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不思議の国・鏡の国のアリスを通して、
著者ルイス・キャロルの尽きぬ論理の悩みが表象されている。
その論理を解説した本。
古典論理と言う、言葉で表わした物が全て実体を持つといった理論や、
「AはBである」という論理しか持たぬことから生み出される論理の限界を
ナンセンスで語ったのがルイス・キャロルの二つの著書だと言う。
後の記号論者が解決した問題を、当時のキャロルは解決できずに
アリスに著者の疑問を代弁させることによって多くの人々に疑問をなげかけたらしい。
"Must a name mean something?"に全ては凝縮されている気がする。
古典論理ではそもそもが、名詞を普通名詞と固有名詞に分けず、
全てを普通名詞に分類したことによって、アリスの同一性を確保できず、
アリスという普通名詞の中に、アリスがいて、その中にアリスが・・・
という風に無限に続いてしまうらしい。
適当に組まれたと思っていた不思議の国のアリス、鏡の国のアリスに
とても一貫した論理を読み取ることができるようになって、
より深く理解するのに役立つ本である。
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『不思議の国のアリス』、『鏡の国のアリス』に見られるナンセンスの裏側にあるルイス・キャロルの意図を、論理学や意味論の観点から解説した本。結構頭を使って読むことになるが、頭の体操みたいでとても楽しく読める。特に最後の白のナイトの「歌談義」なんかはよくよく本を読んで、自分なりに納得したが、何かとても頭を使ったような気がした。アリスの2冊の話のあらすじが分かっていないと余計に難しいかもしれない。帽子屋のところで出てくるWhat time is it now?のnowがおかしいなんて知らなかったので勉強にもなった。(2007/10/02)
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とっても楽しく面白く読ませていただきました。
そして随所に挿入されるアリスのイラストにも癒されます。。。
妙な表現ですが、まるで学校のテストの後の答え合わせのような本です。
『???』なアリス本の強烈な登場人物たちの謎解き、そして著者、ルイス・キャロルが作品にこめたメッセージについて語られています。
王様の不思議な言動や意味不明なナイト。
まるでおちょくられているのっ?と思うような不思議の国の生き物達。
最後まで読み終えると、全ての謎が解けたような、すっきりとした世界観を感じることができました。
もっと詳しく書けたらと思うのですが、とても良い本だと思います。(※既にアリス本に詳しい方にとっては、既出の内容かも知れません。)
も一度『不思議の国のアリス』を読んでみようかと思います。。。
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不思議の国のアリスと鏡の国のアリス。
小さい頃に読んで、すごく面白かったことだけは覚えてました。
不思議で愉快な物語は、実は古典論理学者ルイス・キャロルの実験でもあったわけです。
その事実を知ったあとでもう一度この2冊のアリス本を読むと、もっと違った面白さがありそう。
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[ 内容 ]
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』が今でも多くの人の心を捉えて離さないのはどうしてなのでしょうか?
その秘密は、アリスの世界を支配する独特の論理にありそうです。
論理学者であったキャロルがアリス本に託した論理を、やさしく解き明かしてゆきます。
[ 目次 ]
第1章 キャロルと古典論理
第2章 イモムシの教え-不思議の国 第5章を読む
第3章 チェシャ猫のにんまり笑い-不思議の国 第6章、第8章を読む
第4章 奇妙なお茶会-不思議の国 第7章を読む
第5章 悲しきにせウミガメ-不思議の国 第9章を読む
第6章 ジャバウォッキーの詩-鏡の国 第1章、第6章を読む
第7章 名無しの森で-鏡の国 第3章を読む
第8章 ハンプティとアリスの会話-鏡の国 第6章を読む
第9章 白のキングと使者-鏡の国 第7章、第5章を読む
第10章 青い目をした白のナイト-鏡の国 第8章を読む
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[ 参考となる書評 ]
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対訳になっているので、原文のおもしろさがわかりやすく伝わる。
他の章ももっと取り扱ってほしかったと欲が出る本。