紙の本
知らないほうがしあわせ? 物事の「真相」。
2010/10/17 15:22
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
横山秀夫といえば警察小説――そんなイメージがある。組織内抗争だとか派閥争いだとかいったテーマは苦手なので、警察小説にはあまり惹かれない。加えて、横山秀夫の作風は「娯楽」として本を読んでいるわたしには重厚すぎて楽しめない。
しかし…ブロトモさんが楽しそうにご紹介されていると、苦手だとわかっていても手に取りたくなってしまう。ブログとは楽しくもあり実に恐ろしいものでもある(しみじみ)。
本書には5編の短編が収められている。そのどれもに――表題作の『真相』のタイトル通り――ある事件の奥に隠された「真相」が描かれている。
この「真相」が実に後味が悪い。「後味が悪い」とは決して貶(けな)しているのではなく、単なる事実である。
世の中には、知らなくて済むならば知らないでいたほうがよいこともある。「真相」を知ってしまったがために、今度はその「真相」から目をそむけたくなる。
そして本書の主人公たちは、知らなくてもよい「真相」を知ってしまったが故に、余計な哀しみややるせなさ、あるいは恐怖を怯え背負うことになる。
この後味の悪さがとてもいい(=読み物として楽しい、との意味)。しかし裏表紙にあるように「人間の心理・心情」が描かれているので、各編の内容が妙に生々しく気が滅入りそうにもなったのだけれど。
こういう横山作品ならば、もっと読んでみたいっ!!!と思う。
『真相』収録作品
・真相
・18番ホール
・不眠
・花輪の海
・他人の家
紙の本
警察小説ではない作品が読んでみたい貴方へ
2015/08/07 08:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
横山氏といえば警察小説。それは間違いない。
でも、どうしても、ちょっと違うジャンルも読んでみたい貴方への1冊。
個人的感想
う~ん・・・。やはり警察小説のほうが数倍いいね・・・。
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ひとつの犯罪の裏にある真相に直面した人々の物語……わずかな救いとか靭さが見える物語もないでもないけれど、私はこれ辛かった……出来がよいだけの辛さだとはわかるけれど、体力のないときにはちょっと重かったなぁ……。というわけで、☆ひとつマイナス。出来はよかったんだけど。
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横山秀夫のはっとさせられるような、どんでん返しミステリー部分も面白いけれど、心の闇を背負い込んだ者がそれとどうやって向き合って生きて行くかが主題の一冊だと思った。
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ん〜、5つの短編からなってるんだけど、どれも個人的に中途半端というか、まだまだ先が気になるというか、続きを書いて欲しいというか、とにかく歯切れが悪く話が終わってしまうのよね。
横山秀夫は、堅いと思ってこれまで読まなかったけど、思ったほど堅くなく難しくもなかったので、今度は『クライマーズハイ』を購入しました。
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刑事ものじゃない横山秀夫。ホラー要素が強いミステリーでした。でもよくよく考えてみると「真相」のネタというかきっかけが似たようなものがあって、短編集としてまとまっているような、物足りないような…。いつも書いてるような気がするけど、もっともっと面白い作品が書けると思うんやけどなぁ。何かが足りない。
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刑事物を書かせたら右に出る者はいない!そんな横山さんの刑事物ではない「真相」を味わうための短編集です。
刑事物ではない作品も新鮮で面白いです。
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大切な息子を失った父親が10年後に知った
「真相」。
なるほど。
短編集で読みやすい。
電車の中ぐらいに読むのに丁度いいね。
落ちは深くなく、少し期待はずれな気がした。
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面白かったです。堪能できました。短篇集。5作品収録です。どれも、「真相」に驚かされました。最後に希望が見えるのがこの著者の特徴でしょうか。どの作品もいい感じでしたが敢えてひとつあげるとするとやっぱり『真相』かな。
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事件に関わった人間のその後が描かれている。短編。
事件の影を背負う登場人物たちは、そのしがらみとどう向き合うのか。
事件の真相に直面し、現実を突きつけられる表題作「真相」をはじめ、自分の犯した事件の暴露を恐れる「18番ホール」、リストラされた男の悲哀を描く「不眠」、部活動の合宿での秘密に悩まされる「花輪の海」、前科に縛られる男にもたらされた幸運とその意外な真相を描く「他人の家」、ともすれば誰もが陥りそうな話で面白い。
どの作品もお気に入りだが、「真相」「不眠」「他人の家」が特に良かった。
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個人的に短編はあまり好きではないけど、
そんな私でも面白いなぁと思えた作品。
全体的に暗い話が多いけど、
この本の話になっている『真相』という短編は
心が温かくなる話でよかったです。
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追悼の意味で?久々手に取った横山さん。面白かった〜♪18番ホールはいらいらはらはらした。主人公の空回りが滑稽。柔道部のは最初ブルーになったけど最後爽やかな終わり方にスッキリ☆
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事件の真相は犯人逮捕で終わりでないと言うようなテーマで書かれた短編集。読んでいてどれも面白かったし秀作だったと思います。しかし、やはり印象は薄いです。どうも読み終えて目次を見るとタイトルだけで内容を思い出せない(単に私がアルツハイマー病だったりして・・・)いずれの作品も横山氏得意の警察内部などを描く作品ではなく、一般市民が主人公と言う事で強烈なキャラクターがいないせいかな。
5作品の中で、気に入った作品は「18番ホール」と「他人の家」。「18番ホール」は選挙の緊張感があいまって作品事態に緊張感があったし、「他人の家」もテーマが好きなないようだったせいか、一気読みでした。
収録作品
「真相」
「18番ホール」
「不眠」
「花輪の海」
「他人の家」
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犯罪、事件のあとに、それに関わった人たちの心の裏側がどんなものなのか…。読んでいて、追い詰められるような苦しさを味わった。
特に「18番ホール」。ハラハラドキドキを通り越して読み進めるのが恐ろしくなった。
…横山秀夫ってほんとにうまいなあ。
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どれも面白かったのだが、一番印象に残ったのは「花輪の海」という作品。
海で行われた大学の空手部の合宿・・。その合宿のシゴキにおいて同期の友人が死ぬ。
主人公とその同期たちは、彼の死をきっかけに心を閉ざしていく。
しかし、友人たちとの再会には思いがけない当時の事実があったのだ。
オレは大学では運動部には所属しなかったが、高校時代は結構練習のキツいハンドボール部だった。
一番イヤだったのが、土日の練習には過去に卒業したOBが登場することだった。
全然知らない人なのだが、その部を卒業したということで絶対服従だ。
そのOBたちが突然、「てめえら、気合はいってねえな!」とボールをボコッと蹴る!
はるか向こうに飛んでいったボールを全員で取りに行き、何故か手をつないでウサギ跳びで戻る。
それを何度も繰り返し・・・これだけでも目かかすみ、ノドがカラカラで死ぬ思いだった。
今考えてみると、彼らの中には自分に逆らえない後輩をしごくことで「ウサ晴らし」しているようなひどい輩もいたかもしれない。
(もちろん、中には純粋に後輩を鍛えたいと思っている人もいるが)
何もなかったから「あの頃は大変だったなあ・・」と思い出になってはいるものの、そんな連中のシゴキにあって、もし死人が出たとしたら、誰が責任を取ったのであろうか。
あの時の憎いOBの顔と名前はまだ記憶している。
今はお互いいいオッサン同士にはなっているとは思うが、もし目の前にいるのなら、法律に触れない程度で復讐してやりたいぞ!(笑)