紙の本
生涯の悩みに打ち勝つために示した力
2004/05/20 20:11
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投稿者:Yan - この投稿者のレビュー一覧を見る
モンゴルの英雄チンギス・ハーン
子どものころの名は鉄木真
母が敵方に略奪されたときにできた子であるために
自分が本当に蒼き狼の子孫であるか
生涯悩み続け
それに打ち勝つために
勇気を示し、野心を持ち
結果として大帝国の祖として強大になっていく。
目的のために弟も殺し
実の長男を疑い、母を疎んじ
側室の子を捨ててしまう。
冷徹な男のような印象をうけるが
老齢にさしかかり、側室の死を迎えて
血族の愛を知るようになる。
自分と同じ運命を背負った長男ジュチの死を
知ったチンギス・ハーンの嘆き
生涯背負った、自分の出生のなぞを
振り払うことができなかったのに違いない
名実ともに蒼き狼であると自覚していたにもかかわらず…
全編にわたる緊張感。簡潔で甘えのない会話
これはチンギス・ハーンが常に持っていた緊迫感だと思う
なぜモンゴルが強大になったか
精神的な理由だけでなく
実務的な部分で納得できるおもしろい物語だった
Yanの花畑
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もうすぐ映画化。結局タイトルのみの使用で原作は森村氏の作品になるらしぃですが、モンゴル側はコレを原作にしたいとか。どう違うのか読み比べです。
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最初は読みきれるのか不安だったけどそんな心配は全然いらなかった。ほんとおもしろいです。ジュチが死んだことを知ったときに泣いたところではわたしも泣いた。いろんな愛情とかが詰まってるなぁと思った。映画もみたーい!
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壮大な歴史もの、というのはやっぱり血沸き肉踊る……! 歴史ものの淡々とした記述の妙さを教わりました。それでもあれだけ長く、緩みのない物語が書ける。井上靖の短い歴史ものも好きですが、これは特に、草原を駆ける蒙古族の叙情的なイメージが、淡々とした言葉でこれだけつみあげて書かれている、というのが好きです。
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文句なしに面白かったです。
モンゴルを統一した英雄、チンギスハーンの姿が、英雄の器が描かれていて惚れ惚れしました。
英雄の裏には自分の出生についての悩みがあり……
最期は少し悲しくもあり……
モンゴルへ行きたくなりました。
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時代小説というよりも、「人間チンギスカン」の話だ。合戦の描写はそれほどなく、ほぼあっという間にチンギスカンはアジアを征服していく。その点、合戦を読みたいという人には向いていないかもしれない。
なによりもこのページ数でチンギスカンの一生を描くのは多少無理がある。合戦部分ではない、強いて言えば、「チンギスカンがチンギスカンである理由」に重点を置いている。そのおかげで作品としてもとてもメリハリの効いたものに仕上がっているのだと言えるのではないだろうか。
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モンゴルの覆王、チンギス・ハーンの生涯。
中学生だった頃にじーちゃんが買ってきてくれた大切な本。
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まず、タイトルがカッコいい。
モンゴルについて今まであんまり調べたこともなかったので、とても気になる。
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あたかも大河のようにユーラシア大陸を奔走し
モンゴル帝国を築き上げた、成吉思汗。
そこまでしても、幼少から夢見つつ立証できなかった
自らがモンゴル、すなわち「蒼き狼」であるということとは
どういうことなのだろうと思いを巡らせずにはいられません。
力強く果てしなく雄大で、しかし読後ちょっぴり切なくなります。
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成吉思汗(鉄木真)の人生
父イェスゲイが死に、タイチュウト族に追われた時
家族のみでなんとか生きていくところから
最後あそこまで版図を広げていく様は
スケールがでかくて圧巻
まさに大河
戦いの民族性からか
男は虐殺され
女は強姦され
町は焼きつくされ云々
徹底的な侵略描写と
ふと垣間見える成吉思汗の人間的な描写との対比が面白かった
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モンゴル族の首長の家に生まれ育った成吉思汗(幼名・鉄木真=テムジン)。
それまで多くの部族が乱立していたモンゴル高原を舞台に、彼が国家統一を果たせた背景には何があったのか。蒙古民族の歴史にあっても成吉思汗の成業は異質の光を放っている。彼の前にも後にも、大国家を目指す人物はまったく見当たらない。
彼自身を侵略と戦闘に駆り立てたものは何だったの...
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息子が自分の息子なのかわからず、つい厳しい戦場においやってしまうが実の息子とわかるときのチンギス・ハーンの苦悩が描かれている。英雄チンギス・ハーンも一人の男だし、一人の父親だということが伝わる。
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噛めば、噛むほど味が出る堅い文体から紡ぎだされる物語。テムジンが蒼き狼の子孫である話を聞き及び、蒼き狼の戦士として生きることを決意するも、自分はその子孫でないかもしれない事に苦しむ姿は、チンギス・ハーンも一人の人間だと悟らずには居られなかった。モンゴルの可汗として、モンゴルの全ての民が富めるよう征服戦争をするテムジン、父親として息子に対する葛藤で苦しみもがくテムジン、どちらも同じ人間であることに感動を覚えずにはいられない。
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カスピ海から中国まで治めたモンゴル帝国の初代皇帝が、かつて、モンゴル族から迫害を受け、家族8人だけで細々と暮らしていたことに驚いた。彼が40万の兵を率いるまでに至る過程が詳細に描かれている。
チンギスは侵略、略奪、虐殺を繰り返した王である。しかし、モンゴルの血を引いていないのではないかという悩みと、長男が自分の子ではないかもしれないという悩みが彼を生涯付きまとう。ただの侵略者として描かれていない所が、面白い。
貧しい文化しか持たないモンゴルの人々に、西国の煌びやかな文化を持たせたいとチンギスは望んだ。数十年後、西国を制圧し、文化を取り入れ、着飾り、豊かな生活をする人々。しかし、彼はそれを心から喜べない。彼の帳幕は未だモンゴル様式であり、彼だけがモンゴルの服を身につけていた。
遊牧国家の壮大な侵略劇もいいが、チンギスの哀愁漂う人間くさい部分が最大の魅力かなぁと思う。
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それまで現代作家の本ばかり読んでいた私にとって、淡々とした文章が、ドラマチックなのになんとも言えない孤独感みたいなものを感じて面白いのか?と思いながら読んでいたのですが、読み終わった後は、井上靖の他の本をついつい手に取るようになっていました。
やっぱり面白かったんだと思います。