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投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
セックスボランティア 河合香織 新潮文庫
今までに書店で何度か見かけて読もうかとしたのですが、タブー視されている分野であるために躊躇して手に取れませんでしたが、今回古本屋さんで目について読み始めました。健常者も障害者も同じですということが書かれています。この本では、障害者として、身体障害者と知的障害者について記述されています。
障害者が、「同情」は「屈辱」になると語っています。このタイトルの本で、障害者自身の体験談として、「盧溝橋事件」とか「日中戦争」「大連」「敗戦後の満州からの引き上げ」というような単語が出てくるとは予想もしていませんでした。施設入所中の男性69歳の経歴です。障害者として生まれ満州へ、健常者だった兄は戦死、長崎県佐世保へ帰国。障害者の外見だけでその人の経歴を判断してはいけないと思いました。障害者ばかりが10人以上集められた病室は「人間の倉庫」のようだった。健常者にはわからないかもしれないけれど、健常者には「明日は我が身」という気持ちはもっていてほしいとわたしも思います。
セックスボランティアについては、介護職・看護職の個人が自発的意思で行うものから始まって、福祉団体によるもの、営利会社によるもの、オランダの組織によるものと広がりながら現場からの取材で得た報告が綴られていきます。いずれも共倒れの危機をはらんでいます。支える人たちの姿勢からは、人間は頭の中をからっぽにして、やりたいこと・やるべきだと思うことをやれば、できるということがわかります。あれやこれや手を尽くして障害者の性行為を助けていくのですが、最終的には本人たちの「飽きた」「めんどくさい」「手を握るだけでいい」という態度に落ち着いていきます。
読み終えて本を閉じたときに心は晴れませんでした。
タブーにふれることで
2016/04/06 10:22
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
障がい者の性に関しては、話してもいけない書いてもいけないという空気が漂っている。本書が多くの人に読まれることによって、この問題を考えるいい機会になるかもしれない。
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待望の文庫本化。障害者の性の問題に切り込んだ異色のドキュメンタリです。それまで行政は切り捨ててきた障害者の性の問題に正面から立ち向かい、その問題に関係している人々の知られざる姿を描いてくれています。読後は考え込むんじゃないでしょうか。この冬に一度読まれては如何ですか?
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このレビューを書くか迷った。題名からもお分かりのように「性」に関する本だから少し恥ずかしいと思った。
しかし、著者の河合さんに比べるとたいした事はない。たった50人のマイミクさんに、一瞬だけ変態だと思われるだけだ。一方、河合さんは全国の書店に並んでいる。
それにタイトルだけで誤解してもらっては困る!この本は障害者の「性」に対して、真摯に向き合ったものである。障害をもった時点でセックスができない。障害者と付き合うことが美談で語られることに著者は疑問を感じ、障害者の現在のある姿を取材したものだ。
人間が生きるうえで切っても切り離せないものである「性欲」に障害者は苦しみのた打ち回っているのかと、思いきや健常者と同じように生活する人もいる。
オランダでは市役所が、性欲をみたすために補助金をだしている。
そこまでボランティアする必要はあるのか、と思うも、一日中、一年中、付きっきりの介護者の佐藤さんが最後に行きついたボランティアがこれなのだ。
竹田さんが最後に死にそうになりながら
「最後にだれに会いたい??」との介護者の質問に
「ソープランド ノ キョウコ サン」
との答えに著書と同じように清々しさを感じた
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「性」の「介護」とは。「愛」の介在は。「売春」との違いは。モラルとは。本能とは。新しい視点をもたらしてくれる、ノンフィクション。
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障害者と性がテーマになっているので、やはり「タブー」とか「衝撃」とかの単語が用いられがちだけれど、僕自身が受けた印象は違う。こういう表現は相応しくないかもしれないけれど、単に人間ドラマとして楽しめた。感動した。
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短大2年生の12月。
神保町の三省堂本店にて二日にわけて立ち読みした。
「性」の語れにくさ、とりわけ障害者の性をどう考えるかについて著者の意見が書かれている。
インタビューが鮮烈で衝撃的。
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障害者の性についてのルポ。
ん〜。障害者の性について真正面から取材してる点と、これから障害者の性について考える契機になる点については評価できますが、全体的にひたすら障害者の性事情を綴っているだけの平板なルポになっていると思います。
障害者の性。難しい問題ですよね。障害を持った人たちを、健常者は神格化してしまいがちなのは確かだと思う。彼らは天使のようだと思いこむ。性欲はなく、邪心もないなんて、そんなわけないのにね。
でも、ボランティアでセックスを提供するってどうかな?問題なのは、性欲を吐き出す先がないことではなく、障害を持った人たちが異性と付き合うことができない現状なのではと感じる。 男性はさておき、女性の場合はただ×2セックスがしたいと思う人はあまりいないと思う。セックスしたい=異性と心を通わせたいのではないか。
そういった人たちの性欲を、sexで満たせると考えて、安易にただで性を提供し「はいsexしましょう。終わりました。満足ですね。」はなんか違うんじゃないかな。
まずは障害者の人たちが異性と(同性愛者の場合は同姓と)出会う機会を作るほうが大切なのでは?
