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紙の本
太陽王の国にも御褥(おしとね)すべりが! 日仏大奥の不思議なシンクロ
2007/10/18 21:51
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひところ、TV化や映画化によってブームになった『大奥』。女だけで構成されるヒエラルキーの中で、権力者の寵愛を受けるためにライヴァルを蹴落とす女達の世界に、どっぷりはまった方もいるのではないだろうか。
しかし女達が寵を競うのは、何も日本の江戸時代に限らない。遠いフランス、それもベルサイユ宮殿が建てられた絶対王朝の時代にも、やはり大奥と似たような女性達の権力闘争が存在したのである。
本書に登場するのは、そんな権力争いを勝ち抜いた五人の女性達だ。王妃の侍女から国王の目に止まり…という何人かの女性が踏んでいるステップも、日本の大奥に見られた「中臈からお部屋様へ」という流れとシンクロしている。また、体力的に妾の役目を果たせず、大奥でいう所の御褥(おしとね)すべりを受け入れた女性もいる。だがその女性、ポンパドゥール夫人が、政治の場に同席し、時には外交官のような役割も果たしたという点では、日本の大奥には匹敵するような女性は見当たらない。これは愛人と一緒にいたいがために「公式愛妾」という位まで作ってしまったフランスと、あくまで身分を大奥の中に留めた日本との文化の違いかもしれない。
さて、いくら女性達に力があろうと、彼女達を認める国王なしでは始まらない。というわけで、ここには五者五様の男女の出会いがある。今どき誰もやらないような、「お嬢さん、ハンカチ落としましたよ」「まあ。ありがとうございます。」という古典的なハンカチ落としのナンパに引っかかってしまったルイ十五世。十九才の年齢差を乗り越えて結ばれた、『光源氏』の藤壷と源氏を思わせるアンリ四世とディアンヌ・ド・ポワティエのカップル。だが、ベルばら世代にとって一番馴染みのあるのは、第5章に登場するデュ・バリー夫人ではなかろうか。彼女もまた、策を労して大奥から一歩抜け出た存在-公式愛妾-となるが、何といっても有名なのは、オーストリアから嫁いできたマリー・アントワネットが、祖父の愛妾デュ・バリー夫人に挨拶しなかった事で、仏墺国交断絶の危機にまで発展しかねない事態を招いた件だろう。オーストリアの女帝である母親、マリア・テレジアに諭されたアントワネットが挨拶し、勝ち誇るデュ・バリー夫人と屈辱に耐えるアントワネットの構図を漫画やアニメでご覧になった方もいらっしゃるのではないだろうか。しかし漫画では皆美形に描かれていたが、肖像画を見るとデュ・バリー夫人はそれほど美人には見えない(p219)。肖像画は普通本人より美化して描かれるものだから、実像はどうだったのか。しかし、これほど憎み合っていた二人が、最後は同じ場所で似たような結末を迎えるのも、不思議な因縁である。
ドロドロしたどぶろくに食傷した皆さん、是非口当たりのよいワインを飲む感覚で本書を手にとってみては如何?
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