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いろいろなことを考えさせられます。引用されている『われわれは、さらに、この祖国をして、内は同胞とともに自由を享受する住みよい国土とすると同時に、外は世界の平和と文化に寄与する偉大な国民たらしめたい』の言葉に捕らえられました。ミーイズムから脱して、義務と責任を負った真の「愛国心」について考えたいと思います。なぜか「真理がわれらを自由にする」の言葉が浮かびました。世界には人の数ほど違う考え方が存在している。それを知る必要を強く感じます。無知が人びとを間違った方向へ導いていまう。そして自分の頭で考え、自分で選択することの大切さ、そんなことを考えました。ちょっと難しい文章でしたが、また必ず再読したいと思います。
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日本の美しい「形」や「情緒」という言葉は、ぼんやりとしていて包括的なイメージである。しかしそれらの言葉は、日本人の心の琴線に触れることも確かだ。
姜氏はこの本の中で、日本の文化をナルシシズム的に吹聴するとして『国家の品格』の著者を批判している。
自分は以前『国家の品格』のレビューに、「『野に咲く一輪のスミレを美しいと思う心』を大切にしていきたい」と書いた。今もその気持ちは変わらない。しかし同時に盲目的・陶酔的にならぬよう、常に自己批判する目が必要だと再認識した。
また姜氏は「『愛国』や『愛国心』という言葉が氾濫している割には、内面から突き上げてくるような理想がほとんど消え失せているのではないか」といい、「愛国心」という言葉の空洞化を指摘する。
盲目的「愛国心」が跋扈するのであれば、それこそ国家の品格に関わる問題だ。であるならば、竹越与三郎が「自愛心」の延長に「愛国心」があるというように、もう一度自分を顧みてものを考察し、思考を醸成させていくことから始めなければならないだろう。
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姜尚中さんの切れ味を見た。分かりやすく、かつ、論理的。
誰もが感情として持つ愛郷と、人工的に作られる愛国は異なる。これを一緒くたにしてる今の論調は、危険な歴史の繰り返し。理想の姿をイメージし、そこに進む国家を愛する。これが愛国。
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姜尚中『愛国の作法』朝日新書、読了。愛国心とは字の如く“国を愛する心”のこと。しかし私たちは「愛する」こととは何か? 「国」とは何か? 本当に理解しているのだろうか。本書はフロムから丸山眞男、橋川文三に至るまで--を取りあげ、しばしば自明に思えてしまう概念を腑分けし、その意義を問う。
そもそも愛する対象の国とは統治機構としてのそれなのか、国民共同体としてのそれなのか、立憲政体としてのそれなのか、それとも文化的な統一体(これも捏造だが)としての国なのか。私たちはハビトゥス(習慣)に麻痺している。まずはそこから。学生に読んで欲しい。
3.姜尚中『愛国の作法』朝日新書。著者に会いたい 愛国の作法 姜尚中さん:朝日新聞 http://book.asahi.com/author/TKY200612120345.html 「別れ際に聞いた『日本へのラブコールのつもりでした』の一言は分かる気もした」。最後の「分かる気もした」は気軽にそう発話できないことを含み起きたい。
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この本が発行されたのは、足かけ5年にわたった小泉政権が退陣し安倍内閣(第一次)が発足した時代である。小泉元首相は2005年の終戦記念日に靖国神社に公式参拝し、安倍総理が「美
しき国へ」という著書を発行するなど、世間は右傾化の雰囲気が漂っていた。本書はその雰囲気に抗うかのごとく出版されたものである。この本の一番の難点は、その難解な文章にある。
問題点を指摘しようという意欲は買うが、表現がわかりにくくて何が言いたいのかわからないところがある。読みこなすには、政治思想史や哲学、日本近代史・現代史の知識がないと、理
解するのは難しいだろう。