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紙の本
リコール問題と、企業と暴力団の癒着を描く力作
2007/02/01 13:32
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
第3回(2006年)ダイヤモンド経済小説大賞受賞作。
もろに三菱自動車のリコール問題をヒントに描かれたとわかる作品です。しかし、この作品では事件をありのままに描くのではなく、企業の自助努力と、暴力団との癒着を詳細に暴いています。
五稜自動車工業の四輪駆動車に、相次いで人身事故が発生します。しかし、メーカー、大手損保、暴力団は事故を引き起こしたユーザーや被害者を口封じし、事故を目立たなくさせます。大手損保会社のPL保険担当課長・黒岩は、自ら自動車保険支払い記録を洗い、エンジントラブルをかぎつけます。そしてリコール隠しを阻止すべく、サラリーマン生活を賭けます。
初めて死亡事故を引き起こした四輪駆動車のユーザーが黒岩の友人だったり、黒岩の片思いの女性が同じ駅に住んでいたり、とご都合主義は所々見られます。また文章力も稚拙さが目立ちます。
しかし商社、銀行、大手損保、自動車メーカーといった企業を束ねるグループ組織の力関係、暴力団との癒着の仕方、自動車の構造など、説明を適所に行い、わかりやすく描き、緻密なプロットで読ませます。
さらに部下によるリコール隠しの画策を知った五稜自動車社長・樋野の辣腕ぶりはスピード感があり、胸のすく思い。実際、企業の不祥事が後を絶たない現状を見ると、こんな社長に現れてほしいと思わずにはいられません。
また最後にどんでん返しが来るのは予想できましたが、それの決着のつけ方もうまい。現実には白と黒の間にグレーがどこまでも入り込みますが、それを狭めていく努力を続ける決意という結論。グレーながら読後感がさわやかです。
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