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紙の本
面白すぎた
2021/03/27 23:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読書の冬 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時間とは一体なんなのか、誰でも一度は抱く疑問だと思いますが、本書は物理学の観点から時間について説明されていて一般人が考える時間とは全く別の異次元ともいえる論理と想像が展開され世界の見え方が変わると思います。
ところどころに哲学的アプローチも取り入れられていて果てしなく深いです。
紙の本
哲学、量子論、相対性理論。そして。
2016/02/27 01:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:色鳥鳥 - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学と物理学の基礎は必要。基礎のないまま読み始めた私はいったん脱落しました。その後、ちと勉強してもう一度読んでみたら。
おお。わかるではありませんか。人間勉強すべきですね。唐突すぎてわからなかった「非因果的領域」や、マクタガートの時間論。そして難儀だったミクロ世界の量子論。
こんなに難解なことを、的確に端的にまとめる頭脳、すさまじいなと思うのに、導きだされた結論が、あんがい前向きで希望に満ちた感じであることには驚いた。「理系脳」って「文系脳」よりピュアでいられる、そんな部分があるのかもしれない。なんて内容とは関係ないことで感嘆してしまいましたが、それくらい読後感が清々しい1冊です。良書。
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あのね,ないんですよ,時間なんて(笑)
2008/08/26 16:44
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名からも分かるように時間論の本である。なんで時間は過去から未来へ流れるのかとか,なんで過去はもう変更出来ず,また未来のことは分かんないのか,量子物理学の世界では時間が消滅するというのはどういうことなのか,てなことを相愛大学教授にしてSF作家でもある橋元先生が懇切丁寧に説明してくれるのである。以下,先生の論旨をオレに出来る範囲でかいつまんで紹介してみよう(我ながらちょっと無謀?)。
まず先生は哲学者マクタガートの「時間の三系列」というのを紹介する。A系列はわれわれが普段「そこを生きている」と思ってる主観的時間。B系列は年表のような客観的な時間。そしてC系列はただの配列,つまりいまここにオレがA系列,B系列,C系列と並べたようなもの。で,マクダガートはAとBの時間は実在しない,かろうじて実在するかもしれないのはCだけだ,と言った,と。
ここで話はいきなり量子論に突入(量子論に詳しくない人はこの辺であきらめてください)。量子論の対象となるミクロの世界では,コトの因果は我々の思っているようには確定しない。知ってる人はファインマン図形を思い出して欲しいが,十分に近づいた2つの粒子間で光子が交換されるという図は,座標軸を変えればそのまま粒子と反粒子がぶつかって対消滅し,それで発生した光子が再び粒子と反粒子に別れた,とも言える。つまりこの世界では時間と空間は入れ換え可能で,マクダードの言うC系列にそっくりだ。言葉を変えて言うとこれは,物理的な時間というものは実在しないということだ。ないんですよ,時間なんて。
しかしである,素粒子の世界はそうかも知らんが我々の世界には時間がある。あっちになくてこっちにある以上,これはあっち(ミクロ)の世界からこっち(マクロ)の世界に向かうどっかで生まれたことになる。論理的ですね。ここで先生は突然エントロピー増大の法則を持ち出す。知ってると思うがこれは「エントロピーは増大する,絶対的エントロピーは絶対的に増大する」というもので(なんか混じりました?),ぶっちゃけ無秩序無秩序と草木もなびく,という話である。
その,世を挙げて無秩序に向かおうというご時世にあって,我々の持つ「生命」というものは秩序そのものだ,とおっしゃるわけだ。絶え間ないエントロピー増大の圧力にさらされながら「生命」は自分を構成する「秩序」を出来得る限り保とうとする。ここに「意思」が生まれ,意思が「時間」を生む。宇宙は単に事態が並んでいるC系列のものなのだが’,そこを走査するのが意思だから,そこにA系列の時間が生まれるのだ,ということなんですわ,はぁはぁぜいぜい。
あの……これで解説はおしまいなんだが,もし上の説明がなんとなく「ジが当ってカーン,ジが当ってカーン,はいジカンの出来上がり」てな落語みたいに思われたとしたら,それは一重にオレの要約が悪いので,自分でこの本を買って確認してくだされ。よろしくお願いいたしまする。
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生命が作る時間の流れ
2007/06/17 01:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:裕乃 - この投稿者のレビュー一覧を見る
過去から未来へと時間が流れていくことは、自明の理のように思われる。しかし、この当然と思われる時間の流れが、現代物理学の根幹をなす相対性理論と量子論では説明できないとのことである。相対論では時間の流れを未来から過去へと逆にしても成立するし、光速度一定の法則により、観察者の速度によって時間の流れる速さが変わってしまう。量子論の扱うミクロの世界では、不確定性原理により、あるイベントが起こった時刻を理論的に確定することができない。いずれの理論の中にも我々が日々感じているような『時間の矢』を見出すことはできない。では、時間の流れはどこで生まれるのか?著者は、秩序を維持しようとする生命の意思が時間の流れを生んでいる、と主張している。生命体はDNAという精巧な設計図をもとに蛋白質を主な材料として組み立てられた、秩序の塊のような構造物である。ところがエントロピー増大の法則により、放っておけば秩序はどんどん崩壊してしまう。生命体にとって己の持つ秩序の消失は死を意味する。このエントロピー増大の法則の圧力に抵抗して、自らを構成する秩序をできるだけ長く維持し、長く生きようとする生命の意思が、時間の流れを生み出している、という。このような生命の意思がないところには、時間の流れも存在しない、ということもできる。
部屋が散らかっていることを注意されたら、『そういう秩序に拘泥する心があるから、時間に支配されてしまうのだよ』などと言い訳してみるのもいいかもしれない。大喧嘩になり、ますます部屋のエントロピーが増大してしまうかもしれないが。