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古代豪族の権力闘争と三韓政策
2007/02/25 21:18
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
八木荘司が著した古代の物語である。とはいえ、古事記、日本書紀など古代を現代に伝える数少ない書に書かれたことを伝えるものである。八木は日本の歴史学界の奇妙な学説に異を唱えている。古事記、日本書紀に書かれているものを頭から否定する体質に対してである。
神功皇后が実在したのか否か、魏志倭人伝に書かれている卑弥呼の治める国、その国と大和朝廷との関係、朝鮮半島に勃興した任那と倭国との関係などを、このシリーズで自己の主張を明らかにしている。
物的な証拠は存在しないほど古い時代のことで、頼りのなるのは唯一、古事記と日本書紀ということになる。対象読者として千年以上も後世の人々を想定していたがどうかは別だが、不明な点、書かれていない点などは多い。それらの疑問を補うのは想像力しかないであろう。あるいは遺されている他の書証、物証になるのであろう。
それゆえに古代は面白いともいえるのである。本書はその中で武烈大王が崩御した後、皇統が絶えそうになり、後継者を大伴金村が越の国から探し出すところから始まる。これが継体大王である。金村の手腕によって無事大和朝廷が継続する。
しかし、朝鮮半島の情勢は保護領の任那日本府が滅亡の危機に瀕し、新羅、百済などの三韓の均衡を維持できなくなってきた。それとともに、大王側近の豪族大伴金村が失脚して、物部、蘇我などの新興勢力が台頭する。さらに、厩戸皇子が誕生して、いよいよ古代でも当時の息吹が感じられる人物が登場してくる。
蘇我対物部の仏教論争、そして両勢力の最終対決へと突き進んでいく。徐々に豪族同士の勢力争い、暗闘の時代に入る。本書はそれを史料から描き出したものである。大変読みでのあるもので、歴史学界への批判とともに、夢のある古代の人間模様を描き出している大作である。
テレビドラマなどで舞台となる時代は、今までは常に戦国時代以降であるが、古代のように謎の時代に焦点を当てて描き出すのは、相当のエネルギーを要することである。真実は誰にも分からない。そこに真実味、人間味のある解釈や起伏のあるストーリーを組み立てることは、まさに作家の仕事である。それが読者の支持を得るか否かは作家の腕次第である。
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