぐらいの感覚で購入しました。
たまには一風変わったのを読んでみるのも悪くないかなーと
ファンタジー系はあんまし好んで読まないのですが…
思っていたよりよかったです!!
いやー。これは本当に意外だった…うん。
人間×悪魔って一体どうなってるんだー?とか思ってたのですが
落ち零れ悪魔のリルも必死で頑張る様子とかが可愛くて
ウザイ!とか思うこともなく…こいつ馬鹿だなー。ぐらいの
妙な親心というのか…そんな雰囲気で読めたのと
始めはふざけんな!な攻めキャラの直次も彼の生い立ちとか
読んでるとなんか切ないなー。って気分になって
お互いがお互いに求めてるものがすごく近くて
それが磁石みたいに引き合っていくにつれて、それが愛情に変わる
みたいなそんな雰囲気がよかったです。
まぁ…いろいろつっこみどころ満載なのはこの際ご愛嬌。
ファンタジーだからこそ余計にその辺はどうしても仕方ないというか…
だからこそ、基本ファンタジー系は避けているという節があったりするのですが
これはその辺が、許せる作品でした。
たまにはこういうのもいいかなーと思った一冊です。
あくまでもたまにはね…
こういうタイプが続くとそれはそれでしんどいんだと思います。
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落ちこぼれ悪魔のリルは、次の任務を成功させなければ消滅させられてしまうというピンチに直面していた。
悪魔の仕事は人間と契約しその命を奪うことだが、優しいリルは一度も人の命を奪えたことがなかった。
そんなリルに与えられた最後のチャンスは、由緒正しき公爵家の長男・九条直次の命を取ること、だった。
というのが、リルの事情。
で、直次とは言うと、公爵家に有りながら父が異国の女の人との間に生んだ息子で、本家からは厄介者扱いされ、幽閉のように、豪邸に閉じ込められて生活をしていたのだった。
そんな直次には誰にも言えない望みが、一つだけあり、それをリルが見つければ命をリルにあげる、という約束をする。
どちらが勝っても、どちらかがいなくなる。
恨みっこなしで始めた勝負だったが……という話。
最後は「そんなんあり!?」という感じでしたが、悪くなかったです。
まずノリが軽めでばかばかしい。
けど、その中に直次の生い立ちだとか、ちょっと重めの話を上手に入れてあって、個人的には好感度ものすごく高いです。
ちょっとくらい重みのあるエピソードあった方が、深みが出る気がして好きなんですよね。
そして、えちな描写もしっかりあるし、濃いめだし(笑)なので、個人的には大好きでした。
もうちょっと話が続くのであれば、最後のところをもうちょっと二人が苦労するように書いてくれた方が面白かったような気がしますが、ページの都合でそれは難しいと思うので、あんまり無理は言うまい……という感じでしょうか?
えろくて鬼畜で明るいけど、しっかりちょっと切ないエピソードも入ってるので、読み応えはとってもあったかな!? と思います。
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ラヴァーズ文庫の積読崩し。この任務に失敗したら消されてしまう、という瀬戸際の落ちこぼれ悪魔が、任務対象の人間の背負う過酷な人生に心を痛めてしまい…というお話。表紙絵が性別受っぽいのでどうしようかと思って読み始めたが、お話もやはり、受が男である必要を感じませんでした。悪魔の人間に対する心情変化は理解できたけど、展開が安易過ぎ…。
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途中からもう話の展開が読めてしまって自分にはイマイチでした…。それと、Hするの早すぎ!と突っ込んでしまいました(^_^;)この話は、BLで書かなくても良かったのでは?と思ってしまいました。
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人間・九条直次×悪魔・リルのカップリングです。
ファンタジーのBLものは、あまり好きじゃないのですが、
こちらの作者様の作品でしたので、読んでみました(^^)
BLのファンタジーがあまり好きではない私でも
それなりに楽しめました(^_^;)