それをしたうえで、多くの男性のように、ただ性欲が溜まってきてそのフラストレーションを発散したいっていう場合のために、ボランティアではなく、ビジネスとして風俗などの性サービスを提供する制度を整備すればいいのではないか。
重要なのは、ビジネスってところ。ボランティアで性サービスを提供っていうのには疑問がある。sexは無料で提供しなければならないほど生きる上で不可欠なものではないわけだし、また、健常者でもsexする機会がない人が多くいるわけで、そういう人達はお金を払って性サービスを受けてるわけだしね。性サービスを受けたいと思ったときに受けられる環境を整えることは必要だろうけれど、それはあくまでもビジネスとして提供されるべきでしょう。
また、ボランティアにした場合に、様々な問題が出てくると思う。たとえば、今の日本では売春は禁止されてるんだし、障害を持ってることを理由にただでsexさせるっていうのは、ボランティアを受けるのが男性の場合は、sexを提供する女性の権利の問題も絡んでくると思うし、ボランティアを受けるのが女性の場合は、彼女たちが男性の性欲のはけ口になるかもしれないという問題もあるだろうし。
この問題は、「障害者も性欲があるんだらかセックスボランティアしたらいいじゃん」っていう単純なもんじゃないと思う。障害者の権利ばかりを主張し、ただそれを鵜呑みにするだけではいけないのではないでしょうか。まだ×2議論を重ねなければならない点が多くあると思います。
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身体障害者の性。女性ならさらに心理背景は複雑になる。
おもしろおかしく書くのではなく、海外の性事情も照らしてあって考えさせられる。
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内容を読んで考えるというより、そういう事実に驚愕でした。性の介助。私には到底考えられませんでした。まだ、このような事実があることをを受け容れられてない自分がいます。この事実を正面から受け止められてから、性の介助について考えたいです。だけど、今、この本を読んでおいてよかったです。ページをめくるたびに衝撃だったけど、出会えてよかった一冊です。
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障害者における性の問題に真っ向からぶつかって取材したルポルタージュ。障害者専門のデリヘルは社会的には悪なのか。時には否定され、時には極度に美化され、歪んだ目で見られがちな状況下では、何が正しく何がおかしいのか。考えさせられる一冊。
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人間の3大欲なのに、タブー視される性欲。
障害を持った人だって、当たり前に性欲がある。
だが、ハンディキャップがあるということで、性欲をあきらめなければならない。
下手をすれば、自分で性欲処理をすることすら、できない。
こんなこと、非人間的であるといえるし、ボランティアをいう存在があってもよいと私は思う。
(まぁ、ボランティアではなく、恋人を作れるのが何よりなんだけど)
そんな事実を真正面から向き合った、ノンフィクション。
読み応えあり。
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面白かったが、あたしはAセクなのでテーマにいまいち賛同できなかった。この人には次はセクシャルマイノリティーのルポを書いて欲しい。
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社会福祉がタブーと位置付け、見て見ぬ振りをしてきた性の介護。第三者が本質的な他者の人間性を受け止める事とは何であるのか?社会福祉の存在意義を鋭く問う衝撃のルポルタージュ!!
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タイトルに衝撃を受けて購入してみたら、内容にも衝撃を受けた。私に新しい考え方の一ページを与えるものだった。