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アナログ・ブレイン 脳は世界をどう表象するか? みんなのレビュー
- マイケル・モーガン (著), 鈴木 光太郎 (訳)
- 税込価格:3,960円(36pt)
- 出版社:新曜社
- 発行年月:2006.11
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紙の本
アナログ処理、という主張は面白いのだが、ちょっと分かりづらい。
2007/11/21 14:00
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
脳が情報処理を行う装置として機能しているというのは、今や誰も疑わないだろう。人工知能でどこまで近づけるか、の研究も進んでいる。現在のデジタルなコンピュータではどうしても動物の脳のような機能はもてないのか、という問いかけがあるとするなら、著者のような主張はなかなかポイントをついているのかもしれない。アナログ処理とデジタル処理の違いにはかなり根源的なものがある。そう思って本書を開いた。
中心は「視覚処理」の話である。原題も「脳がどのように視覚処理をしているか」であるが、邦題はその中から著者の主たる主張である「脳はアナログ・コンピュータである」という考えから採用したらしい。視覚の研究者である著者は、幾つかの実験なども引用しながら「視覚処理」から意識の問題までを説明していく。
専門用語をできるだけ避けてわかりやすく書いたようなのだが、主題が追いづらく、読みやすくはなかった。原著も2003年出版なので、時代錯誤だからわかりづらい、と言うほど古くはない。イギリス人特有、と言うのかもしれないが、各章まずは小説の話や戦争の話といった一見関係のなさそうな話題から入ったり、本文の途中でもとてもかけ離れた例え話などがでてきて、かなり柔軟で、余裕を持った頭でないと話がどう関係していくのかがみえにくく、焦燥感を感じるというのも理由の一つだろう。だから何が言いたいの、と何度も思ってしまった。
視覚の話なので幾つか解説図などがでてくるのだが、その説明が間違っていたりよくわからなかったりというのもある。明らかな「左」を「右」と間違えた説明ぐらいは、翻訳の際にチェックできなかったのかと思う。(とりあえず初版第一刷であるが。)
脳は「アナログ・コンピュータである」という説明が一般向けとしては少し不足気味な気もした。アナログ計算の説明は第二章にあるが、これも素人が理解するにはちょっと難しい。普通にイメージされる「ゼロか1か」のコンピュータでできない、なにが出来て何が出来ないからアナログコンピュータといえるのか。単純に、読み手として想定されたレベルにこちらが達していないというだけかもしれないが、なにか「ある程度わかっている人」に対する説明のような感じがした。この手の「脳科学」の本はかなり出版されたが、あまり話題にならず書評も少ないのはこの分かりづらさのせいかもしれない。
著者の主張が正しいのか否か、さらなる展開を期待したい。
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